オランダのOECD連絡窓口、バングラデシュのVEONが労働者の基本的権利を今も認めていないとの判断

オランダのOECD連絡窓口(NCP)は、バングラデシュにおけるVEONの事業活動に対して異例の厳しい見解を示した。その中でNCPは、改善を求めてから2年が経過した後も、アムステルダムの通信会社VEONおよびバングラデシュの子会社バングラリンクが、バングラデシュにおいてOECD多国籍企業行動指針を遵守していないと結論づけた。

3月下旬に発表された評価報告書は、2020年2月11日にNCPが出した勧告に対するオランダ政府のコンプライアンス・レビューの一環であり、バングラデシュにおけるVEONの活動は、「労働組合や代表組織を持つ労働者の基本的な権利について、いまも認めていないようだ 」と指摘している。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「VEONがOECDの指針に反していることは2020年の時点で明らかだったが、残念ながら今日にいたっても状況は全く同じだ。オランダNCPはこの件の調査に多大な時間を費やしてきた。今こそVEONは、その破たんした労働慣行を正すべき時だ」と指摘し、「バングラリンクの労働者は、6年間も基本的人権を否定され続けてきた。VEONは言い逃れをやめ、労働者の結社の自由と団体交渉の権利を認めなければならない」と語気を強めた。

オランダNCPの2020年の調査結果は、2016年にUNIが提訴した特定事例に対応したものである。提訴した中でUNIは、VEONとその子会社が、バングラリンク労働組合(BLEU)の組織化を抑え込むために労働者に嫌がらせをしたと申し立てた。

BLEUはこうしたな敵対的な環境の中でも組織化を続けていた。同組合は2020年2月初旬、雇用労働省の長官から登録証明書を受け取り、労働者を正式に代表し団体交渉を実施できるようになった旨を、バングラリンク側に通知した。バングラリンクは直ちにバングラデシュ高等裁判所に法的措置を取り、その結果、NCPによる勧告が出されたわずか2週間後の2020年2月26日に、組合登録証が撤回された。組合は2020年7月に判決を不服として控訴したが、2年近く経った現在もその裁判は行われていない。

オランダのNCPは、勧告以降のVEONの状況について、依然として「労働者が団体交渉のために労働組合や代表組織を持つ基本的な権利や、企業は雇用条件について合意に達することを目的に、そうした代表者と建設的な交渉を行うべきであるということを認めていないようだ」と指摘している。さらに、「VEONは、国内の法や規制の適用範囲を超えて尊重されなければならない基本的な国際労働基準の関連性について誤解しているようだ。NCPは、評価期間中に提供された情報に基づき、VEONがNCPの勧告のいずれにも適切に対処していないと判断した」とし、また同社に対し、「結社の自由と団体交渉の権利という労働者の中核的権利について言及する」よう、その方針を改めることを促した。

OECD多国籍企業行動指針は、責任あるグローバルな企業行動のための原則と基準であり、OECDの各国連絡窓口(NCP)は、OECDの指針を推進し、裁判外の苦情処理メカニズムとして案件を処理するために政府が設置する事務所である。

VEONはアムステルダムに本社を置く多国籍通信企業で、2億3,500万人の顧客を有し、12か国で事業を展開している。VEON株の47.9%を 投資会社LetterOneが 保有している。 NASDAQとユーロネクスト(アムステルダム)に上場 するLetterOneは、ロシア政府と密接な関係にあるミハイル・フリードマン氏とピョートル・アベン氏という2人のロシア人投資家が実権を握っている。この両氏は、ロシアのウクライナ侵攻後、ロシア政府との関係からEUと英国の制裁リストにその名が掲載されており、フリードマン氏氏はその後、VEONの取締役を退任している。