UNI Apro ICTS部会委員会を開催

2022年8月29~30日に、UNI Apro ICTS部会委員会がオンライン開催された。

開会にあたり、安藤京一UNI Apro ICTS部会議長が、新たな生活様式や働き方が広がる中、我々の役割はこれまで以上に高まっている。現状を把握し、課題を抽出し、課題解決に向けてアクションプラン策定につなげていこう、と呼びかけた。ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、インフレの加速やリモートワーク等、様々な新しい課題が浮上しているが、今回、テックワーカーやゲーム開発労働者の組織化など、活発な議論が展開されるのを期待するとともに、KT労組の仲間を歓迎したい旨、発言した。

■パネルディスカッション1「リモートワークの課題に立ち向かう」
ベンジャミン・パートンUNI世界ICTS部会担当局長が、2021年にリモートワークの基本原則を発表後、様々な交渉に生かされてきたこと、そして2022年には、リモートワークに関するデータベースを構築したことを報告した。データベースには、世界各国からリモートワークに関する250本の協定内容が集められ、結社の自由と団体交渉、平等な機会と権利、スキル強化とキャリア開発、監視とデータ保護、つがらない権利など、テーマごとにまとめられている。

鈴木克彦NTT労組委員長は、「リモートワークを基本とする新たな働き方の実現」と題して報告を行った。組合として、リモートワークを基本とする新たな働き方は、個々人の多様なライフスタイルに寄与するものと認識しているが、組合員と上長や同僚とのコミュニケーションの課題、長時間労働や安全衛生上の実態把握や人権問題、人材育成の課題など、課題認識を持って対応していく必要があると発言した。

■パネルディスカッション2「人工知能(AI)」
マッシモ・メンシUNI世界専門職・管理職委員会担当局長兼デジタル政策アドバイザーが、「アルゴリズムと監視」をテーマに報告した。アルゴリズム管理の対象となっていることを労働者が知る権利、指揮をするのは人間であるという大原則、設計段階で差別や偏見が入り込まないようにする必要性、個人データの保護などについて説明し、交渉に活用できるアルゴリズム管理に関する新たなガイドラインやツールキットを今年中に発表予定であると述べた。

北野眞一情報労連書記長は、「日本の労働組合のAI課題戦略」について報告した。日本でもAIによる人事情報の管理、運用が進む一方で、AIを利用し無断で個人情報を提供した事件も起きている。こうした中でKDDIは、各種アプリの利用状況などのデータを収集・分析し、その結果を上司や本人にフィードバックし、効率的な働き方の見直しにつなげる趣旨のシステムを導入した。KDDI労組は、監視目的ではないこと、本人同意が大前提であることなどを確認し、データ収集の範囲や取り扱いについて、会社と協議を重ねてきた。情報労連としては、こうした事例を収集し、企業がAIを用いる際の労使協議のポイントを取りまとめ、政策提言を進めていきたいと発言した。

■パネルディスカッション3「万人のためのデジタルスキル強化(DUFA)」
UNI欧州ICTS部会のビルテ・デデン氏が、欧州電気通信事業者協会(ETNO)とUNIによるDUFAのプロジェクトについて概要を報告した。女性および高齢労働者のスキル強化および雇用適性の改善を目的とした調査が行われた。高齢労働者向けのプログラムを実施しているパートナー企業が皆無であり、既存の労働者のスキル強化の価値やスキルギャップについて認識が不十分であることが分かった。スキル向上における障壁の分析・特定、長期的な予算と投資の確保、経験の共有、社会パートナーや組合の参画が重要であると強調した。

続いて、シンガポールのUTESからスビンダー・シン委員が、同国のデジタルスキル向上および社会パートナーとの連携について、報告した。同国では、初心者およびベテラン向けのスキル強化プログラム「アップスキル2022」が導入された。一方で組合は、2019年から企業に対して、従業員のスキル強化に向けた「社内トレーニング委員会」の設置を求め、これまで800社以上が関わってきた。UTESはこの取組みに参加する企業のために覚書を作成し、労働者が未来の仕事のためのスキルを身に着けるための訓練ロードマップも策定したと報告した。

■組織化報告 
カリー・リベックICTS部会シニアコーディネータは、6月にベルリンで開催されたテック・ゲーム部門の労働者集会や、同産業についての調査研究、グーグル労組アライアンスの取組み、CWAとマイクロソフト社の中立協定等について報告した。

韓国マイクロソフト労組(KFCLU)のクァク・チャンヨン委員は、マイクロソフトやオラクル、HP、SAPの各労組での取組みや、韓国の労組を取巻く政治環境について報告した。

ミカエラ・ラファーティUNI世界ICTS部会オルグは、多国籍コールセンター企業におけるグローバルな取組みと課題、戦略について、報告した。また、テレパフォーマンスについてフランスNCPに提訴した件と、その後に出された勧告、株主向けに作成した報告書についても説明した。

ネパールUNICTSのシャンカール・ラミチャーニ委員は、アクシアタ労組では7つ目の団体協約を締結し、賃上や退職金、託児所の獲得、ハラスメントや労働安全衛生に関する規定等、様々な権利を勝取ることができたと述べ、UNI Aproの連帯支援に感謝した。

他、インド、フィリピン、マレーシアの参加者も組織化の取組みについて報告した。

■2022~2023年のUNI Apro ICTS部会活動計画
続いて、クン担当部長が、2022~2023年の活動計画として、5つの優先課題(以下)を示し、承認された。
① ICTS産業の主要多国籍企業及び地域企業における組織化と組合強化
② コンタクトセンターにおける組織化と労働基準の引上げ
③ グローバルIT企業における組織化の拡大及び強化
④ ICTS労働者のために政治的影響力と経済力を高める
⑤ 新しい仕事の世界のための戦略構築

最後に安藤議長が、ICTS産業の変化のスピードは速いが、労働者の安定した地位を求めていく組合の役割はとても大きく、我々の連携した取組みが重要であると述べ、閉会した。