UNI Apro商業部会は、コロナ禍を乗り越えエッセンシャルワーカーの正義のために立ち上がる

2021年7月13日、アジア太平洋地域の商業部門労働組合のリーダーが一堂に会し、第21回UNI Apro 商業部会委員会がオンラインで開催された。委員会では、日本、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ネパール、韓国、香港の各委員より、最新の状況と活動報告が行われ、コロナ禍の中、社会生活維持のため日夜働くエッセンシャルワーカーの正義のために活動を推進していくことを確認した。

開会にあたり、ジェラルド・ドワイヤーUNI Apro商業部会議長は、商業部門労働者を取り巻く環境は、依然として厳しく、みな苦戦している。コロナ禍のみならず、ミャンマーや香港では社会・政治的な混乱に苦しんでいる状況である。日本、インドネシア、タイ、マレーシア、そしてオーストラリア最大のシドニーは、2週間ロックダウンが続いている。ロックダウンの中、深夜であろうと自らを感染リスクにさらしながら地域社会のために食品を販売するエッセンシャルワーカーへの取組みを継続する。コミュニティに貢献するのは我々の義務である。小売労働者に優先してワクチン接種できるよう働きかけなければならない。商業部門労働者が職場で尊重され、嫌がらせを受けないよう取組む。Eコマース労働者の組織化に取組み、デジタル化でつながる機会を増やしていくと述べた。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、コロナ禍は現在も継続しており、インド、ネパール、バングラデシュ含めアジア太平洋地域全体で感染者数が増え続けている。平等なワクチン接種に加え、適切な医療へのアクセスが重要課題になっている。多くの地域で復興が遅れている。6月に開催したデジタル組織化に関するウェビナー、デジタルトランスフォーメーションと小売業の未来に関するウェビナーによって新たな活動のアイデアが生まれた。デジタル組織化を進めるため、組織化に関する研修・訓練を行っている。ITUCからGRI(国際人権指数)報告が発表され、フィリピン、バングラデシュ、ミャンマーが指数の低い3か国となった。厳しい挑戦になるが、我々が連帯しイノベーションを駆使して乗り越えようと述べた。

基調講演「未来の仕事の世界における公正と正義のための組織化」
ジェラルド・ドワイヤーUNI Apro商業部会議長,SDAオーストラリア

雇用の安定は将来にわたって保障されなければならないが、企業はコロナ禍に乗じて経済リスクを労働者に押し付け、利益をあげている。我々労働組合が雇用の安定に取組む理由は、安定し継続した雇用が保障されていれば、生活に安心感が得られ、そこにプラスの側面が生まれるのである。商業部門には常に非正規労働者が存在し、この数十年間で企業は、ますます非正規労働者に依存し、経営のしりぬぐいをさせている。非正規雇用は長期的には会社の利益にならない。従業員の意識低下、生産性の低下につながる可能性がある。雇用の安定について取組みたい。企業には将来に向け予算を組んでもらいたい。家族を支え、コミュニティを強化するため安定した雇用を創出するよう求める。コロナ禍でも雇用が守られれば、食料に困ることなく、病欠がとれ、社会保障が提供される。商業部門にイノベーションを起こす上でも雇用の安定は重要である。雇用の安定を勝ち取るためにも組合員を増やさなければならない。Eコマース労働者の組織化に取組まなければならない。Eコマース労働者は同じ商業部門の仲間であり、他の商業労働者と区別すべきではない。現在、商品は様々な場所で取引されており、Eコマース労働者の組織化が進んでいる。今後も我々のチャレンジは変わらない。労働者を組織化し、彼らを代表する組合とならなければいけない。今後も組合の重要性は高まるはずであり、労働の世界でデジタルトランスフォーメーションが進行する中、公正・公平を実現する上でEコマース労働者を見落としてはならない。

イオングループ労働組合連合会の GFA(グローバル枠組み協定)活動と労使関係の原則
永島 智子 UAゼンセン副会長

世界中、とりわけUNI Apro地域において、コロナ禍が拡大する中、職場の安全衛生活動の重要性がより高まっている。2020年12月、イオン労連では、グローバル・ネットワーク・コミッティ(GNC)において、従業員の安全と健康を守ることができる職場を実現するため、各国における安全衛生推進活動の再強化を各国の単組と共有した。各国の労使の取組みの進捗を確認し、イオン労連が必要に応じてサポートしていく。また、通常の安全衛生委員会だけでなく、今年は会社のコロナ対策会議に組合3役が参加し、現場従業員の課題や声を伝えて、提案を行うことで、従業員が安心して働ける環境作りを労使協働で取組んでいる。また、GFAの取組みとして、カンボジアCARWUにおける職場の課題解決の取組みや中国湖北省のイオン労組組合役員教育に取組んでいる。改めて役員一人ひとりがイオン労連の目指すべきビジョン、歴史、協調的労使関係について学ぶことで自分たちの役割をイオン湖北でどのように果たしていくかを話合っている。

