UNIアマゾン労組アライアンス、酷暑の地球を懸念して「共通要求」を発表

職場で高まる酷暑の危険と闘うための共同の取組みとして、20カ国以上のアマゾン労働者を代表するUNIアマゾン労組アライアンスは、アマゾン労働者の安全な労働条件を確保することを目的とした包括的な一連の要求を発表した。この発表は、国際労働機関(ILO)の新たな報告書が、世界的に労働者の暑さによるストレスのリスクが増大していることを明らかにしたことを受けたものである。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「気候危機の激化に伴い、アマゾンをはじめ世界中の労働者は、職場における異常気象の影響をますます受けるようになっている。我々が提示した要求は、単に労働条件を改善するということではなく、生命を守るためのものだ」と指摘し、「過熱する地球において、労働者は肉体的限界に追い込まれ、安全衛生に関してかつてないリスクに直面している。アマゾン等の使用者は、従業員を保護するための包括的な対策が緊急に必要であることを認識しなければならない。これは単に安全な職場に対する労働者の権利の問題ではなく、人権と基本的尊厳の問題である。我々はアマゾンに対し、これらの要求に耳を傾け、すべての人々にとってより安全で持続可能な労働環境を実現するために、とともに取り組むことを求める」と語気を強める。

ILOの報告書『職場における暑さ:安全と健康への影響』は、憂慮すべき統計を明らかにしている。2020年には、世界中で4,200人の労働者が熱波により死亡し、2億3,100万人が猛暑にさらされ、2000年から66%増加した。さらに報告書は、10人中9人の労働者が熱波以外でも過度の暑さを経験しており、このような状況下で10人中8人に熱中症による労働災害が発生していることを強調している。

ILOの労働安全衛生チームリーダーであるマナル・アジ氏は、「これは人権問題であり、労働者の権利の問題であり、経済の問題でもある。中所得国の経済が最大の打撃を受けている。労働者を保護するための通年の暑熱行動計画や法律が必要であり、職場における暑熱ストレスの評価と介入を調和させるために、専門家間の世界的な協力体制を強化する必要がある」と説明する。

世界中で、熱波時に働く場所や方法を規定する職場規則の変更を求める労働者が増えている。インドでは2024年6月、アマゾン・インド労働者協会(AIWA)が労働雇用省と国家災害管理局に対し、倉庫労働者の即時保護を実施するよう要請したばかりだ。これは、インド北部と西部で記録的な高温が発生し、デリーでは2024年5月に1901年以来の最高気温となる49度を記録したことを受けたものだ。

アマゾン労組アライアンスは「命が危険にさらされている」として、こうした要求の重大性を強調し「今こそ行動を起こす時だ」と訴える。

UNIアマゾン労組アライアンスは、こうした緊急の安全上の懸念に対処するため、いくつかの重要な要求をまとめている:

酷暑の中で、アマゾンで安全に働くための共通要求
アマゾンの労働者は気候危機の最前線にいる。アマゾンの横暴な生産性要求、反組合主義、同業他社よりも大幅危険な職場は、酷暑の中で働くアマゾン従業員にとって受け入れがたいリスクを生み出している。

世界中で、アマゾンの残忍な反組合主義と非現実的な生産性ノルマは、すでに困難で危険な仕事をさらに悪化させている。あまりに多くの場合、職を失うことを恐れる労働者たちは、あまりにも過酷に追い込まれ、命を危険にさらしている。

しかし、労働者と労働組合は反撃している。労働者が集団行動を起こした施設では、アマゾンに追加の扇風機と冷却ステーションを設置させ、低温を確保し、暑さ対策を講じさせた。しかし、これだけでは十分ではない。

気候危機は我々の生活と職場を変容させており、アマゾンで働くすべての労働者は、熱ストレスのない職場で働く資格がある。そのため、UNIアマゾン労組アライアンスは、アマゾンに対して以下の要求を行っている:

