UNI Apro商業部会、職場のハラスメント対策を議論

18UNI Apro商業部会委員会が201883031日、ベトナム・ハノイで開催された。昨年11月の第5UNI Apro商業部会大会で選出されたドワイヤー議長の下、6か国から委員、オブ及びUNI本部、UNI Aproスタッフ等総勢29人が出席し、2018年度活動計画、多国籍小売企業の組織化状況等について議論した。

ドワイヤー議長は開会挨拶の中で、貿易協定の動きを注視しつつ、貿易協定に労働条項が入るよう労組も議論に参画していくこと、移民労働者を保護していくこと、組合のオンラインサービス(オンライン加入、オンラインでの組合費徴収、組合員が欲しい情報を得やすいアプリ)を強化していくこと、ギグエコノミーに適した労働法に改正していくこと、Eコマースの拡大に対応していくこと等の課題を挙げた。

ベトナムのナショナルセンターVGCLのホン副会長は、参加者を歓迎すると共に、ハノイが開催地となったことで、急速に発展する小売業の労組の役員が有益な情報を得ることができると感謝した。2015年から外資の参入が始まり、国際経済に組み込まれていく中で、機会もあれば課題も出てきたとし、海外の経験から学びたいと述べた。

ウンUNI Apro地域書記長は、ASEANで急成長するベトナムがTPP11等の交渉で需要な役割を果たしているとし、1995年から良好な関係を構築してきたVGCLの役割に期待を寄せた。現在、ASEANの政府や使用者の間で人権の課題を認識するようになっており、AECASEAN経済共同体)や更にはRCEP(東アジア地域包括的経済連携)に社会的側面を認識させるには、定期的に密度の濃い政労使対話を続けることが重要だと強調した。

ホフマンUNI書記長は、「強力で包摂的な労働運動を構築するための課題と機会」と題する基調講演を行った。これまでのグローバル化はどん底への競争に繋がっており、組合への反感や抵抗が高まり、多くの国で権利が拒否されていること、デジタル技術の進展により労働者の不安定さが増していること、多くの国で権力が集中し、先進国では実質賃金が上昇していない等の課題を認識しつつ、格差の広がりに対する労働者の怒りを組合の成長に繋げられること、OECDや世界銀行等の国際機関が、購買力が低いままでは経済が伸びず、組合が団体交渉を行えば格差の解消や男女差別の解消に繋がることを認識し始めたこと、ビジネスと人権に関する国連の条約制定に向けた動きが加速していること等の絶好の機会を活用していこうと鼓舞した。

八野世界商業部会副議長(UAゼンセン副会長)は、本年2月のUNI世界商業部会委員会の主な議論について報告した。1つは、労組同盟を企業別から業種別(ハイパーマーケット、ファストファッション、Eコマース)にしていくこと。2つ目に多国籍企業について最新情報を共有したこと。特にジョン・ローガン教授から、アマゾンのフルフィルメントセンター(配送センター)における低賃金・過酷な労働条件と、地域の雇用全体に及ぼす悪影響について説明があった。ホフマンUNI副書記長は、アマゾンについて、ITUC及びITF等と連携し、リサーチャーやNGOを交え包括的戦略を練るため、来年11月グローバルサミットを開催すること、欧米だけでなくグローバルな連携を構築していくと述べた。

続いて、アジア太平洋地域における多国籍小売企業の組織化について、韓国、日本、香港、ベトナム、マレーシア、インドネシア、シンガポール、オーストラリアにおける最新情報が報告された。ベトナムにおいては、UNI AproUAゼンセンが長年、商業労組の強化とネットワーク構築を支援しており、ベトナムの商業労組から感謝の意が述べられた。UNI Apro商業部会はターゲットとする多国籍小売企業を確認し、次回委員会でも進捗状況を報告することとした。

金子UNI Apro商業部会副議長(自動車労連事務局長)は、自動車産業がCASE(接続性、自動運転、保有からシェアへ、電動化)という言葉に象徴される大変革期にある中、持続可能な自動車産業の実現に向けた自動車総連の2つの取組みを紹介した。付加価値のWIN-WIN最適循環運動については、販売・サービス部門における繁閑差の解消等を好事例として説明した。経済成長・雇用維持・創出のための自由貿易を実現する通商政策については、雇用・労働分野の保護規定を注視しつつ歓迎する一方、保護主義に走った米中の報復関税合戦がグローバル経済に及ぼす悪影響に懸念を示した。

職場におけるハラスメントについては、藤吉委員(UAゼンセン副会長)がUAゼンセンの悪質クレーム対策について報告した。「客は神様」(消費者の行動は常に正しく、不当な意見にも耐えなければならない)という風潮があり、消費者をモンスター化させ、流通・サービス産業は、悪質クレームに起因する退職者の増加や慢性的な接客人材不足に陥っている。厚生労働省への対策を要請すると共に、メディアを活用し社会へ意識啓発を行っている。今後は、消費者によるハラスメントの位置づけで労働安全衛生法の改正による法制化と、企業への対策を要求していく。オーストラリア・SDAも、政府、労働安全衛生局、業界と円卓会議を行い、テレビやソーシャルメディアでコスト効果のある啓発コマーシャルを流し世論に訴えている。他の部会(例えば介護部会)との情報交換及び連携を図ることも重要だと述べた。韓国では15年前から「感情労働」対策に取組み、マスコミが取り上げたことにより世論の意識が高まった。嫌がらせを受け仕事ができなくなった労働者には、使用者が感情労働手当や感情労働休暇を支給するべきだと交渉している。

以上の報告を受け、委員会は、次回委員会までに「小売業の職場におけるハラスメント対策マニュアル」を作成する提案を確認し、作成への協力と支援を表明した。

 


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