セキュリティ印刷部門の労働組合、情報共有を通じ変化に備える

2020年10月19日、UNIに加盟するセキュリティ印刷部門の労組が参加し、国際ウェビナーが開催された。EUから資金援助を得たプロジェクトとして、UNI欧州印刷・パッケージング部会は、セキュリティ印刷部門における変化の動向を予測して組合としての対応を協議するため、2020年度、欧州レベルでのセミナーを3回予定していた。第1回目は2月に対面で実施されたが、第2回目(6月実施予定)はコロナ禍のため延期となり、今回オンラインでの開催となった。

オンライン開催のメリットを活かし、参加が世界に呼びかけられ、欧州(ベルギー、クロアチア、フィンランド、フランス、ドイツ、ポーランド、スペイン)、アジア太平洋(日本、インド、ネパール)、米州(ブラジル、コロンビア、ペルー、ウルグアイ)、アフリカ・中東(バーレーン、トルコ)等から約50人が参加した。

第1部では、まずシンデックス社から「セキュリティ印刷部門のグローバルな動向」について調査結果の報告を受けた。続いて、世界の主要なセキュリティ印刷部門の労組代表より、①コロナ危機の影響と課題について、②セキュリティ印刷部門の課題と組合の戦略・対応について、報告を受けた。UNI Aproからは、全印刷・梅原委員長(UNI Apro印刷・パッケージング部会副議長)及びインド・セキュリティ印刷労組のジャグディシュ書記長がそれぞれ日本とインドの状況を報告した。

梅原全印刷委員長は次の通り報告した。「コロナにより銀行券の製造は影響を受けてはおらず、2024年度に日本では改刷の予定である。一方、パスポートは渡航規制により大幅減少した。キャッシュレス決済比率は約20%(2017年)であり、政府は今後10年で倍増(40%)を目指している。コロナの影響で、現金より非接触型決済を選ぶという消費者の行動様式の変化も考えられる。キャッシュレス決済サービスが増加する一方、不正利用が発覚する等、セキュリティの確保も必要である。日本で現金志向が強い理由は、いつでも引き出せる利便性、手に触れないお金への警戒心、紙幣の信用の高さ等があげられる。各国が積極的に中央銀行デジタル通貨(CBDC)を検討しており、日銀も実証実験の取組み等、検討スピードが加速する兆候がある。」

この他、インド、英国、ドイツ、ブラジル、コロンビア、ケニアの組合代表から報告を受けた。

第1部の最後に、二コラ・コンスタンティノウUNI世界印刷・パッケージング部会担当局長は、欧州だけでなく、他地域の最新状況を共有することにより、それぞれの状況に応じて先を見据えた対応を検討する際の参考にしてほしい、と期待を述べ、各国の発表者に感謝した。今後もこのような情報交換の場を検討していきたいとまとめた。

第2部は欧州の労組代表が、コロナ危機及びデジタル化による銀行券製造への影響と、欧州中央銀行「銀行券」部門の社会対話について最新状況を報告し、2月のセミナーで確認したまとめを最新化した。