昨年UNI-LCJとして初めて首都ビエンチャンにおいてLFTU(ラオス労働組合連盟)支援セミナーを開催した。今年は2013年12月3~4日、第2回目として、LFTU地方組織の役員向けにルアンパバーンでセミナーを開催した。ラオス側からは、LFTU本部よりオンカム労働保護局長、ブーンタン同部長、ビライ国際局副部長はじめ、地方6県より郵便、テレコム、銀行、水道局、学校、商工会等の労働者及びLFTU地方組織役員等、計28人が参加した。日本からは、情報労連の高梨NTT労組中執を団長に、10人の講師が出席した。
開会式で高梨団長は、ラオスがグローバル経済に統合されようとしている中、グローバル化には光と影がある点を指摘し、労働組合も政府や特に民間企業の素早い動きに対応し、労働者の視点から建設的な意見をタイムリーに提言・要求していく必要があると警鐘した。この点で、UNIと日本加盟組合は、サービス産業労働組合のグローバルなネットワークとパートナーシップ労使関係の経験を活かし、ラオス労働運動に有益な情報を提供できるだろうと述べた。
オンカム局長は最初にLFTUの概要、労働組合の役割と責任について説明し、社会経済の発展に伴い、関係法に曖昧な点や現状に合わない点も出てきており、改善の必要があると指摘した。ラオス統計局(2012年)データによると、成長率は8.2%を記録し、農民が人口の8割を占めるものの、サービス業はGDPの約37%と農業(約26%)、工業(約31%)より高い。また、LFTUの課題としては主に以下の点が挙げられた。
・LFTUは法改正委員会のメンバーになっており、労働に関する各種法律が現状に即しているかを組合員に調査しつつ検証し、労働者の立場から提言を行っていく。
・現在、民営化が進み、国営企業と民間企業の比率は30%・70%だが、民間企業、特に外資企業や中小企業の組織率及び協約締結率が低い。
・社会保険の低加入率。社保で受けられる医療レベルが良くないため、労働者(給与の4.5%負担)も加入するメリットを感じず、企業側(5%負担)も無駄と感じていることが原因。
高梨団長のUNI及びUNI-LCJ紹介に続き、「労働組合の役割と責任」というテーマで日本から、立川馨三講師(損保労連あいおいニッセイ同和損害保険労組・執行委員長)が産別労組とナショナルセンターそれぞれの役割について、飛田健二講師(全信連三菱UFJ信託銀行従業員組合・書記長)は目的と機能、単組の具体的活動事例を紹介した。「団体協約交渉」のテーマでは、矢澤猛俊講師(自動車総連・業種政策局部長)から団体交渉と労使協議の違いや“対立”と“協力”を併存する労使関係が概説され、北﨑衛講師(JP労組・中央執行委員)からはJP労組の様々なコミュニケーションチャンネルを通じた労使対話が例示された。「賃金交渉」については、横田芳治講師(自動車総連・労働条件局部長)が日本の賃金の特徴とその遍歴、賃金交渉を説明し、田中祐介講師(損保労連エイアイユー労組・執行委員長)は外資保険会社の世界共通の職務基準・職務等級・評価システムを紹介した。「組織化・新規組合員獲得」のテーマでは、高梨団長が日本全体の組織率の変遷を非正規労働者の増加を主要因として報告した他、川橋学講師(UAゼンセン・流通部門産業政策部長)はいくつかの事例を挙げて具体的手法を説明した。
オンカム局長は最後に、「労働は商品ではない」と強調し、状況は異なるがラオスも日本も労働者の条件・福祉向上という同じ目標に向かって、情報交換しながら努力していこうとまとめた。3年目の来年は、ラオス側代表を招いて日本でのセミナー開催を検討する。
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