UNI-LCJ インドセミナー

 



基調講演
桜田UNI-LCJ議長が挨拶・基調講演を行った。
桜田議長は、全てのプレゼンを英語で行い、好評を博した。桜田議長は、「日本の雇用契約の性質には職務(ジョブ)という概念が希薄であり、日本型雇用シス テムでは、企業の労働を職務ごとに切り出さずに、一括して雇用契約の目的とする」と日本の労使関係を特徴づけた。その基礎の上で生産性運動が発展し、生産 性三原則に基づく運動を展開してきた。ところがワシントンコンセンサスを一貫して進めた自民党政権により、社会が大きく劣化し、二極化や格差の拡大が助長 された。8月末の衆議院選挙における民主党の勝利は、こうした社会の動きに対する大きな時代の 転換点だった。「市場原理主義的経済が破綻した今、国際社会は市場経済を前提とした持続可能な新たなパラダイムシフトを求めて動き出している。」「この信 義と連帯を、来年の長崎世界大会の成功にぜひともつなげたい」と述べた。
シンハ・インドオーバーシーズバンク書記長は、「桜田さんの話を聞いて、その強いメッセージに感動した。パートナーシップ労使関係の本質は、我々がより大きな責任を取ることだ。セミナーが成功することを期待している。」と述べた。

日本の終身雇用制度と年功賃金
俣野JSD事務局次長は、「日本の終身雇用制度と年功賃金制度について」のテーマで、日本型雇用システム3つの特徴の内、終身雇用制度と年功賃金制度を説明した。

ワークライフ・バランス
石川損保労連委員長が、「ワークライフ・バランスの実現に向けて:日本の損保産業における実践例」を説明した。「我々は付加価値の高い働き方を実践し、知識とスキルを高めることが大切」と説明した。
永井情報労連組織局長から、「IT産業のワークライフ・バランスを目指して」との講演があった。

企業別組合の運動と組織
土田JPGU輸送部長からは、「日本郵便輸送を取り巻く環境と日本郵政グループ(JPGU)の経験」と題した講演が行われた。
上田損保労連損保ジャパン労組委員長は、「労働組合の役割:損保ジャパン労組の取り組み」と題した講演が行われた。

まとめ:経営対策活動
まとめとして、佐藤自動車総連組織・政治室・組織・政治グループ長から、「自動車総連の経営対策活動強化の取り組み」について説明があった。自動車総連の説明の後、経営対策について説明した。
最後に、ボイヤーUNI副書記長から、「私は日本に1970年代後半約2週間滞在し、当時の政府の言い分、組合側の言い分を聞き、100ページ2冊の報告書にまとめた。そこでは当然日本型労使関係についても触れた。日本の文化的背景、独特の慣習と深く結びついていることが分かった。ただしこれを受け入れられないということではない。日本の労働組合が強力なことは、UNIへの加盟費支払い実績を見ても分かる。まず強い組合があって制度が出来るのであり、その逆ではない。インドの労組も強い組合を作るために奮闘してほしい」とのまとめがあり、セミナーを終わった。

セミナーを振り返って
21世紀はインドの時代という言葉があるように、インドの成長は著しい。20世 紀に見本を示せた日本が、インドに一つのモデルを示すことが出来るか-これが今回のセミナーの意図だった。桜田議長はじめ、全体の努力で一定程度日本的労 使関係モデルを示すことが出来たと思う。「問題は、どのくらいインドの皆さんが我々のいうことを理解し、取り上げてくれるかだ。」という声があった。他のGUFUNIとの決定的な違いは、UNI-Aproがパートナーシップ労使関係を打ち出している点にある。パートナーシップ労使関係論のベースには、日本型労使関係論がある。我々は単に日本型労使関係を一方的に押し付けているわけではない。あくまでもUNI-Aproの指導に基づいて、講演しているわけである。UNI-Aproは、必ずや我々の講演を生かすであろう。
インドにおけるセミナーは、我々にとって初めての経験であり、克服すべき点も多かった。そのひとつに通訳の問題があった。UNIDOCに依頼したが、残念ながらレベルはひどいものだった。同行した事務局長の通訳で最悪の事態には至らなかったが、今後克服すべき問題である。
今回の教訓を生かし、今後もインドに取り組んでいきたい。


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