コロナ禍とDXの影響を受ける印刷・パッケージング部会加盟組織、新たな行動計画を採択

2021年9月14日、9か国14加盟組織より34人と、来賓・スタッフ19人が出席し、第5回UNI Apro印刷・パッケージング部会大会がオンライン開催された。

大会は、2017~2021年度UNI Apro印刷・パッケージング部会活動報告、2021~2025年度UNI Apro印刷・パッケージング部会行動計画、UNI Apro共同声明を採択すると共に、2021~2025年度UNI Apro印刷・パッケージング部会委員会委員及び役員を選出した。議長にはロレイン・キャシン氏(オーストラリア)が再選され、副議長には、宍戸印刷労連委員長(日本、東アジア代表)、ラビ・ラマサミー氏(マレーシア、東南アジア代表)、ジャグディシュ・ゴッセ氏(インド、南アジア代表)が選出された。

また、古賀印刷労連副書記長が資格審査委員長、安部全印刷書記長が決議委員を務めた。

ロレイン議長は、開会挨拶の中で、「本大会では、新たな環境の中でいかに組織化を進めるか、いかにコミュニケーションを図るか、情報交換を密にしいかに労働者を代弁していくかを議論する」と述べた。「ワクチン接種の格差が拡大する中、最前線で働いている労働者の安全確保が重要であり、多国籍企業は賃金や安全衛生を疎かにしてはならない。DXが加速し、チャンスも到来し、持続可能なパッケージング産業の構築が必要だ。過去のような形には戻らない。大会で情報交換をし、職場に戻りそれぞれの計画を策定することが大切だ」と強調した。

ホフマンUNI書記長からは連帯挨拶を受けた。「印刷・パッケージング部門はエッセンシャルワーカーであり、職場における安全衛生の確保が重要だ」と述べた。「コロナ禍により原則した世界経済を復興させる上で、労働者が取り残されてはならない。多くの企業がコロナを口実に、ビジネスモデルを変更したり、賃下げを行っている。特に印刷部門、新聞業界では、活字媒体が廃刊に追い込まれている。広告収入もデジタル企業に取られている。印刷やメディアは独占企業であってはならない。業界の将来をどう形成していくか交渉できる組合の存在が重要だ。技術の変化に対応して、労働者のスキルアップが重要だ。民主的な社会において労働組合は極めて重要な存在であることを強調していく。」

ニコラUNI世界印刷・パッケージング部会担当局長は、「コロナ禍で印刷・パッケージング業界の中でも、大打撃を受けた新聞、セキュリティ印刷部門と、ティッシュやパッケージング等の生産が増え成長した部門もある。我々は国際会議をオンライン開催しタイムリーな情報交換に努めた。労働安全衛生に関するガイドラインを策定し、各産業の傾向分析も行った。国際ジャーナリスト連盟(IFJ)とも連携を強化している。セキュリティ印刷部門の情報交換も継続していく。アムコール社のUNI Apro労組ネットワークを強化していきたい。マレーシアで印刷・パッケージング部門の労連(UNI PACK)が結成されたことは大きな成果だ。ネパールで、デジタル組織化を始めた。今後はフィリピン、ラオス、ベトナムにも目を向け、強力な組合をUNI Apro地域で構築していく」と挨拶した。

続いて、ラジェンドラUNI Apro地域書記長から基調講演を受けた。「印刷・パッケージング部門のコロナ禍の影響には濃淡がある。デジタル化の影響で新聞は廃刊になる等影響を受けていたが、コロナ禍で更に深刻化した。一方、パッケージやティッシュぺーパー部門は、衛生用品や食料品の需要増により活況となった。これらの変化が永続的なものになるかどうかは不明だが、デジタル化、自動化が一気に加速した。非正規で不安定な低スキル・低賃金労働が増え、労使関係が蔑ろにされる新しい労働形態が出現し、所得格差が拡大している。人間を中心とした復興を目指すには、ILOが提唱するように、①人間の潜在能力への投資、②仕事に関わる制度への投資、③ディーセントで持続可能な仕事への投資の拡充が重要だ。UNI Aproは、パートナーシップ労使関係を促進しながら、全ての人にとって、包摂的かつ公正で持続可能な社会の実現を目指し、国民皆保険、疾病手当の確保、移民労働者の保護、労働安全衛生の遵守と基本的労働権の確保等に取組んでいく」と述べた。

