安全衛生を通じ、労働者の力を構築

UNIの新しい報告書では、労働安全衛生の改善に向けた組織化を通じ、組合がどのようにパンデミックに関わる課題に立ち向かい、力をつけてきたかを示している。

3月31日にUNI商業部会とケア部会が共催したウェビナーの中で、報告書『より安全な仕事と強い組合-安全衛生を通じた労働者の力の構築』が発表された。その中では、労働組合の昨今のキャンペーンに焦点が当てられ、安全衛生の諸課題が、世界中で自らの権利を求めて戦う労働者の結集点となってきた状況が浮き彫りになっている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「パンデミック中、労働安全衛生の諸課題が引き金となり、労働者の活動や組合の取組みが行われてきた。この報告書は、致命的なウイルスに直面した労働者を保護するため、UNI加盟組織がどのように立ち上がり、成果を勝ち取ったかを示すものだ。組合の戦略が功を奏し、組合員は、個人防護具へのアクセスが改善し、有給で病気休暇や検査や隔離のための休暇を取得し、重要な社会的役割を認識されるようになった。今後に向けて、組合はこうした成果を基に、より強力な労働運動を展開していくことができる」と述べた。

この報告書は、パンデミックの最前線で労働者が重要な役割を担っているUNIの2部会として、商業とケアの組合に焦点を当てており、労働組合が労働者の力を構築し、安全衛生を改善するため成功した5つのアプローチを示している。
1) 使用者との団体交渉で労働安全衛生を強調する。
2) 政界の指導者に、改革へ向けた圧力をかける。
3) 地域組織との共同行動に参加する。
4) 労働安全衛生委員会を組織化の触媒とすること。
5) メンタルヘルスの問題は、身体的な健康と同様の重要性があると定義する。

このウェビナーでは、アルゼンチンの商業サービス労連FAECYSのシーザー・グエレロ安全衛生担当が、講演の中で「労働組合がなければ、パンデミックはより致命的なものとなり、労働条件は安全性の損なわれたものとなり、エッセンシャルワーカーは得られるべき尊厳や公正な賃金を得ることができなかっただろう」と述べた。

FAECYSのロビー活動によって、アルゼンチン議会はすべての職場で安全衛生委員会の設置を義務付ける法案を検討している。可決されれば、労働者は職場において安全衛生委員会の委員を選出・任命する権利を持つことになる。

同国ではヘルスケア部門の組合FATSAの取組みにより、医療従事者が賃上げだけでなく、パンデミック時の尽力に対する一時金を受け取ることができた。FATSAのミゲル・ズビエタ 教育担当は、「組合は決してあきらめず、先頭にたち、COVID-19を労災として認定させるために取組んできた。これは、労働者が効果的な個人防護具を確保し、正当な賃金を受け取り、病気休暇を利用できるようにするために、絶対に欠かせない取組みだった」と振り返った。

米国では、全米食品商業労組(UFCW)が、食料品店の労働者が地域社会に食料や生活必需品を提供する役割について認識を高め、危険手当を交渉した。スタンリー・ガセックUFCWグローバル戦略シニアアドバイザーは、「正義は決して与えられるものではなく、勝ち取るものであり、我々は組合員のために正義を要求し続けなければならない」と述べた。

また日本からは、UAゼンセンに加盟するイオングループ労連の森木雅子社会政策局長は、カンボジア・イオンリテールワーカーズユニオンの安全衛生の取組みを報告した。従業員から現場の課題を集め、組合会議で分析と解決提案を考え、労使協議で発表、意見交換を行うなど、従業員目線の課題を話し合い、労使が協力して解決していくプロセスが、具体例を交えて共有された。

ネパールでは、UNI加盟組織の医療部門の組合UniPhinが、労働者がPPEやメンタルヘルスのサポート、休暇を確保できるよう支援した。プラティマ・バッタUniPhin財政兼オルグ担当は「多くの労働者にとって、UniPhinは希望の源であり、困難な時期に新しい組合員を組織することができた」と、述べた。

この報告書は、オープン・ソサエティ財団の資金援助を得て作成された。

報告書をダウンロードするには、ここをクリック。(英語)