第6回UNI Apro 青年大会~ Making YOUth Matter「ユースを大切にする社会へ」を開催

2022年9月13~14日に、オンラインで標記会議が開催され、約100名が参加した。

ベルナデット・レイズUNI Apro青年委員会議長が、「取組みの優良事例を共有し、ともに解決策を探していきたい」と述べ、開会を宣言した。続いて、マルタ・オチョアUNI世界青年委員会担当局長が、「若者によってこそ組合は前進できる」と述べ、今回のプラットフォームを活用して声をあげ、議論を展開してほしいと期待した。ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「団体交渉の力を持つ組合は、社会正義を実現するための主要なプレーヤーであり、若者なくして組合の未来はなく、組合なくして社会正義はない」と強調した。

大会委員の選出等
議題案、議事規則およびUNI Apro青年委員会規則を採択した後、大会各種委員会のメンバーを選出した。日本からは、太田佳織代議員(情報労連)が資格審査委員、藤原尚子代議員(UAゼンセン)が決議委員、斎藤優輔代議員(JP労組)がプロフェッショナルで礼儀正しいふるまい委員に、それぞれ選出された。 

UNI Apro青年委員会ブレイキングスルー報告と、行動計画
ミシェル・ベリーノUNI Apro青年委員会担当部長が、3つの優先課題(1:第4次産業革命時代の変化の担い手としての青年、2:UNI Aproユース―世界を変える、3:UNI Apro 青年委員会の組織化-若者の成長の可能性を広げる)を柱とするUNI Apro青年委員会の2018~2022年の活動について、報告した。

続いて、ベルナデット・レイズUNI Apro青年委員会議長が、 MakingYOUthMatter(ユースを大切にする社会へ)をテーマとするUNI Apro青年委員会行動計画(2022~2026年)について、取組みの4つのポイント(1:青年の生活・雇用の回復、2:青年の組織化、3:社会運動組合主義、多様性、若者の包摂と参加、4:スキルおよび研修)を中心に、概説した。

セッション 1 :青年の生活・雇用の回復
山下茂美代議員(日放労)が司会を務め、2名のフィリピンの青年活動家が基調講演を行った。

●フィリピンのITFユースネットワークのマーク・アンジェロ・トレンティノ氏が、昨年8月に結成したYouth for Just Transition(Y4JT)の組織と青年向けの活動(オンラインユースキャンプ、COP26についての理解を深めるセッション、Y4JTキャラバン等)、公正な移行に関する様々な技術や労働政策のアドボカシー活動について説明した。

●Y4JTやユース・プログレッシブス・ハブに参画するフィリピンOxfamのジョエル・チェスター氏は、幅広いステークホルダーと連携した公正なエネルギー移行に関する取組みを紹介した。技術面だけでなく、若者や女性、先住民等が取り残されないよう倫理的な面での政策提言も行っていること、脆弱なコミュニティがすでに甚大な被害を受ける中、スピードも重視しつつ、変化の担い手としての青年の主導を支援していると述べた。

●スリランカのミヒリ・ハプアラチ代議員(NPTWU、UNIスリランカ加盟協)は、同国における前例のない政治的・経済的危機とその要因に触れた後、若者を取巻く問題として、貧困と低所得、若者に対する政策や機会の欠如、教育を受けた若者の海外移住などを挙げた。組合は、リーダー育成研修、スキル開発、福祉プログラムの提供などを推進すべきだと訴えた。

セッション 2 :青年の組織化
●ホビッグ・メルコニアンUNI Apro組織化担当部長が、基調講演を行った。組合として重要な点は、青年と積極的に関わり、青年の声を聞くこと、さらに多くのリーダーシップ研修を行い、指導的地位に招き入れ、企画に関わってもらうこと、組合を青年の声を届ける社会変革の担い手として位置づけることだと述べた。

●プラティマ・バッタ代議員(ネパール、Uniphin)は、ネパールの医療介護部門における組織化の経験を共有した。病院経営側が組合との交渉に応じなかったため、賃上げや有給休暇等を求めて6月に28日間にわたるストを実施し、若い労働者から大きな支持を得たことが勝利につながったと述べた。一方で、組合運動の課題として、組合の取組みが新しい仕事の形態に追いついていない、若者の課題に対応していない、組織化が進んでいないことなどを挙げた。これに対し、若者の抱えている問題を特定し、若者に共感し、若者に適したコミュニケーションを図ること、組合の中に青年組織を確立し、そこに投資すること、若者が意思決定のプロセスに関わることが重要だと述べた。

●ベルナデット・レイズ(フィリピン、NUBE-IFO)代議員は、UNIフィリピン加盟協の取組みについて、「Unions goes to Campus」やパヤタス・プロジェクトなどを中心に紹介し、社会的使命のあるプロジェクトに若者を巻き込むことで、若手組合員を組合活動に惹きつけてきたと語った。また、UNI Aproと韓国金融産業財団、NUBEが連携し、パヤタス地域の人々が生計を立てる方法を身に着けられるようにするプロジェクトが開始したこと、FES財団による合同オルグ研修やY4JTのオリエンテーションにユースが参加したことも報告し、最後に、若者自身のコミットメントが不可欠であると強調した。

●シャーリーン・ロウズ代議員(オーストラリア、SDA)は、同国において若者の最大の雇用主であるマクドナルドにおける組織化について報告した。職場における労働者の権利意識を高めるキャンペーンとして、まずデジタルと対面で様々な層の労働者にアプローチして情報を提供し、アンケートを行い、労働者の経験や懸念を集めた。これによって、従業員が法的権利である有給の休憩を取っていないことが発覚し、連邦裁判所に提訴した。25万人以上の現・旧の労働者の補償に関わる問題であり、多くのマスコミが報道し、労働組合の重要性を広めることに成功したと共に、組合員数も増加したと報告した。