以下は行動計画に沿ったテーマ別議論の要約である。

セッション1「組織化! エンパワーメント! より良い団体交渉に向けて力の構築!」

UNI Apro各国で事業を行う多国籍企業アムコール、テトラパック、キンバリークラーク、ウェストロック等の組織化に重点を置き、労組間の連携を図っていく。ホビッグUNI Apro組織化担当部長から同部会の計画を聞き、インド・プネ地区における多国籍パッケージング企業の組織化に向けた調査報告と計画について確認した。

セッション2 デジタル化及びCOVID-19等の課題に対する革新的な対応」

宍戸印刷労連委員長は、産別労組として、働く立場から意見提起を行い、産業政策等について労使間での共有を目指しつつ、雇用の維持と創出、賃金・労働条件の維持向上に全力を挙げていくと発言した。

インドネシアASPEKのアリ印刷・パッケージング部会議長は、コロナ禍における政府及び企業への要請や、DXにおいても労働者が新しいスキルを習得できるよう支援している取組みを報告した。ラビ・マレーシア新聞労連書記長は、新聞業界は読者層が印刷媒体からSNSに移行し、縮小を続け、多くの組合員を失ったと述べた。組合つぶしも横行し、在宅勤務、契約労働・請負労働が増加し、組合に入りたがらない若年層もおり、組合員増につながらないと苦しい状況を報告した。

梅原全印刷委員長は、デジタル化は回避できないが、国民サービスの質の低下を招かぬよう、新事業の確保に向け労使間で課題を明らかにしながら克服に取組んでいくと述べると共に、長年支援してきたインドのセキュリティ印刷9組織が近い将来団結し、UNI活動に積極的に参加することに期待を寄せた。

これを受け、ジャグディシュ・インドセキュリティ印刷労組書記長は、7月にUNIが情報交換セミナーを開催してくれたこと、特に梅原全印刷委員長の支援に感謝した。セキュリティ印刷部門はデジタル化の影響を大きく受け非常に厳しい。「インドでもデジタル通貨による決済が年末までに開始される予定だが、都市のみで使用され、地方では混乱が生じる可能性がある。横行するサイバー犯罪の殆どが未解決で、セキュリティ上のリスクが高い。雇用喪失にもつながる」と警戒し、更なる情報交換の開催と支援を要請した。ジョー・ニュージーランドEtu交渉担当は、使い捨てプラスチックを減らすため、新たなパッケージのニーズが生じており、公正な移行を推進していくと強調した。

セッション3「印刷・パッケージング産業のより良い未来に向けてネットワーク強化」

市村大日本印刷労組委員長は、組合員の社会に対する関心や知識を高める取組みとして、UNIの協力を得て、SDGsをテーマとしたウェビナーを開催し、サプライチェーンの問題や児童労働について紹介したことを報告した。

マヘンドラ・ネパールIMPRESSION委員長は、組合員への福利厚生の充実や教育、労働環境改善の取組みを通じて組合のイメージを刷新すると共に、労働契約の適正な締結を目指していると述べた。デジタルプラットフォームを活用して組合員とのコミュニケーションや社会対話を図ろうとしている。

吉永新聞労連委員長は、ジェンダー平等実現に向けた取組みを報告した。組合の「真の民主化」を実現するには、具体的な数値目標を立て、マイノリティ性のある立場の人の声を拾えるよう、制度、構造、システムを変え、その必要性を組合員に繰り返し説明し全体で取組むことが重要だと述べた。