UNIは、戦時下で労働者の権利を求めて闘い続けるウクライナの医療従事者の労働組合、Be Like Ninaに『恐怖からの解放賞』を授与した。
米国・フィラデルフィアで開催されているUNI第6回世界大会で、医療従事者で同組織の共同設立者であるオクサナ・スロボディアナ氏が賞を受け取った。
看護師のニーナ・コズロフスカ氏がフェイスブックでウクライナにおける厳しい労働条件について懸念を表明した後、2019年に設立された同組織は、その後82,000人以上の組合員を抱えるまでに成長した。2020年にはウクライナの社会運動団体として、2021年には労働組合として登録された。
ウクライナで戦闘が勃発して以来、労働者は戦地で医療・看護を提供するために奮闘してきただけではない。戒厳令が敷かれ、身の安全が脅かされる事態が頻発する中、ゼロ時間労働制が導入されたことで、すでに押しつぶされそうであった状況に、さらなる重荷がのしかかった。
このような状況にもかかわらず、Be Like Ninaは、ますます高まる危険にさらされている医療従事者を支援するため、活動を続けてきた。リヴィウ地方とポルタヴァ地方では、不法解雇された看護師の復職を勝ち取る手助けをし、また多くの医療機関で未払賃金を取り戻した。さらに、研修や、国内避難民のための住宅、医療従事者のための医薬品やその他の必需品、危機的状況に陥った医療労働者のための心理的サポートといった人道的支援を強化してきた。
オクサナ・スロボディアナ代表は、「ウクライナのすべての労働者を代表して、この賞を受けたい。世界中のUNIの仲間が、私たちの日々の闘いを支援してくれていることに励まされる思いだ。私たち労働組合活動は、労働者の基本的権利と人権を擁護しており、非常に重要なもの。そして、失った権利を回復し、人々の公正な労働条件を確保することは、戦争が終わってからも同じく重要になってくる。私たちの取組みに共感いただき、感謝します」と語った。
UNIは毎年、組織化と労働者権利の促進、そして 「恐怖のない世界」の実現に向けて尽力した個人や団体に『恐怖からの解放賞』を授与している。過去には、米国・アラバマ州で組織化したアマゾンの労働者や、不当に投獄された人権活動者でバーレーンのサッカー選手ハキーム・アル・アライビなどが受賞している。今年は、組合活動のために脅迫・銃撃されたコロンビアの労働組合指導者、ルイス・フェルナンド氏も受賞する。
クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「圧倒的な困難に直面しながらも、労働者の正義をあくなき姿勢で追求するBe Like Ninaの姿は、連帯の力と人間の回復力の証しだ」と称え、「オクサナ代表とウクライナの何万人もの医療従事者の経験を分かち合うため、オクサナ代表をここにお招きできて、嬉しく思う。この賞は、暴力や抑圧に直面しながらも、患者や利用者、そして自らの権利を守るために立ち上がった看護師、介護士、医師、医療従事者一人ひとりの勇気を称えるものであり、我々全員を奮起させてくれている」と語った。