2023年11月24日、1年で最も消費行動が忙しくなるブラックフライデーの金曜日から、週明けの月曜日にかけて、アマゾンは世界30か国以上でストライキと抗議行動に直面することになる。
クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「アマゾンの責任を追及する運動は強大化し続け、この行動日は年々、活発になっている。労働者は、国や職種に関係なく、賃上げ、不合理なノルマの廃止、そして仕事上の発言権を求めて、団結して闘っている。それこそが、英国コベントリーの労働者がストライキを行なっている理由であり、世界中の労働者がアマゾンに支払わせるため(Make Amazon Pay)に立ち上がっている理由だ」と強調した。
Make Amazon Payがブラックフライデーに世界的な行動日を展開するのは、今年で4年目だ。過去には、ドイツ、フランス、スペイン、英国、イタリアの倉庫などで数千人の労働者がストライキを行い、バングラデシュでは衣料品労働者が街頭に立ち、米国では労働者がストを組織し、市民団体が世界中のアマゾン本社でMake Amazon Payのロゴを投影する抗議行動を行い、またジェフ・ベゾス氏の邸宅に「pandemic profiteer」(パンデミックで暴利を貪る者)の文字を投影し、気候変動の活動家は欧州3か国でアマゾン倉庫を封鎖する等してきた。
UNIとプログレッシブ・インターナショナルが共同提唱するMake Amazon Payは、グリーンピース、350.org、タックス・ジャスティス・ネットワーク、アマゾン・ワーカーズ・インターナショナルを含む80以上の労働組合、市民社会団体、環境活動家、税金監視団等で構成され、アマゾンが労働者に公正な賃金を支払い、労働組合に加入する権利を尊重し、公正な税負担を行い、環境面における真の持続可能性に向けて取組むことを要求している。
プログレッシブ・インターナショナルの共同コーディネーターのヴァルシャ・ガンディコタ=ネルトラ氏は、「コベントリーの倉庫からダッカの工場まで、この世界行動デーは、単なる抗議行動を超えるものであり、この搾取の時代を終わらせなければならないということを、世界的に宣言する日だ。労働者、地域社会、そして地球を搾取するアマゾンの世界帝国は、今、Make Amazon Payを求める世界規模の運動に直面している」と語る。
今年のMake Amazon Payの主な取り組みは以下;
1:英国、イタリア、米国、スペイン、ドイツでのストライキ。
2:オランダ、ドイツ、アイルランド、イタリア、英国、カナダ等の気候活動家が、アマゾンのグリーンウォッシング、データセンターの気候への影響と電力消費の増大、アマゾンウェブサービス(AWS)と化石燃料企業との契約について訴えるため、AWSの建物で抗議行動。
3:インドの10以上の都市で、数千人の労働者が集会と抗議行動。
4:バングラデシュの衣料品労働者によるダッカでの大規模な抗議行動。月209ドルの最低賃金や、「火災と建設物の安全に関する協定」へのアマゾンの署名等を要求。
これらの行動は、アマゾンの企業慣行に対する広範な批判を反映したものだ。2023年にUNIが実施した包括的な調査によると、アマゾンの厳しい業績監視は、主要8か国の従業員にストレス、プレッシャー、不安感を与えている。この調査では、驚くべき統計が明らかになっており、 従業員の51%が健康への悪影響を報告し、57%がアマゾンの人権侵害的な監視による精神衛生の悪化を訴えているのだ。このため、バーニー・サンダース米上院議員が、アマゾンの「ひどい安全記録」を調査するなど、議員や一般市民からの批判が高まっている。
また米国を拠点とする全米雇用法プロジェクト(NELP)の新たな報告書によると、アマゾンの倉庫労働者の賃金は、同業種の他の労働者と比べて著しく低く、平均賃金を大幅に下回っている。
さらに画期的な動きとして、米連邦取引委員会(FTC)と17州の検事総長は、アマゾンに対し、独占的なサービスを維持しているとして訴訟を開始した。
米国のUNI加盟組織である小売・卸売・百貨店労組(RWDSU)のスチュアート・アッペルバウム会長は、「この世界的な行動が強調しているのは、アマゾンは自社のひどい労働慣行に向き合い、緊急に労働者と公正な交渉を行わなければならないということ」と述べ、「我々の集団的な取組みは勢いを増し、アマゾンの不公正な慣行に異議を唱え、労働者の権利とすべての人のための持続可能な未来を提唱している。共に闘えば、アマゾンに支払わせる(Make Amazon Pay)ことができる」と訴えた。
ナズマ・アクタール統一衣料労連会長は、「バングラデシュの衣料品労働者は、アマゾンが販売して利益を得る衣服を作っている。しかし、アマゾンは我々を労働者として認めず、我々の工場の安全を守るために『火災と建設物の安全に関する協定』に署名すらしていない。世界中の仲間とともに、アマゾンに支払わせていく!」と決意を述べた。
米国カリフォルニア州のチームスターズ396支部の組合員であるジェシー・モレノ氏は、「アマゾンの労働者たちは、自分たちが得るべきまっとうな雇用を求めて、世界中で行動を起こしている。米国では、チームスター労組の仲間が、アマゾンの不当労働行為に反対してストライキを行っている。我々は全米でピケを組み、そして今、世界中の仲間たちとともに、敬意と公正な賃金、そして安全衛生が優先される職場を求めて闘っている。アマゾンは、団結した労働者の力にはかなわない」と、語気を強めた。