UNI Apro印刷・パッケージング部会委員会

UNI Apro印刷・パッケージング部会委員会及びプロジェクト評価会議が、2018年10月9~10日にマレーシア・クアラルンプールで開催された。キャシン議長(オーストラリア)はじめ、日本、マレーシア、タイ、ネパール、インドの委員・オブザーバー等、10人が出席した。日本からは、梅原副議長(全印刷委員長)、田倉委員(印刷労連委員長)が出席した。

9日には、UNI本部SCORE(連帯・キャンペーン・組織化・調査・教育局)/組織化基金及びスウェーデンの労組からの連帯支援を受け、UNI Apro各国において実施されている様々なプロジェクトの評価が行われ、今後の計画が話し合われた。

  • インド:全般的に多国籍企業の組織化は難航している。下請け労働者が多いことと、使用者が正規労働者との接触を巧妙に妨害しているためである。セキュリティ印刷労組のネットワーク形成のためのセミナー開催を2019年に計画。インド全土に9つある紙幣・硬貨製造工場(計9000人)のうち、ナシクにある最大の労組(5500人)がUNIに加盟。残り8つの加盟を働きかけているところであるが、労連を結成し労連としての加盟可能性を検討する。
  • タイ:アムコール、キンバリークラーク(KC)等は組織化され協約締結に至っている。
  • インドネシア:アムコールは組織化され本年7月、協約締結に至った。年末までに組織率80%を目指し、オルグ、組織化訓練、団交訓練、トレーナー育成等を継続。2019年は、2~3月にKCのマッピングから始め、4~6月に組合の基礎研修を実施、7~12月にオルグ、組織化訓練を展開する予定。
  • マレーシア:新聞産業はリストラが続き、組合員が減少している。プロジェクトの見直しが必要。

10日の委員会では冒頭、担当が本年7月より、アチャリャUNI Apro書記次長から小川に変更になったこと、またシンガポール政府が急遽ASEAN三者対話会議の開催を同じ日に決めたことから、ウンUNI Apro地域書記長、アチャリャ書記次長の出席が叶わなかったことが報告された。

2017年9月、福島におけるUNI Apro印刷・パッケージング部会大会以降の主な活動と成果について、小川部長から次の通り報告された。

  • マレーシアのアムコール・タバコで組合が結成されたが、その後、会社が工場閉鎖、海外移転を発表した。
  • インド国内及び日印のセキュリティ印刷労組の連携が強化された。
  • 日本の大日本印刷労組が加盟した。
  • インドネシアのアムコール・フレキシブルで協約を締結した。
  • UNI・インダストリオール共催ウェストロック労組ネットワーク会議(2018年8月、米国・デスティン):UNI Aproからアチャリャ書記次長が出席、アジア太平洋地域の同社の製造拠点等について現状を報告。
  • UNI・インダストリオール共催アムコール労組ネットワーク会議(2018年9月、ポーランド・ワルシャワ)UNI Aproからキャシン議長、スリン・タイ・アムコール労組委員長、小川部長が出席。同社の事業動向や各国における労働者の扱い等について共有。

印刷・パッケージング部会のデジタル化に向けた対応については、キャシン議長の導入報告に続き、梅原副議長が、世界のキャッシュレス動向、日本のキャッシュレスの現状、キャッシュレス化が国立印刷局に与える影響について、報告した。何れ到来するキャッシュレス社会は、印刷局にとって大きな打撃を与えることが確実視されるが、新たな時代に向けて労使が協力して前向きに取組むことが肝要だと述べた。

各国報告では、田倉委員が、日本の印刷産業の現状と今後の労働環境について報告し、印刷産業の高機能化や高度化、デジタル化の進化に伴う労働環境の変化に対応するには、健全な労使関係、人材育成、多様な働き方の構築、中小企業対策が不可欠であると述べ、具体的な取組みを報告した。合わせて、日本および印刷・製版業における最低賃金と印刷労連の取組みを紹介した。

  • ジャグディシュ委員(インド、セキュリティ印刷労組):国内の9つのセキュリティ印刷労組のネットワーク形成(将来の労連結成に向け)を進めている。セミナー開催支援と共に、梅原副議長のキャッシュレス化の報告を英訳してほしいと切望。
  • バラゴパラン副議長(インド、新聞労組):インドにおける新聞購読者数は2014年以降、1億1200万人増えた。地方で1億4300万人(2014年)から2億1400万人(2017年)、都市部で1億5200万人(2014年)から1億9300万人(2017年)に増加する等、地方の伸びが大きく、識字率の向上と関連している。しかし今後5年間のデジタル化動向は注視が必要。
  • マヘンドラ委員(ネパール、ICTメディア・プレス専門職労組):1980年に印刷労組として結成されたが、2018年に情報通信及びメディア産業の専門職労組と統合し、印刷・パッケージング部門だけでなくICT及びメディア部門も代表している。主な活動は、役員研修、女性・青年会議、スキル開発プログラム等。6ヶ月間で500人の新規組合員を獲得した。
  • アムニュイ委員(タイ、KC労組):タイにおける乳製品パッケージング市場の競争は激しく、テトララバル(未組織)、SIGコンビブロック(1工場で組合有り)、エロパック(未組織)、アムコール(4工場のうち3工場で組合有り)等が進出。キンバリークラーク(KC)は1966年にタイに工場を建設、衛生用品・日用品等を生産。現在2工場に組合が有り、これまで労使関係は良く協約も締結している。しかし、今年1月、米国本社が今後3年間で世界の10工場を閉鎖し、5000~5500人を削減する計画を発表したため、各国のKC労組は懸念している。

今後の活動予定は以下の通り。

  • 2019年5月、インド(ムンバイまたはデリー)で、セキュリティ印刷、新聞、パッケージング多国籍企業の組合/労働者を対象として、2日間のセミナー開催を企画する。
  • UNI世界印刷・パッケージング部会大会(2019年10月21~22日、スペイン・トレド)
  • UNI Apro印刷・パッケージング部会委員会(2019年11月、ネパール・カトマンズ)

 


コメントを残す