「労働の未来」に包摂と責任を!

UNIのフィリップ・ジェニングス書記長とクリスティーナ・コルクロフ「労働の未来」担当シニアアドバイザーは、ILO、欧州議会、デジタルスキルに関するグーグル主催イベントという「労働の未来」に関する最近の3つのイベントに波紋を投じた。主な論点は何か。我々とっては当然だが、多くの人にとっては新しいものである重要なメッセージと要求がいくつかある。同じく重要なことは、我々の声がこのシステムを通してさざ波を送ったことで扉が開かれ、好転したのである。

UNIリバプール世界大会とそこでの「労働の未来」に関する議論に先駆け、2016年の世界執行委員会は解決策を探る道を切り開くことを固く決意した。UNIにはアイデアがあり、我々には提案がある。我々は問題を特定するよりも一歩先に行き、解決策を提供している。3つのイベントでの我々の発言はそのことをまさに示している。

ジェニングス書記長は、ILO主催の大イベント「私たちの望む未来」で尻込みすることはなかった。2019年の「仕事の未来」に関するILO 100周年イベントに先駆け、この2日間で、労働組合、使用者、政府からの参加者700人以上が参加した。ILOは未来の課題と我々がすでに目撃している変化の主なプロセスを十分に認識している。この活動に熱心に取組んでいるILOは、「仕事の未来」に関するハイレベルの国際委員会を設立しており、この委員会はILOの100周年総会で報告することになっている。個別化し、グローバル化した未来の労働の世界に労働組合の居場所はないという他の講演者の主張に立ち向かい、ジェニングス書記長は全ての労働組合は職人のギルドによって作られたことを想起させた。

「我々は明確なビジョンを持った夢想家の運動であり、歴史を通してそれを証明してきた。我々は革新と変革を決してやめなかった」とジェニングス書記長は断言し、続けた。「労働の非正規化は我々の社会やコミュニティが直面している問題への答えにはならない。デジタル世界は、対話にオープンになるべきであり、我々は企業が責任を取るよう要求している。また、教育と訓練を誰もが受けられるよう求めている。ILO条約はバリューチェーンのいたるところで尊重される必要がある。参加させてくれれば、我々は組織化できる。世界は我々を必要としている。」

「答えはここ、この会場にある。ILOの労働基準は大きな成果である。ロボットと人間が助け合って働くことになるのだから、それを前面に出そう、『アルゴリズム8798』を作ろう。ロボットに、人間に対して条約が守られているかを尋ねさせ、その答えを公表し、悪いことを正す責任を持とう。」

ジェニングス書記長は、デジタル経済に関してもう1つのパラドックスを提起した。多くの人が、デジタル技術が市場を開拓し、多くの新しいテクノロジー企業の可能性を拡大したことを歓迎する一方で、ジェニングス書記長は、我々は経済力の崩壊を全く目撃していないと主張した。「我々は、新しい原料であるデータに関して、経済力と企業の力がこれほど集中するのを経験したことがない。何ら政策的対応もなく、ビッグ6と称されるテクノロジー企業は、今日アダム・スミスが生きていたら陰謀と呼んだであろうものに力を統合させてきた。これら企業が新しいゲームのルールを定める。彼らは経路を持ち、橋を持ち、力を持っている。これが力の統合である。集中の危険と悪用の危険に関する基本ルールは今でも当てはまる。」

欧州議会のイベント「AI時代における人間の幸福の優先」

コルクロフ・シニアアドバイザーは、欧州議会でIEEEが開催したイベントに、モーテン・クラウセンUNI欧州金融政策担当と参加した。マディー・ドゥルボー欧州議会議員が主催したこの夜のイベントは、AI時代における人間の幸福の優先というテーマを掲げていた。ジェニングス書記長のILOイベントでの訴えと同様、コルクロフは責任と包摂の必要性を強調した。フランス政府からの政治家やOECD、国連、欧州の諸機関の代表者と共に、コルクロフはショーン・ケリー欧州議会議員からの「どの仕事が置き換えられるリスクを負っているか?」という質問に答えるよう求められた。

