第1回UNI Apro MEI部会委員会が2014年3月4~5日、クアラルンプールで開催され、9か国33人が出席した。5日午後にはアジア太平洋放送連合(ABU)と労働安全衛生に関する共同セミナーを開催することと、地元マレーシアでメディア関係労組の労連形成を目指したワーキンググループ(UNI MEIマレーシア)設立を記念するため、構成する加盟組合代表もオブザーバーとして参加した。日本からは、中村正敏副議長(日本)に代わり、日放労の望月篤史副委員長が出席した。
クリス・ウォレン議長(オーストラリア)が欠席のため、アン・ワーライ副議長(シンガポール)が議長を代行し、「重要な出来事がメディアを通じて世界に発信され、世界を変えることもできる。透明性ある世界をつくるため、メディアの役割は重要だ。国・地域を超えた経験を交流し、それぞれの組織化に活かしてほしい」と挨拶した。
マグダレン・コーンUNI Apro MEI部会担当部長は、結成後半年の間に実施された活動の中から特に、香港ディズニーランド・キャスト労組が正月三ヶ日の労働に対する割増賃金を獲得できたこと、UNI Apro MEI部会加盟組織の団体協約の情報共有を始めたことなどの成果を報告した。
シャフィーUNIマレーシア加盟協(UNI-MLC)議長は、過半数を組織しても使用者から承認を拒否されれば、労使関係法に従い秘密投票に持ち込むケースもある中で、TV3労組を中心に、UNI-MLCが組織した5つの組合を含む11のメディア関連労組でワーキンググループを設立するまでに至った経緯を報告し、「組織化はファーストフードとは違う、ボレ(やればできる)!の精神で、組合に理解のない使用者と組合加入を恐れる従業員の双方を地道に説得することが重要だ」と述べた。カイルザマンTV3労組委員長は、UNI MEI部会初のグローバル協定がメディアプリマ(TV3はそのグループ内企業)との間で締結された背景について、良好な労使関係があるために、2010年当時メディアプリマが海外投資を始めた際、どの国に投資しても適切な労働条件を確保するよう組合及びUNIが主張したことが受け入れられたと述べた。
インドネシアからは、2010年アンタラ通信社とグローバル協定を締結した後も、経営側が第二組合を作るなど困難な時期もあったが、取締役会メンバーがグローバル協定の主旨を理解するメンバーに変わってから労使関係は徐々に好転し、直近の交渉も1か月で終了、経営計画の議論に労組代表も参加するなど成果が表れているとの報告があった。今後はアンタラ・モデルを他のメディア労使にも波及させるよう取組んでいく。
小川UNI Apro機会均等部長は、世界で未だに根強いジェンダー差別や暴力を無くすため、人々の意識変革に影響を及ぼし得るメディアの倫理的役割に期待すると同時に、組合も多様な働き方やワークライフバランスを男女共に奨励することで、より多くの女性が活躍できると強調した。アンジェリーナ委員(フィリピン)は職場におけるセクハラ撲滅の取組みについて、アニタ委員(ネパール)は中小メディア企業における間接差別(女性の低賃金、女性トイレ・育児施設の不備など)の実態を報告した。
ヨハネスUNI MEI部会担当局長は、インド映画産業における25の職業別労組間の結束を強め、米企業も入っているプロデューサー連盟との交渉力を高めるため、多くの問題の中から共通に取組める緊急課題として安全衛生を取り上げることとしたと報告した。
イアン・ブル氏(PSA/ラジオニュージーランド労組・リサ委員代理)による安全衛生ガイドラインの基本原則紹介の後、優良事例として望月日放労副委員長から、NHKの安全衛生体制について報告を受けた。
また、ゲストとしてベルギーLBC-NVK労組のクン・ドリーズ氏(メディア・ICTS担当)は、メディア/視聴覚部門の産別交渉について報告した。
最後にマグダレン部長が、2014年の活動計画を提案し、委員会はこれを確認した。次回会議は、2015年末のUNI Apro地域大会(カトマンズ)に合わせて開催する予定。
委員会終了後、シャフィー議長は、ワーキンググループのメンバーを紹介し、設立を会議参加者と共に祝った。
写真はFlickr参照。
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