フィンランドのUNI加盟組織が、同国における労働組合の権利に対する前例のない攻撃に直面しながら、組合員の増強と団体交渉の擁護に取組み、UNIブレイキング・スルー賞を受賞した。米国・フィラデルフィアで開催された第6回UNI世界大会で、UNI加盟組織PAMのアニカ・ロンニ=セリネン会長が、受賞したフィンランドの複数の労組を代表し、受賞した。
2023年6月に新たに誕生したフィンランドの右派ポピュリスト連立政権は、団体交渉を弱体化させ、スト権を縮小し、従業員の解雇を容易にする措置など、一連の反労働者政策を発表してきた。これは、北欧モデルとして知られる、社会対話を基礎とする国内の産別交渉の枠組みを破壊しようとする、国内の主要使用者の協調的かつ憂慮すべき動きに続くものだ。
このモデルは長年にわたって建設的な労使関係を構築し、何十年にもわたって労使に利益をもたらしてきた。その結果、労働者の約6割が組合に加入しており、フィンランドの組織率は世界でも最も高い水準になっている
北欧モデルの維持に向け、組合も反撃に出ている。例えば、UNI加盟組織PAMによるストライキ行動は、20万人の商業労働者の6%の賃上げにつながった。セリネンPAM会長は、「フィンランドで直面している闘いが世界的に評価され、この賞を受賞したことを、誇りに思う。前回の団体協約では、いくつかの部門でストライキを実施し、組織の力を誇示・活用しなければならなかったが、長期的な組織化の取組みがそれを可能にした…(中略)…近年、我々は他の国内労組と協力することが増えている。フィンランドの労働組合運動と我々が代表する労働者に対する政治的攻撃から、自身の存在を守るためには、力を合わせるしか道はない」と語った。
UNI加盟組織PROも、2022年にICT部門で長期ストを実施するなど、組合員を守るために組織化や産別行動で力を発揮している。ヨルマ・マリネンPRO委員長は、ブレイキング・スルー賞の受賞について、「この賞に選ばれたことに感謝したい。今回の受賞は、労働組合の自由に対する容認しがたい違法な攻撃と闘っている我々を大いに勇気づけてくれるものだ。新規組合員の勧誘は容易ではないが、柔軟な姿勢で取組み、職場代表と協力し、綿密に計画されたキャンペーンを展開することで成功につながる。共に立ち上がることで、必ず乗り越えられる!」と力強くコメントした。
クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「組合員を増やし、力をつけるという基本に立ち返ることが最善の戦略であることを示したフィンランドの加盟組織を祝福したい。使用者と政府からの二重の攻撃に直面しながら組織化に成功した彼らの姿は心を打たれるものであり、UNIと世界中の加盟組織は、産別団体交渉と労働者の権利を守るために立ち上がるフィンランドの加盟組織の闘いに連帯していく」と述べた。