AI、リモートワーク等の課題解決をけん引するICTS部会

2020年10月13日、UNI世界ICTS部会委員会がオンライン開催された。開会挨拶の中で、アンディ・カー部会議長は、オンライン開催の利点として多くの傍聴者を歓迎した。日本からは、野田UNI Apro ICTS部会議長に加え、情報労連から多くのオブが参加した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、コロナ禍に見舞われた2020年を振り返り、労働者・労働組合への影響と回復への道のりについて語った。「我々が家族や同僚を失い、孤立し、記録的な失業や経済の悪化、貧困の拡大に直面する一方、大手テック企業をはじめとする億万長者はパンデミックによって巨万の富を手にした」と述べた。そのような中、UNIの取組みは、コロナ危機の当初は職場の安全衛生に重点を置き、安全な職場復帰を確保する交渉へと続き、今は大打撃を受けた経済・社会の公正な回復を訴えている。「ICTS部会は、安全衛生に関してここ何ヶ月もの間、劣悪な環境で働くコールセンター労働者の声を代弁し、世界が注目するよう中心的な役割を果たしてきた」とその成果を称えた。特に各国で事業を展開する大手コールセンター企業テレパフォーマンスは、36万人の労働者の殆どが組合に組織されておらず、多くの国で問題が指摘されている。一方、ICTS部会はテレフォニカと、職場復帰に関する手続きが各国で徹底されるよう、交渉に深く関わった。ホフマン書記長は、パンデミックによって組合の有無、すなわち団体交渉ができるかどうかが、労働者にとって大きな違いをもたらすことが実証されたと述べ、組織化の重要性をあらためて強調した。そして、リモートワーク、AI導入、アルゴリズム管理、外部委託、Eコマースの成長といった動向が加速しており、これらにも備えていかなければならないと訴えた。ICTS部会は、これらの動向に最も影響を受ける部会の1つであるとし、ICTS部会のリーダーシップに期待を寄せた。

ICTS部会が重点的に取組んできた、テレフォニカ、オレンジ、エリクソン等の多国籍企業の労働組合による国際的な連携によって、コロナ危機の間に生じた課題にも対処できていることが報告された。例えば、テレフォニカとの間では既存のグローバル協定に、安全な職場復帰に関する条項や、「つながらない権利」条項を付加することができた。各国のオレンジ事業所では、パンデミックの発生当初に安全衛生委員会が設置され、安全な労働条件を交渉することができた。エリクソンでは、インドネシア、マレーシア、イスラエル等において組織化を進めると共に、スウェーデン本社の経営陣とグローバルな対話の仕組みを構築しつつ、グローバル協定の交渉を目指している。

委員会ではこの他、テック企業・IT企業の組織化の経緯と今後の計画、コールセンター組織化のパンデミックによる進展状況、AI及びリモートワークに関する新たな取組み計画等が報告された。

UNI欧州ICTS部会が昨年末に発表したAIに関する政策文書(ポジションペーパー)の中では、AI導入が想定以上の速さで進む中、労働者や雇用への影響は議論されておらず、影響を調査すること、メリット・デメリットを認識し、労組がAI議論にもっと参画し、備える必要性が強調されている。政策文書の主なポイントは、①AIを人間がコマンドするアプローチの重要性、②人権という価値観を尊重すること、③雇用可能性を高めるために使われること、④持続可能で包摂的な社会を構築するための手段として使われること、⑤社会的パートナーが役割を果たさなければこれらは実現できないことである。これらを踏まえ、UNI欧州ICTS部会としては、データ収集・管理・解析における偏見の回避、既存の労働者のスキル開発、公正で公平な移行政策の3点を訴えている。この政策文書をもって、他の労働組織とも協力し、欧州議会、経済社会委員会のAI特別研究会をはじめとするEU諸機関へ意見提起とロビー活動を強化している。合わせて、欧州加盟組織への意識喚起の研修を実施している。ETNO(使用者団体)との共同宣言採択を目指して交渉を行っている。