テック労働者、大量解雇にストライキや組織化で対抗

広範囲に及ぶ解雇や労働条件の低さに抗して、世界中でテック労働者がストライキや抗議行動、組合結成の取組みを行っている。

米国テキサス州オースティンでは、2023年2月上旬、グーグルの持株会社アルファベットで、労働者グループが下請け従業員としては初となるストライキを決行し、新たな歴史を刻んだ。グーグルが運営するYouTube Musicの下請けであるコグニザントでストを打った労働者は最近、組合結成について投票も行った。アルファベット労組(AWU)によると、労働者の「時給はわずか19ドル」だという。

フランスでは、ユービーアイソフトの開発に携わる技術者が、同社では初となるストを決行した。経営陣が経営の見通し悪化を理由に3本のゲームの中止を発表し、同社のCEOがこれを労働者の責に帰したためだ。

スウェーデンでも、テック労働者の組合加入が大幅に増加しており、スポティファイではUnionenが中心となってキャンペーンを展開している。ドイツの組合ver.diも、スポティファイ、SAP、TikTokで労使協議会を設置するキャンペーンを行い、テック業界での存在感を高めている。 スペインでは、ツイッターのイーロン・マスクCEOが、スペイン人スタッフの8割以上を解雇する計画を発表後、労働者総同盟(UGT)と労働者委員会(CCOO)が、同社に対してスペインの労働法を尊重するよう要求した。

ペペ・アルバレスUGT書記長は、「同社は26人のスペイン人労働者をメールでの通知で解雇しようとしている。わが国では、集団解雇には協議期間を設け、15日間交渉し、労働当局に伝えることが必要だ。そうでなければ、解雇は無効だ」とツイートし、組合が傍観することはないと明言した。

こうした行動が浮き彫りにしているのは、雇用の安定、解雇が労働者の暮らしに与える影響、そして職場の多様性やテック企業が労働者を支援する責任など、より幅広い問題に対する、テック労働者の懸念の高まりだ。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「この非人道的な大量解雇の波の中で、テック労働者が世界に示しているのは、職場の公平性を促進する上で、組合は必須のツールだということ」と指摘し、「組合は、使用者の恣意的で不当な行為に対する防御壁の役割を果たし、すべての従業員に対する公正な賃金と福利厚生の確保に役立っている。労働者の権利を擁護するために団結することで、テック労働者は、すべての人にとって、より公正で公平な未来を作るために不可欠な役割を果たすことができる」と組合のもとで団結する意義を強調した。

ビデオゲームの開発に携わる労働者も近年、低賃金や不十分な福利厚生、強制残業や「クランチ」文化の蔓延、ハラスメントや差別が横行する職場風土など、業界の労働条件に対して声を上げている。また、韓国のネクソンやスマイルゲート、スウェーデンのパラドックスインタラクティブ、フランスのユービーアイソフト・スタジオ、そして最近では米国のアクティビジョン・ブリザード傘下のレイブン・ソフトウェア等で、労働者が組合を結成、加入し始めている。UNIの呼びかけにより、世界20か国のゲーム開発に関連する労働組合の代表が2022年の夏にドイツ・ベルリンに結集した。会議では、世界中で労働基準を引き上げ、安全な労働時間・労働条件を確保するグローバル・キャンペーンの展開に向け、国際的な取組みについて活発に議論がなされた。

UNIが29か国のビデオゲーム開発にかかわる労働者を対象に行った調査によると、低賃金(66%)、過剰な長時間労働(43%)、不十分な福利厚生(43%)、職場での差別やセクハラ(35%)などの仕事に関する問題が、従業員の不満や職場における組合結成を望む原動力になっていることが明らかになった。回答者の多数(79%)が、職場での組合結成について、支持または強い支持を表明している。