Eコマース報告書「アマゾンのモデルは持続可能ではない」

UNI世界商業部会の委託により、この程発表されたEコマースの報告書では、今日のEコマースの世界的概要がまとめられ、アマゾンのビジネスモデルは持続可能でないとの結果が示された。「Eコマース:最近の傾向と雇用へのインパクト」と題する研究は、流通部門の何千万人もの労働者を代表する13か国、15加盟組織への調査が含まれている。その報告によれば、世界の流通全体に占めるEコマースの比率は過去5年で15.5%へと倍加し、その比率は2023年まで年8.9%程成長すると予測される。

しかし、アリババやザランドといったEコマースの他のピュアプレーヤーとは異なり、世界最大のEコマース・リテーラーであるアマゾンは、昨年の売上は659億米ドルに達したものの、Eコマースの海外事業では営業損失を出している。攻撃的なディスカウントと売上拡大に特化したアマゾンの急成長戦略は、純利益を犠牲にして収入を増加させるものである。

「この開発モデルは、アマゾンの攻撃的な拡大によって影響を受けた小売業者と労働者に負の影響をもたらした。アマゾンは低コストと、それを持続するため劣悪な労務管理基準を促進しているからである。アマゾンが実施している開発モデルが長期的に持続可能かどうかは、Eコマース部門が北米だけでなく海外でも安定した収益を生み出さなければ、極めて疑問がある」と報告書は述べている。

従来の小売業者はオンライン販売への投資を増やしているが、Eコマースのピュアプレーヤーとの激しい競争に直面している。これらピュアプレーヤーは同じように税を払わず、労働者を保護せず、人件費を低く抑えている。調査に関わったUNI加盟組織の多くは、Eコマースは従来の小売部門、労働者、仕事の質に負のインパクトをもたらしたと考えている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のように述べる。

「この報告書が示すように、アマゾンの急成長、低コスト、低(マイナス)利益のビジネスモデルは、労働者のみならずEコマース産業の双方にとって持続可能な条件ではない。だが、そうでなければならないわけではない。利益を得て、労働者に組合結成を認めているEコマース企業もある。労働組合は、この成長する商業分野を組織化し、新たなビジネスモデルを要求していかなければならない。これは、全てのプレーヤーに公平な競争の場を確保できるかにかかっている。」

調査では、回答を寄せたUNI加盟組織の多くが、Eコマース労働者を組織化するための特別な計画を立てているか、または実施中であった。スウェーデンの加盟組合ハンデルは4か年プロジェクトによって、Eコマース部門3,500人の組織化に成功し、250の団体協約を締結した。

マタイアス・ボルトンUNI商業部会担当局長は、「Eコマースは商業の一部である。Eコマース企業が商業部門の雇用の安定性や労働条件・賃金レベルを低下させるのを放っておくことはできない。UNI商業部会とその加盟組織は、Eコマース労働者の条件改善と商業部門の基準を高く維持するため、彼らの組織化に専心している」と述べた