労働者のための公正な移行-労働組合と団体交渉の強化を!

大会1日目(11月21日)は、大会を受入れたUNIネパール加盟協(UNI-NLC)を代表して、シャンカール・ラミチャーニ議長による歓迎挨拶で始まった。続いて、吉田昌哉ITUC-AP書記長、ルーベン・コルティナUNI会長等から連帯の挨拶を受けた。

大会テーマの「労働者のための公正な移行」について基調講演を行ったホフマンUNI書記長は、「OECDの最近の報告によれば、団体交渉は、組合だけでなく企業や社会にとっても重要かつ有効なものだとされている。公正な移行に向けて団体交渉が鍵となる」と強調し、強力な組合作り、非正規をはじめとする未組織労働者の組織化と団体交渉力の強化を、共に実現しようと参加者を鼓舞した。

議題及び議事規則の採択後、資格審査委員会及び決議委員会が選出された。日本を代表して、景中損保労連事務局次長が資格審査委員、中野UAゼンセン国際局長が決議委員に選出された。資格審査委員会報告によれば、19か国、120加盟組織、友誼団体代表、スタッフ等、総勢477人(代議員157人、オブ78人、ゲスト204人、本部及び地域スタッフ38人)が出席した。

【活動報告】

ウン地域書記長は今回が地域書記長として最後の大会となるため、通常の過去4年間の活動だけでなく、42年に渡り労働運動に関わってきた経験を振り返った。とりわけ、労使が協力し建設的な対話によって課題を解決してきた日本の労使関係から多くを学んだと述べ、ストライキに頼らず現実的な運動を進めていくことの重要性を説いた。また、全ての加盟組合が可能な範囲で自らの責任を果たすことで初めて国際連帯が成り立つとして、各労組の能力に応じた加盟費の支払いを要請した。地域書記長の活動報告を受けて、フロアから11人の代議員が発言した。納谷代議員(UAゼンセン)は、顧客からのハラスメント撲滅のために作成した啓発ビデオを上映し、労働者が尊重される社会を目指し、引き続き国に規制作りの必要性を訴えながら世論喚起に取組んでいきたいと述べた。ライハ代議員(香港)は、自由と民主主義を求めて闘いを続けている市民の窮状を訴え、参加者に賛同を示す署名を求めた。ウン地域書記長は、香港を今後も支援していくことを約束し、対話による解決の必要性を強調した。

【財務報告】

UNI Aproの財政状況は安定しているが、連帯支援組織からの財政支援が減少しており、今後もそうした状況が続くと予想される。しかし、発展途上の組合強化支援や組織化活動を継続・強化する観点から、全ての加盟組織にあらためて活動基金への拠出が要請され、「UNI Apro活動基金―UNI Aproのための持続可能な資金調達モデルに向けて」と題する動議が採択された。あわせて、北野情報労連書記長、串田損保労連事務局長を含む4人の内部監査委員が選出された。

【デジタル化された労働の世界で働く労働者のための公正な移行】

ベンソンUNI世界専門職・監督職(P&M)委員会議長(スウェーデンSI委員長)の基調講演を受けた後、各部会代表からの報告が行われた。増田UNI Apro郵便・ロジスティクス部会議長は、デジタル化による技術変化の中でユニバーサルサービスをどう提供していくかという観点から、各国における取組み状況について報告し、日本の見守りサービス等の新しいサービスを紹介した。中村UNI Aproメディア部会議長は、資金力が豊富で安価に提供されるインターネットメディアが台頭する一方、従来のニュースメディアの社会的信頼や資金調達力が低下している状況に触れ、信頼回復のために国際連帯と組織化の必要性を訴えた。

セッションのまとめとして、「公正なデジタル経済の秩序を形成する」と題する声明が採択された。大会代議員は、いかなるデジタル化のプロセスも労働者を機械で置き換えることなく、効率性と労働環境の改善のために利用すること、全ての労働者に技能開発を選択する権利があること、技術導入の際には労使で協議することを確認した。また、政府に対し、産業・各国・地域レベルで、デジタル格差の解消に取組むよう要請し、SDGs達成のために開発における指針として5つのP(People-人間、Planet-地球、Prosperity-繁栄、Peace-平和、Partnership-連帯)の尊重を呼びかけた。

【人間中心の地域経済統合】

レネ・オフレネオ・フィリピン大学名誉教授から、アジアの経済発展とASEAN地域経済統合のプロセスにおいて、果たすべき労働組合の役割について基調講演を受けた。ASEANにおいては、UNI Aproが中心となってASETUC(ASEANサービス労組協議会)を結成した。地域経済統合の中で、政労使の対話にいかに労働者や市民の声を反映し、経済発展の恩恵が公正に配分されるようにしてきたかの経験が、シャフィーASETUC事務局長(マレーシア)やCSRネットワークのトーマスCEOから語られた。 セッションのまとめとして、「アジア太平洋の未来を確保するために人間中心の開発を」と題する声明が採択された。働く人々を開発の中心に据えるピープルファースト(人間第一)のビジョンとSDGs達成を目指し、アジア太平洋地域の政府に対し、包括的で持続的な開発の促進、雇用創出と質の向上のための労働者や他のステークホルダーとの社会対話、環境に配慮した開発計画等を求めていく。