UNI-LCJ/UNIインド加盟協(UNI-ILC)セミナー

2016年9月24~25日、インド・チェンナイでUNIインド加盟協(UNI-ILC)の青年・女性組合員を対象とするエンパワーメントセミナーが開催され、UNI-ILCの郵便労組、銀行労組、ラジオ・TVエンジニア労組、IT専門職労組から36人が参加した(女性20人、男性16人)

sadai-5-s日本からは、定居美稚子情報労連/NTT労組中執を団長に、浅川淳UAゼンセン総合サービス部門執行委員、三浦聡自動車総連組織局部長、高木晋JP労組労働条件担当部長、事務局・小川陽子UNI-LCJ事務局長から成る代表団が講師として出席した。

開会式では、チェンナイ出身のテアガラジャン郵便労組書記長(UNI-ILC事務局長)及びミリンド・バローダ銀行労組委員長(UNI-ILC議長)がUNI-ILCを代表して歓迎の挨拶を行い、UNI-LCJの支援に感謝した。定居団長は、グローバル化が加速する中、成長著しいインドにおいても格差の拡大等、負の側面が明らかになっており、その克服に向けて労働組合が国を超えて連帯する必要があると挨拶した。ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記次長はUNI Aproを代表して連帯の挨拶を行い、インドの青年・女性メンバーの強化はインドのみならず共通の課題を持つ南アジア全体の労働運動の活性化に重要だと述べ、積極的な参加を奨励した。

続いて、郵便労組を退職した役員から基調講演が行われた。「IT化の進展で仕事のやり方は大きく変化し、生活も便利になる中で、働き方も変わっていく。労組の活動も変化していくはずだ。かつて経営者が労働者のことを考えなかったことに対して、労働者は団結し組合として経営側に働きかけることができるようになった。今ではインドにも組合が多くできたが、新しい会社には無いところも珍しくない。組織化を進め、より多くの人々が権利意識を持つようになれば、政府も無視できなくなる」と自らの経験から若年世代に訓示した。

UNI-LCJ講師からは以下のプレゼンを行った。

・定居団長:①日本の家庭、学校、職場、社会に至る格差・不平等―労働組合はどのような役割を発揮できるか? ②青年の組織化

・浅川講師:①日本の労働組合の概要、機構、今日的課題、②女性の組織化

・三浦講師:グローバル化と労働組合の対応-組合の国際協力と国際連帯

・高木講師:日本におけるパートナーシップ労使関係

参加者からは、インドで目にする日本製の自動車やハイテク製品等のイメージから、日本に貧困や格差があることやプレゼンで示された統計データが信じられないとの感想が相次いだ。また、ITの進化に伴う事業への影響、日本でストライキを余りしない理由、非正規労働者の労働条件、組合員へのコミュニケーション方法、産別においてライバル企業の労組どうしがなぜ一緒に活動できるのか?といった質問が出された。05seminar-13-s

インドの参加者も、「インドにおける格差や不平等の現状と、組合は何ができるか」、「組合の女性・青年活動」、「グローバル化と労働組合の対応」、「インドでパートナーシップ労使関係はうまくいくか?」についてグループで話し合い、発表した。インドは民主主義国家であり、全ての人が平等であるはずだが、家庭でも社会でも階層があり、現実にはまだ差別が存在する。特に、女性参加者から「家庭やコミュニティにおいて、女児を歓迎しない地域がある。特に農村部では男性は富、女性は負担と思われる。女性の服装はコミュニティが決めるが、男性には制限がない。女性の帰宅時間が遅いと文句を言われる。家族の面倒を見ることは女性の仕事だという考えが根強い。男性が女性の仕事を決め、男性の合意があれば女性は外で働くことができる。育児のサポートが無いため、結婚・出産後、仕事を続ける女性は少ない。農村部でも都会でも、女性の夜間外出は許されない」といった意見が出された。また、教育の不足、貧困等により、労働組合に関する認識が低い。「組合活動でも意思決定は男性が行っている。女性は家庭があるため、まだまだ参加できていない。組合は女性の参加を歓迎するが、女性が遠慮している。」との意見が多かった。これを変えていくには、「子供の頃から男女同じように育てるべき。認識の改善、特に男性の意識改革が必要。女児・女性にも教育を受ける環境作りが必要。組合は行動を起こして政策を変えていかなければならない。女性セミナーを行い、女性の組合参加を奨励すべき」との意見が出された。

パートナーシップ労使関係は、「インドでは政権が変わると方針が変わるため不可能だ」という意見と、「組合が強いリーダーシップを発揮すれば可能だ」という両方の意見が出された。例えばIT業界は若者が多く働いているが組合が組織されにくい。若いエンジニアを使い捨てにすることが多いので、組織化され抵抗されると面倒だから会社や政府が許さないのだ。労働者が搾取されているIT業界こそ組合が必要だ、という意見が出された。

グローバル化に対しては、「会社と協力しWin-Winとなるようにしなければならない。利益を得るためにグローバル化は必要だが、契約社員等の弱者に対しても組合は交渉していくべき。グローバル化の負の影響を受けやすい中小企業も守るべき」という意見が出された。

また組合内のコミュニケーションについては、最近のSNSの普及に伴い、組合の委員長のメッセージや情報が瞬時にして組合員に送られるとのことである。参加者は早速WhatsApp(インドではFacebookやLINEより普及している)グループを作り、交流を始めた。

今年は、昨年の反省を踏まえ、若手組合員を中心とし女性が半数を超えた。日本人講師への質問やグループ発表、その後のコメントも女性参加者の積極性が目立った。残念ながら、テレコム部門と商業部門からの参加者はいなかった。UNI-ILCからは、来年はUNITES(IT専門職労組)の存在するハイデラバードでの開催を打診された。

今回はテアガラジャン郵便労組書記長の地元チェンナイでの開催ということで、セミナー前日(23日)には、チェンナイ郵便局を訪問し、J.T.ベンカテスワラル事業開発部長からインドポスト概要について説明を受けた他、局内を視察した。また、最近インドポストが力を入れている法人営業の一環として、ディーラーを見学した。ベル技術大学を訪問し、ラメシュ教授及びIT学科の学生20余人と、組合やIT産業、グローバル化等について対話する機会もあった。また地元ラジオ局をラジオ・TVエンジニア労組の案内で視察し、経営側とも意見交換を行った。

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