労働組合が民間介護施設チャートウェルの労働リスクを指摘、投資家行動を呼びかけ

高い離職率、高ストレス、低賃金。今こそ、チャートウェルが変わる時

カナダ最大の民間労組UNIFOR、全米サービス従業員労組(SEIU)、全米鉄鋼労組(USW)およびUNIは、5月中旬に出された株主に対する注意喚起の中で、チャートウェル年次株主総会に向けた提言を発表した。

5 月 19 日の年次株主総会を前に、 カナダの大手介護施設チャートウェルの介護職員の過半数を代表する組合の連合体が同社の投資家に対し、人員配置、賃金と契約、安全衛生、結社の自由と団体交渉といった職場リスクについて、同社に働きかけを行うよう、呼びかけている。

カナダの介護部門はパンデミックの影響を特に受けており、COVID-19関連の死亡者の8割以上が介護施設におけるものだ。チャートウェルではCOVID-19による入居者の死亡率が悲劇的に高く、保健規制に関して同社が遵守していない項目の多さもあり、同社は危機の中心におかれている。

SEIU介護医療部門、UNIFOR、全米鉄鋼労組、UNIからなる組合の連合体は、投資家向けに発出した注意喚起の中で、同社のビジネスモデルに関連した以下のような労働リスクに焦点を当てた。

深刻な人員不足:介護部門における長年の問題であり、今回のパンデミックでは、労働者や入居者にとって人員不足がいかに危険であるかが、浮彫りになった。UNIFORやSEIU介護医療部門など複数の組合が、2022年にチャートウェルの施設全体で調査を実施したところ、回答した労働者の88%が、人員不足は質の高いケアを提供する能力に影響を及ぼすと答えた。

標準以下の賃金:2022年の調査ではチャートウェル労働者の85%が、自身の賃金ではまっとうな生活水準に達していないと回答した。2021年に実施された介護労働者に対する世界的な調査では、この数字は52%であった。

高い離職率:人員不足に伴う過重労働に低賃金が相まって、多くの労働者は他の雇用先を探すことを考えている。チャートウェルの従業員の離職率は、人材派遣会社の利用とともに、ケアの継続性に関して赤信号を灯している。同社は離職率を公表していないが、SEIU介護医療部門のデータから推定すると、同業他社のオルペアやコリアンよりもかなり高い離職率であることがわかる。

安全でない職場:2022年に調査した労働者の4割近くが、入居者と従業員を守るための会社措置は不十分であると回答した。ほぼ全ての回答に見られた、ストレス、疲労、身体的苦痛に関する訴えに加え、10人中7人の労働者が、業務中に身体的暴行を受けたことがあるとし、同様の数の労働者が言葉による嫌がらせも経験している。

労働組合と団体交渉は、こうした労働リスクに対処する上で重要な役割を果たしている。例えば、保健政策の専門誌『Health Affairs』に掲載された研究によると、労働組合の存在は、介護施設入居者のCOVID-19による死亡率を30%低下させることに関連することがわかった。チャートウェルは歴史的に、自社の従業員を代表する組合との交渉に敵対的であった。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「消耗し、過労し、低賃金である労働者にとって、チャートウェルのビジネスモデルは持続可能なものではない」と指摘し、「だが、世界の他の介護事業者で見られたような危機を避けたいと考える長期投資家にとっても、持続可能とは言えない。昨年、投資家らは、従来通りのビジネスは選択肢にはないということを同社に対して明確に示した。チャートウェルは今、変革を実行していることを全てのステークホルダーに示さなければならない」と強調した。

労働組合が同社のパンデミック対応について投資家に行動を呼びかけたのは、今年で2回目だ。組合は昨年、同社が労働関連のリスクをどのように管理しているかについて、取締役会のさらなる監視と情報開示を強く求める株主決議を支持する声を上げ、投票総数の31.37%を獲得した。

今回の投資家向けの注意喚起には、長期投資家がチャートウェルの慣行を変革するための、次のような提言が含まれている。
・人員不足や経営陣による反組合的行動などの労働リスクについて、同社に働きかける。
・UNIが支援する「ケア部門の責任ある投資家イニシアティブ」に署名する。この取組みは、3兆7000億ドルの運用資産を持つ100以上の投資家を集め、部門全体の基準引き上げを目指している。
・ガバナンスにおけるこれら重要な要素に関する取締役会の監督についての問題に投票する際、会社による取組みの進捗状況を考慮する。

マイルズ・サリバンUSW第6地区(オンタリオ州および大西洋沿海4州)担当部長は、「介護部門でのパンデミックは、最悪期こそ脱したかもしれないが、チャートウェルの介護施設でウィルスが猛威を振るうことになった根本的問題の多くは、未解決のままだ。深刻な人員不足と劣悪な労働条件は慢性的な問題であり、何年もずっと同じ状態が続いている」と鋭く指摘し、「投資家が他のステークホルダーとともに、同社に変革を求めることを期待する」と述べた。

アンディ・サヴェラUNIFOR介護医療部門担当部長は、「介護が、高離職率、高リスクの産業であり続ける必要はない。組合が労働者のために基準を向上し、入居者のためにケアの質を改善できるということを、様々な国や企業で目にしてきた。チャートウェルは、従業員と入居者の生活を向上させるため、従業員の声に耳を傾け、交渉を始めるべき時だ」と述べた。

シャーリーン・スチュワートSEIU介護部門委員長は、「我々が代表するのは、懸命に働いて疲れ果てて帰宅し、家族を養うために低賃金で危険な労働に直面している労働者だ。我々は投資家に対し、同社の施設で発生した死亡事故や病気の責任を追及するよう求めている。こうした事態が二度と起こらぬよう、投資家に行動を求めている」と力説した。