UNI-Aproテレコム部会大会、ICTサービス労働者の結集軸に

 



はじめに
12月11~12日、ベトナム・ハノイで第3回UNI-Aproテレコム部会大会が開催され、15カ国・24組織・81名が参加した(日本からはNTT 労組4名、KDDI労組2名、情報労連3名)。NTT労組・加藤委員長(UNI-Aproテレコム議長)は「ILO世界労働報告書によれば、世界の失業者 数は2億4100万人も達し、適切な対策を打たなければ、さらに4200万人が今後2年間で失業するだろう。だが、テレコムは未来志向の産業であり、経済 のエンジンになりえる。この危機をブレイキングスルー(突破)しよう」と挨拶した。テーマ①「エコ・フレンドリー、UNI-Aproテレコム!!!
ICTが環境の改善に果たす役割と可能性について、テレコム労組の経験を共有した。
ドコモ本部・小助川執行委員は、地球温暖化対策である「グリーンNTT」を紹介。また、ドコモ本部の中国ホルチン砂漠緑化活動やプルタブ回収活動を紹介し、「循環型社会の実現に向けて、労働組合も組合員参加型の環境問題に取り組んでいく」と報告した。
フィリピン、インドネシア、スリランカが各取り組みを報告し、加藤議長は、①労働組合は対置する企業にメッセージを発し、企業活動にエコロジーの取り組みを入れ込むよう努力する、②労働組合自らがNGOや地域と連携して主体的に活動する――事を呼びかけた。

テーマ②「ICTインフラへの投資とテレコム労働者への影響」
通信事業者の多くはNGNを含むICTインフラに投資しているが、これが雇用にどのように影響するかという視点で、欧州と日本の状況報告が行われた。
NTT労組・中野中央執行委員は、「NTT労組は、新たなサービスを生み出す基盤であるNGNの構築とFTTHの全国普及に対応している。厳しい経営環境 だが、自らの事業構造を改革し、新たな事業領域の拡大を図っていく」と報告した。ラーセン世界テレコム議長は「ICTは社会インフラであるのに、競争が投 資を支配している」と指摘し、国際労働組合としての対応の必要性を訴えた。マーカス局長は、「投資が雇用に結びつくよう労組は監視を強めるべき。規制にも 関わる問題であり、UNIは国際機関の議論
へ参画していく」とまとめた。

テーマ③「組織化とグローバル枠組み協定」
Apro地域のテレコム労働者数は減少傾向である。一方、ICT産業の労働者は増加傾向だが、未組織労働者が多い。また、アウトソーシングや非正規労働者が増加していることもアジア全体の共通の傾向である。こうした状況への対応について議論した。
情報労連・安永書記長は、非正規労働者と情報サービス企業労働者の組織化を報告した。あいねっと倶楽部やユニオンほほえみ等の活動、また、情報サービス 業界団体JISAと「情報サービス産業の魅力向上に関する共同宣言」に調印し、業界の魅力を高めるとともに労働組合の存在価値をアピールするために努力し ていることを報告した。

テーマ④「女性をエンパワーする」
2008年8月にマレーシアで開催されたUNI-Apro地域大会では、労働組合のあらゆるレベルで女性が全面的に参画していく事を確認した。本セッ ションは、この方針の実践として設置したもので、女性にとっても働きやすい職場づくりのための政策と、戦略を達成するための各労組の取り組みについて情報 を共有した。NTT労組・宇田中央執行委員が進行を担当し、NTT労組の取り組みを報告。また、台湾、タイ、ネパール、マレーシアも、それぞれ報告した。

テーマ⑤「フレキシブル化するAproテレコム労組をエンパワーする」
アジア地域、とりわけアセアンはビジネスチャンスが高まっており、テレコムも潜在性が高い。その一方、競争の激化や多国籍企業の進出により雇用面の新たな課題にも直面している。持続的成長可能な産業をつくり、ディーセントな雇用を創出するための方策について議論した。
KDDI労組・上口委員長は、KDDI労組の労使関係構築の取り組みについて報告した。KDDIは15社が合併した企業だがであり、合併当初は、過半数 を超える従業員が未組織であったが、企業内労組の存在そのものが危機的状況であった。しかし、「より良い会社、より良い社会の実現」というビジョンを明示 し、するとともに労使協議制の機能充実により、労使パートナーシップ認識の一致強化と組織率向上をはかってきた――と報告した。

UNI-Aproテレコム戦略目標」
大会は、今後4年間の戦略目標を策定した。具体的には、①テレコム労働者の組織化推進、②団体交渉、グローバル枠組み協定、社会対話の推進、③UNI- Aproテレコム部門の利益の推進――を3大目標とし、UNIは調整機能を発揮し、加盟組織は具体的な活動を展開していくことを意思統一した。
アジア地域は、金融危機の影響を受けたにも関わらず、経済成長が高い国が多い。とりわけ、東南アジア、南アジアの通信市場は拡大している。しかし、テレ ノール(ノルウェイ)やテリアソネラ(スウェーデン)等、欧米の多国籍企業の進出も盛んであり、UNI本部との機能的な連携を持って取り組みを進めていく ことを確認した。

まとめ
大会は役員選挙を実施し、NTT労組・加藤委員長が議長に、KDDI労組・上口委員長が第一地区委員に選出された。また、UNI-Aproテレコム部会 は、アジア太平洋地域各国においても顕著な「産業融合」という潮流をとらえ、従来の通信産業の枠を超えた「ICTサービス労働者」の結集軸となる事を目指 し、「UNI-Apro ICTS部会」を新たに創設し、組織機構を整備していくことを全体で確認した。また、「UNI-Aproテレコム戦略目標」の実現に向け、各組織が連携・ 努力していくことを確認し、終了した。


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