コロナ禍において、労働者を守るための労働運動の重要な役割を再認識する
藤田 清憲 自動車総連副事務局長

コロナ禍における自動車総連の取り組みについて共有する。日本における新型コロナウイルスの影響は、数度にわたる緊急事態宣言の発令など、経済活動は大きく停滞し、現在でもコロナ禍前の経済レベルには戻っていない。自動車の国内新車販売においてもマイナスが継続している。こうした状況の中、自動車総連は、①加盟する12労連との確実な連携、②経営者団体との連携・要請、③政府への各種要請という、3つの政労使の枠組みで進めてきた。
まず①12労連との連携では、労働組合から各メーカー・大手部品企業の稼働状況を集約し、即時展開、各社の生産計画や要員計画に役立てることができた。次に②経営者団体への要請では、自動車産業の経営者団体である、日本自動車工業会に対し、各メーカーの稼働停止日のばらつきを出来る限り抑えるようカレンダーの統一を要請した。この取組みは、部品企業の負担減少につながったと評価している。自動車総連では、こうした経営者団体への要請は、直接対話で実施している。そして③政治への働きかけでは、緊急経済対策の必要性を国政政党に提起した。特に自動車総連と日本自動車工業会において「産業労使会議」を開催し、労使連携してコロナ危機を乗り越えるということを確認した。その中で、自動車総連より、特に窮状に陥っている中小部品企業に対する支援を要請し、自動車工業会からは、日本の自動車産業のためには、中小を含めたモノづくりの現場を失ってはならない、タイムリーに支援していく、という見解が示され、雇用維持の重要性を確認することができた。
この対話以降、自動車工業会としては、他の経営者団体と連携し、窮状に陥った企業が資金調達を容易にできる仕組みを整えたり、従来よりも広い範囲で取引先部品企業の現場の支援を実施するなどの支援策が展開され、労使対話が様々な動きに繋がった。

人間の価値、労働の質、人財力の向上によるイノベーションで未来を創る
八野 正一 UAゼンセン副会長

グローバル化とデジタル化により経済社会構造が大きく変質する中、コロナ感染症の拡大も加わり、わたしたちサービス産業には、様々な変革が求められている。UNI Apro地域のそれぞれの国、地域によって違いはあるが、多様な労働者の組織化、最低賃金、労働時間管理、安全衛生、ハラスメント対策等という労働の基盤を構築することは、最も重要である。UNI-Apro商業部会委員会は、コロナ禍の中で、また、ポストコロナを見据えて、「ディーセントな労働条件、雇用」を創出いくために『パートナーシップ労使関係』をどのように成長させ、どのような考え方ですすめていくかが問われている。
日本では、人口減少、少子高齢化は他に類を見ないスピードで進み、「日本が将来にわたり成長を持続する」には、「付加価値を継続的に創出する」には、わたしたちは、「人材の価値、良質な雇用を中軸に置き、生産性を向上させていく」以外に道はないと考える。「誰のための、何のための労働運動/生産性運動なのか」、「自らが進む方向性は」を常に考え、デジタル化を生産性改革のど真ん中に置き、付加価値を高めるための視点から様々なチャレンジが必要である。
「生産性の理念」について、生産性というと「効率化」、また労働投入量(就業者数、または就業者×労働時間)を削減し、利益を短期的にあげていくという意味で捉えられていることが多いが、我々は「働く側から生産性」を捉えるべきである。「生産性」とは、今日は昨日よりも良くなし得るという確信であり、さらに、明日は今日にまさるという確信である。条件の変化に経済社会生活を不断に適応させていくことであり、新しい技術と新しい方法を応用せんとする不断の努力である。そして人間の進歩に対する信念である。「サービス産業の生産性向上~生産性経営への転換をどう図るか」という課題に対し、「人間の価値、労働の質、人財力の向上によるイノベーションで未来を創る」という考え方を提起し、提言とする。「生産性運動とは持続可能な社会環境を創造し、未来への責任を果たす鍵である。」と捉え、サービス産業における生産性向上とは、ヒトを中軸に置き、ヒトによるイノベーションの創出により、付加価値の向上を目指すことが重要であるということである。提言1「企業ビジョンの再定義⇒成長経営から生産性経営へ」サービス産業のイノベーションの創出の根幹は人材である。「人材には新しい価値を創造する人材」と「その基盤を支える人材」で構成されて、その両軸の人材を育成することが重要である。提言2「持続可能なディーセント・ワークを構築し、人間の価値を高める」企業ビジョンの再定義に際し、「ヒト」に着目するだけでなく、「雇用の質」「人間の価値」に更に踏み込むべきである。イノベーションの起点は「ヒト」であり、ヒトが「持続的なディーセント・ワーク」の構築をする。