「多くの仕事はおそらく消えてしまうだろう。だいたい40~77%と予測するものもいる。そして現在人間が行っている多くの作業がAIとロボット工学に取って代わられるだろうとも考えられている。そのため、短く回答するならこうなる。基本的に全てである、と。」そしてコルクロフは続けた。「この会場にいる全員、全ての企業、全ての政府が労働者の雇用適性を押し上げる責任を持っている。我々は労働者が個人事業主に追いやられ、そのため社会保障制度の枠外に出されてしまうことを受け入れられない。我々は制度を変える必要があり、あらゆる雇用形態の全ての労働者に、同じ強力な社会権と基本的権利を与える必要がある。企業は労働者の再教育やスキルアップに積極的かつ財政的に貢献すべきである。企業は必要な技能のある人々がいないと不平を言って、力を貸さないでいるわけにはいかない。」「我々が仕事について語る時、注意すべき点がある。AIがこれこれの多くの仕事を生み出すだろう、またはこれこれの多くの仕事がすでに生み出されているという分析や予想を読む時、むやみにその統計を賞賛するのはやめよう。これらの仕事が労働者を搾取しているなら、彼らを貧困レベル以下の賃金や社会権のない状態においているとしたら、どうだろうか。我々は全ての人にとってのディーセントワークを要求すべきである。」

人々とその能力が、経済成長だけでなく国の発展を評価するための究極の基準になるべきであるということを強調するために作られた、国連の人間開発指数に関する詳細を参照してほしい。

OECD、国連、フランス政府の報告書「管理され、有用で、分かりやすく説明された人工知能を目指して」のプレゼンテーションを含む、この夜のスライドはこちらをクリックすれば入手できる。

最後に、コルクロフとクラウセンは、このイベントを総括するために、推進力となる声明を書くよう主催者に依頼された。「(GDPだけと比べて)もし人間の幸福がAIとテクノロジー政策を作る際に優先されるなら、社会はどれほど違って見えるだろうか」という問いに対する答えは、こちらを参照してほしい。

デジタルスキルに関するグーグルのイベント

更に、コルクロフはグーグル主催のイベント「モバイル時代のデジタルトランスフォーメーション」において、「新しい技能、雇用、成長」に関して話すよう招待された。BBCのサミラ・アーメッド氏が司会を務めたこのイベントには、デジタルトランスフォーメーションの可能性を議論するために、ハイテク企業のCEO、専門家、技術者が招待された。その会場で唯一の労働組合代表として、期待を背負ってコルクロフは討論に加わった。

労働者が必要とされるスキルを確実に持てるようにするにはどうするかという問題に対し、コルクロフは、現在の労働の非正規化、個人事業主や不安定な労働形態の労働の増加が、労働者全体の全般的なスキルアップと全く関連していないことをあらためて強調した。この点については、あるパネリストが認めたように、この矛盾について考えたことがないというだけの理由で、パネリストと参加者の両方を驚かせた。コルクロフは、労働組合はスキルレベルを押し上げるために新しい形の協力に参加する用意ができているが、それには企業と国が新しい可能性を新たに考案、調査しようとする同じ勇気と決断を持つことが必要だ、と問題提起した。コルクロフは、我々がデジタル経済を、場所、技能レベル、年齢、性別を問わず包摂的なものにすることは、全ての関係者の利益になるとさらに強調した。

「すでに今日、大企業の従業員には中小企業の労働者よりもずっと多くの訓練とスキルアップの可能性があることを我々は知っている。不安定な仕事の増加とともに、この格差は受け入れがたく、持続不可能なレベルにまで拡大してしまうだろう。物事のバランスをとるために、あらゆる種類と規模の企業が教育基金に拠出し、その基金からあらゆる雇用形態の全ての労働者が収入の損失や訓練コストをまかなう資金を求めることができるという解決策を、我々は考えている。」

このイベントの後、コルクロフは欧州が技能格差を狭める方法について尋ねられた。動画での回答はこちらを参照してほしい。

上記から学べることとは

UNIはテクノロジーの狂信者、学者、専門家、政策立案者、企業の世界に波紋を投じており、我々の見解と意見は人々を驚かせもするが、歓迎されている。上記の3つのイベントにおいて、UNIは具体的な解決策と前進する方法を提供した。その反響とそれに続くさらなる情報を求める問い合わせは、我々の声、意見、つまり、労働運動として何をどのように社会と労働者のために求めているか、をもっと発信していかなければならないことを示している。我々の運動は無意味だと思い、現実と乖離していると考える人がたくさんいる。我々はこの状態から抜け出し、変化をもたらさなければならない。我々の後に続く世代に対して責任がある。

我々が主張しているいくつかの意見は、「労働の未来」専用の新しいウェブサイトwww.thefutureworldofwork.org/opinions で読むことができる。

世界に影響を及ぼすメガトレンド、テクノロジーの変化の主な推進力、公正な移行と持続可能な労働の未来をもたらすためにしなければならないこと、できることを考える最近のUNIの記事はここで読むことができる。

 


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