
2022年9月13~14日、40か国54労組から130人を超えるUNI世界金融部会加盟組織の代表者が、アイルランド・ダブリンに結集した。アイルランドの金融サービス労組(FSU)が主催したこの会議では、銀行部門における大規模なリストラや人員削減に直面する労働者と顧客を守るため、集団的な力を活用することを決議した。
ジョン・オコネルFSU書記長は、「金融部門では変化が起きており、確実に言えることは、今後さらなる変化が生じるということだ。我々の目標は、この変化に適切に対処し、従業員を保護し、顧客に悪影響を与えないようにすることでなければならない」と述べた。
間もなく発表される欧州のリテールバンキング部門の再編に関する欧州生活労働条件改善財団(EuroFound、本部はダブリン)による新たな報告書について、概要が説明された。この重要な調査報告では、金融部門における人員削減の影響を和らげる上で、労働組合と社会対話がいかに主要な役割を果たしたかが、明らかにされている。つまり、ほとんどの場合、大量解雇は任意のものであり、退職の条件について交渉し、合意した上で行われた(多くは早期退職)。同時に、この部門は様々なスキルを持つ若者を雇い続けているのである。
アルゼンチン、インド、アイルランド、イタリア、マレーシア、ネパール、スペイン、南アフリカの組合が、多国籍銀行の再編に関する状況や、労働者を保護しサービスを守るために実施した戦略の成功例を共有した。
クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「金融部門の労働者は、デジタル化の最前線にいる。そして、本日示された多くの集団的な経験は、労働者にとって不本意な人員整理を最小限に抑え、またスキルアップや配置転換、早期退職、退職金制度などを通じ、すべての人が自立できるようにするために闘う中での、皆さんの創造性、決意、闘志を表している。今回の報告は、デジタル世界における『公正な移行』に関する包括的な調査だ」と述べた。
参加者は、リモートワークが労働者に与える影響や、労働組合による組織化の取組みなど、金融部門の将来について討議した。
会議2日目には、スペインのシンクタンク「Funcas」の著名なグローバルエコノミストであるレイモンド・トレス氏が、基調講演を行った。同氏は、天然資源の供給不足、気候変動によるリスクの増大、デジタル・ディスラプションなどが重なり、金融部門は厳しい圧力にさらされていると指摘すると同時に、金融部門は、特に再生可能エネルギーへの融資を通じ、今日の大きな課題への解決策を見出す上で、大きな役割を担っていると述べた。また、労働者の権利のために闘う労働組合の役割は、リスクの低減と安定した世界経済のために重要であるとし、「社会正義がなければ、それは世界平和にとって常にリスクとなる」と指摘した。
アンジェロ・ディ・クリストUNI世界金融部会担当局長は、世界最大の経済国である米国の銀行労働者を組織化して力をつけることが絶対的に必要であると指摘し、加盟組織が連携して組織化能力を高め、またUNIとともに組合を強化するよう、促した。
会議の締めくくりとして、ブラジルのContraf-CUTのリタ・ベルロファUNI世界金融部会議長は、「グローバルな課題にはグローバルな対応が必要だ。リストラに直面する中でも、我々は組合と闘争を強化していく。我々は決して闘いを放棄しない!」と固い決意を述べた。