パンデミックで小売店舗内の暴力が世界的に増加

UNIの新しい報告書で、コロナ禍で小売店の従業員に対する暴力のパンデミックが、世界中で生じていることが明らかになった。

20か国以上の労働組合の調査から証言を集めた報告書 『不都合な真実:商業における暴力とハラスメントのパンデミック』 では、小売労働者に対する顧客からの暴力は、パンデミック以前から決して珍しいことではなかったものの、パンデミック以降、憂慮すべきレベルにまで急増していることが示されている。

Union to Unionの支援を受け、今回UNI 世界商業部会が作成した広範な報告書では、小売業における虐待、暴力、ハラスメントの増加に対応するため、労働組合が新法の制定、保護措置の交渉、顧客の行動改善を求めるキャンペーンを展開している様子が詳細に記述されている。

調査によると、小売業の労働者が最も危険にさらされるのは、マスク着用や社会的距離の確保など、COVID-19に関わる規則を守るよう顧客に求めた場合である。米国では、小売店員が客にマスクの着用を求めたために射殺された事例まである。

オーストラリアの組合SDAによる調査では、パンデミックの期間中、5人に1人の労働者が故意の咳払いや唾を吐きかけるなどの行為を顧客から受けたと回答し、回答者の88%が顧客からの暴言を経験したと答えている。

英国では、パンデミック以降、顧客からの暴力が倍増しており、小売店労働者の10人に9人が暴力や暴言の被害を受けたと答えた。

日本では、悪質クレームやハラスメントが急増し、調査した従業員の36%が、パンデミックの影響による迷惑行為があったと回答した。

多くの場合、女性の小売店労働者が顧客からの嫌がらせの影響を最も多く受けており、また、セクシャルハラスメントの矢面に立たされていることが調査で示されている。フィンランドでは、調査対象となった小売店従業員の約56%が顧客からのセクハラを経験したと報告し、ナイジェリアでは、58%の女性が職場でジェンダーに基づく暴力を経験したと報告している。しかし、3分の1以上が、こうした行為を報告したとしても、正義が守られることはほとんどないと回答している。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「この報告書が示すのは、どこの国、地域、大陸においても、商業労働者に対する暴力が日常的に蔓延しているということだ」と述べ、「だが同時に、キャンペーンや法律の制定、団体協約を通じて、組合が労働者を守るために取組みを強化していることも示されている。UNI世界商業部会は、小売労働者が暴力を仕事の一部として受け入れる必要がなくなるよう、暴力の蔓延をこの部門からなくすため、できる限りのことをしていく」と力を込めた。

UNIは各国政府に対し、仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶に関するILO第190号条約を批准し、労働者を保護する法律を導入・施行するよう呼びかけている。また、UNIは小売業者に対し、以下の点を要求している。
• 暴力に対するゼロ容認ポリシーを採用すること
• ジェンダーに基づく暴力の蔓延に取組むこと
• 労働組合と協議・交渉すること
• 従業員を保護するために必要な措置を講じるよう、直ちに行動を起こすこと

◆Union to Union:労働組合運動を支援するスウェーデンの市民社会組織