新電子決済システムからアマゾンを除外せよ―インド準備銀行に国際労働組織、NGOらが共同要請

インドが数兆円規模の新たなオンライン決済システムの立ち上げを準備する中、6月上旬、UNI、インドステート銀行従業員労働組合(AISBISF)、IT for Change、外資系小売・電子商取引に反対する共同行動委員会(JACAFRE)を中心とする労働組合及びNGOらが、インド準備銀行(RBI)に対し、新たに「手数料の高い」営利目的の決済システムを設立するアマゾンの申請を却下するよう、共同で要請を行った。理由は、「アマゾンは、RBIが義務づけている公正さと誠実さの実績に欠ける」ためである。また、同日に公開された共同文書において「アマゾンは、公平と公正の原則に反しており、不正で、濫用的、反競争的な行為について、インドを含む数か国で調査を受けている 」と指摘した。
RBIはインドの中央銀行であり、規制当局でもある。RBIが進めようとしている新しい決済システムを開発・運営する事業体(NUE)は、非営利のインド決済公社(NPCI)が運営する決済システムとは別に新たな決済システムを、企業が開発・運営することを認めるものである。RBIが提案する営利目的のNUEシステムは、民間企業による代替決済システムの運営を促進することで、現在の非営利システムに対抗する土台を設けることを意図している。
ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は「インドは、非倫理的で反労働者的、反競争的な慣行を長く続けるアマゾンのような企業に、デジタル決済システムを渡すべきではない。何百万ものインド人が、日常のビジネスや生活を営む上で、使い勝手の良い、手数料のかからないオンライン決済を利用している。RBIは、利益よりも人々を優先する責任ある事業者の手にNUE委ねるべきだ。」と述べた。現在アマゾンは、外国直接投資規則の違反および反競争的行為の疑いで、インド執行局、外国為替管理局、インド競争委員会から調査を受けている。また、小規模事業者や業界団体がアマゾンに対していくつかの嘆願書を提出している。
JACAFREのC.H.クリシュナ氏は、「成長と市場独占、利益に対するアマゾンの飽くなき欲求は、インドの労働者、消費者、業者にとって良いものではない」と述べ、「RBIはインド国民の側に立ち、公正で自由なオンライン決済システムを維持する必要がある」と主張した。
またロイター通信は、アマゾンがインドのEコマース・プラットフォームにおいて、特定の「特別な」販売業者を優遇している。アマゾンの売上の大半は、アマゾンも株式を保有しているなど、何らかの形でアマゾンが関係している、ごく少数の大規模事業者によるものであると報じた。
パーミンダ・ジット・シンIT for Change事務局長は、「インド政府は、すべての人に無料でサービスを提供するシステムが完全にうまく機能している中で、企業が運営する営利目的のデジタル決済取引システムを並行して推進すべきではない。」と述べ、「アマゾン、ウォルマート傘下のフリップカート、リライアンス・ジオのような巨大Eコマース企業を招き入れ、我々からさらに多くの資金とデータを吸い上げることは、インド人ではなく、企業上層部に利益をもたらすだけだ。」と指摘した。

さらにアマゾンは、世界的にも執行機関の監視対象となっている。米国では、アマゾンが自社プラットフォーム上でのサードパーティーの販売業者への対応において、「広範な反競争的」行為を行っていると指摘されている。また、米国連邦取引委員会(FTC)による独占禁止法に基づく捜査も行われている。アマゾンはこれまでに、配送ドライバーとの契約に違反したとしてFTCに数百万ドルを支払っている。
同様にアマゾンは、欧州でも競争法違反の疑いで捜査を受けている。販売者とオンライン市場の所有者という2つの役割を担うアマゾンが、立場を利用して他の販売業者に不利益を与えているとされるためだ。
サンジーブ・クマル・バンドリシュAISBISF書記長は「インド準備銀行には、通貨、金融、銀行業務に関わる重要なインフラ業務を、営利目的で運営する企業の手に委ね、結果として企業の力が定着するようなことはしないでもらいたい。NPCIとUPI(統合決済インターフェース)は、RBIの綿密な規制・監視のもとで良い仕事をしており、公共の利益にならない営利目的のシステムを並行して開発することには全面的に反対する」と強調した。
アマゾンの倉庫で世界的に労働者の不安が高まり、米国の巨大テック企業の労働者の扱いに対する批判が増大していることを受け、欧州議会はアマゾン最高経営責任者であるジェフ・ベゾス氏に対し、同議会の雇用・社会問題委員会での証言を要請している。
また、アマゾンによる「欧州の労働法、データ法、プライバシー法の違反」について、労働組合が欧州全体での調査を要求したことを受けて、昨年10月には37名の欧州議会議員が、ジェフ・ベゾス氏に緊急の行動を求める書簡を提出した。