1.透明性のある達成可能な生産性ノルマ
●労働組合との団体交渉を通じて、人間の能力と労働条件を考慮した現実的な生産目標を設定すること。
●気温の上昇やその他の悪条件下での労働負荷を軽減する保護措置を実施する。
●労働者に、労働者に対して適用されるノルマの説明書を提供し、労働者が個人の作業速度データを閲覧できるようにする。
●アルゴリズム管理システムの仕組みに関する透明性を提供する。
●労働者が不当なノルマや業績評価に異議を申し立てることを認める。
●労働者は、食事や休憩時間の遵守、またはトイレ施設の利用を妨げるようなノルマの達成を義務付けられるべきではない。

2.適切な休息時間
●定期的な有給休憩を確保し、気温が安全基準である 26.6℃を超えた場合は、追加のクールタイムを確保する。
●職場(屋内/屋外)の温度が 32.2℃以上の場合、空調の効いた場所で少なくとも 15 分の定期的な有給の予防的クールダウン休憩を義務付ける。
●時間外の業務に対する全ての罰則を廃止する。

3.高温安全対策
●熱放射源から離れた空調の効いた休憩場所を提供する。
●影響を受ける全従業員に、労働1時間ごとに最低1リットルの水を供給できる十分な水分補給ステーションを提供する。
●一日を通して、ペナルティを受けることなく水分補給ステーションを利用できる合理的な時間を提供する。
●一日を通して、ペナルティを受けることなくトイレを利用できる合理的な時間を労働者に与える。
●すべての労働者および監督者に対し、熱ストレス研修を義務付ける。
●気温を監視し、肉体労働や高い集中力を必要とする作業については特別な規定を設け、それに応じて作業 スケジュールを調整することを含む、熱中症予防計画を採用する。
●緊急事態の報告、緊急事態への対応、および緊急事態への対応に関する各管理レベルにおける責任の定義に関するSOP(標準作業手順)を含む緊急事態対応計画を策定する。
●氷および/または飲料用の3.78リットルの断熱容器を各従業員に1つずつ提供する。
●配送車両は、空調設備、または運転席部分に最低2台の調節可能な扇風機、および荷台に排気換気システムを装備する。

4.安全衛生モニタリング
●民主的に選出された労働者代表と連携し、労働条件を定期的に監視する安全衛生代表を任命する。
●暑さ指数メーターを設置し、必要に応じて作業方法を調整するためのリアルタイムデータを提供する。

5.労働条件の改善
●倉庫および配送車両の換気システムを改善し、合意された安全作業温度が確保されるまで作業を中断する。
●すべての労働者が、必要な個人用保護具(PPE)および労働者を暑さから保護するよう設計され た制服を利用できるようにする。PPE は、磨耗したり破損した場合に必要であれば、従業員に無償で交換されるべきである。従業員は、着用するPPE の種類について意見を述べられるようにすべきであり、PPE は、労働者にあうよう、様々なサイズが用意されるべきである。

6.安全方針への労働者の関与
●安全方針の作成および見直しに労働者代表を参加させる。
●安全慣行を定期的に見直し、改善するために、ILO第164号勧告に沿って、少なくとも労働者労使代表が同数参加する安全委員会を設置する。

7.安全に関する懸念事項の報告に対する報復措置の禁止
●安全に関する懸念を報告したり、危険な作業を拒否したりする労働者に対する報復措置がないようにする。
●安全に関する懸念事項を秘密裏に報告できるシステムを導入する。

8.組合結成と団体交渉への反対の撤回
●アマゾンの反組合主義は我々を危険にさらしており、アマゾンは繰り返し労働者保護に失敗してきた。我々はアマゾンに対し、民主的に選出された労働者代表とその組合のみが、労働者の安全のために独立した意見を提供できることを認識するよう、求める。

気温が急上昇するなか、行動の緊急性は重大なピークに達している。世界中のアマゾン労働者は限界点に近づいている。世界中のアマゾン労働者が、安全でない労働環境に対して立ち上がっている。我々は職場の安全のために団結し、今こそ行動を起こす時だ。