セッション 3 :社会運動組合主義、多様性、若者の包摂と参加
●山下茂美代議員は、ユニオンショップ制のため、組織化の苦労はないものの、いかに青年層を惹き付けるかが課題であると述べた。その上で、青年層はワークライフバランスや働き方の多様性を求める傾向があるため、交渉内容に若年層が関心を持つテーマを必ず入れるようにしたと述べ、その成果として、サバティカル休暇や自己啓発休職の獲得や、遠隔地勤務制度の拡充などを報告した。また、多様な人が組合活動に関われるよう、時間帯や参加の形態を柔軟にする等の取組みも進めていると述べた。

●齋藤優輔代議員(JP労組)は、組合の課題の一つとして次世代役員の不足を挙げ、セミナーやレクリエーションの企画・運営を通じて次世代の役員育成に取り組んでいると述べた。また、組合の社会貢献活動として、書き損じ葉書を集約、換金して社協に寄付する取組みや、本やCDを換金し、国際協力NGOに寄付する活動などを報告した。また、参院選では組織内候補者の応援にユースも関ってもらうなど、ユース組合員の政治意識の向上にも取り組んでいると述べた。

●クリシュナ・ジェヤバラン代議員(インド、AIBOBOF)は、より多くの青年に参加してもらうための取組みについて報告する中で、モチベーションを与えること、ユースネットワークの構築が重要だと述べた。キャッチフレーズとして「Involve to Evolve」を掲げており、一人の組合員がもう一人を勧誘する「Each on Fetch one」キャンペーンは大きな成功を収めたと述べた。

セッション 4 :スキルおよび研修

●森川容子UNI-LCJ事務局次長は、2010年の長崎UNI世界大会に向けて始まり、その後も次世代リーダー育成のために毎年開催されているUNI-LCJユース英語セミナーについて、説明した。参加者は、海外からの講師や異業種の若手組合員とともに、コミュニケーションスキルやチームワーク、各組織の課題や取組み、国際連帯や平和活動の重要性などについて学んできたと報告し、コロナ禍でもオンラインツールを活用し、取組みを進めていきたいと述べた。

●アンジャリ・ベデカーUNI Apro女性委員会担当部長は、若い女性の能力構築を目的に2013年に始まったUNIのメンタリング・プログラムでは、コミュニケーション能力、交渉力、リーダーシップスキル等について研修し、女性ネットワーク構築、女性の組合参加の促進、組合の意思決定に関わる女性の増加に貢献していると述べた。また、今年UNI Aproで開始したメンタリング・プログラムについても報告した。

●藤原尚子代議員(UAゼンセン)は、次世代リーダーの育成を掲げるUAゼンセンのヤングリーブズの活動について報告した。コロナ禍であったことと青年層の参加促進のためにオンラインでの「フェアトレード」をテーマとした学習会や、青年層の公民権行使を目的としたオンライン交流会を開催したことを共有した。また、ヤングリーダー研修会を開催し、チームワークやリーダーに必要な意思や能力を獲得する機会を設けていると述べた。

●太田佳織代議員(情報労連)は、2016年から若手組合役員を対象に学習会を開催し、SDGsなど将来にわたる課題をテーマに取組んできた、と報告した。また、2012年からはUNI Aproと共催で青年ワークショップを開催し、海外の労働組合役員とともに、グローバル化に伴う課題や国際労働運動の基礎知識を習得し、リーダーシップをもって行動できる人材育成を図ってきたと述べた。最後に、青年同士で柔軟なアイディアを出し合うことは、今後の労働組合を担う青年が発言力を持ち、不確実性の高い未来を切り開いていくために重要だとまとめた。

●バフニート・カウア代議員(インド、AIBOBOA)は、スキルとトレーニングについて、強化された一人一人が組合の声を強くするとして、その重要性を指摘した上で、事例をいくつか挙げた。また、オンライン学習アプリの導入や組合が独自の研修センターを持ち、トレーニングできるようになったこと等を報告した。

●インタン・ドウィ・ハンダヤニ代議員(インドネシア、ASPEK)は、若者が職場で抱える課題として、不安定雇用、低賃金、福利厚生の欠如等を挙げ、また若者が組合に入らない理由として、関心の薄さ、情報の欠如、プライベートや仕事だけに興味がある、等を指摘した。これに対応するため、組合では、様々なソーシャルメディアを駆使した活動やメッセージの発信、組合のメリットを共有する機会やカフェでのイベント開催、若者へのトレーニング実施などに取組んでいると述べた。

大会の後半に、過半数の代議員の承認を得て、UNI Apro青年委員会行動計画(2022~2026年)が採択され、またUNI Apro青年委員(2022~2026年)が選出された。 

閉会にあたり、オチョアUNI世界青年委員会担当局長が、選出された委員を祝福するとともに、青年の声を代弁するリーダーとして、ともに取組みを盛り上げていこうと述べた。アチャリャUNI Apro地域書記長は、今後4年間ともに能力を構築し、是非連携しながら取組んでいきたいと述べた。ミシェル担当部長は、今大会の開催に尽力したスタッフに感謝し、ベルナデット議長が、「青年がもっと大切にされる社会を作っていこう」と述べ、参加者とスタッフに感謝し、閉会した。