UNI-LCJ/モンゴル加盟協(UNI-LCM)セミナー

2015年7月27~30日、モンゴル・ウランバートルで、UNI-LCJ/モンゴル加盟協(UNI-LCM)セミナー及び関連プログラムが開催され、UNI-LCJ加盟組合より北條情報労連・NTT労組中執を団長に以下4人の講師、UNI Aproより玉井組織化キャンペーン担当部長、UNI-LCJより森川事務局次長が参加した。

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日本側参加者(団長以下は組織正式名称の50音順):

団長 情報労連 NTT労働組合中央執行委員 北條 郁子
団員 UAゼンセン 流通部門執行委員 久保田 龍輔
団員 自動車総連 組織局部長 永島 理絵
団員 JP労組 中央執行委員 清水 雅弘
事務局 UNI Apro 組織化キャンペーン担当部長 玉井 諭
事務局 UNI-LCJ 事務局次長 森川 容子

モンゴルへの支援セミナーはUNI-LCJ結成以来、継続的に開催されている唯一の海外支援活動であり、2003年のUNIモンゴル加盟協(UNI-LCM)結成、組織再編等を経て、現在では加盟組合7組織、約2100人の加盟人員数となっている。民主化・市場経済化が進み、今後は既存の加盟組合内の組織拡大だけでなく、未組織の民間企業での新規組織化が期待される。2015年1月の第16回UNI-LCJ年次総会で採択された「2015~2018年UNI-LCJ海外活動の方向性」では、現地セミナー3回(2015年、2016年、2018年)と日本への代表団招聘(2017年)が予定されており、今回のセミナーは、その初回となることから、セミナー翌日にUNI-LCM加盟組合と今後の活動について確認・共有する機会を持った。

まず、初日のセミナーには、モンゴル側は、商業、郵便、ICTS部門の6加盟組織から若手組合員、組合役員を中心に33人が参加し(女性26人、男性7人)、組織化、団体交渉、労働安全衛生のテーマで日本側、モンゴル側からの報告があり、活発な意見交換が行われた。

冒頭のオユンバヤールUNI-LCM議長、北條UNI-LCJ団長挨拶に続き、玉井UNI Apro組織化キャンペーン担当部長からUNI、UNI Apro、UNI-LCJ組織機構・活動の概要、組織化における心構え等について講演が行われた。

「組織化」のテーマでは、まず久保田UAゼンセン流通部門執行委員が具体的な組合作りの方法について説明した。ターゲットは出来る限り具体的に設定し、間接的に得た情報に頼らず実際に働いている人の声を聞いて組合結成のニーズを汲み取ることなど、豊富な経験に基づいた具体的な方法論に参加者は聞き入っていた。次に、永島自動車総連組織局部長が、組織拡大の必要性について理解を求めるなど経営側へのアプローチをベースにした取組みや定年後再雇用された非正規労働者の組織化、男女共同参画に向け女性役員の研修・教育に積極的に取り組んでいる様子を紹介した。モンゴル側からは、UNI-LCM加盟組合のモンゴルテレコム労組やペトロスター労組が加盟する産別組織である運輸・通信・石油労連のラクチャー議長がモンゴルにおける組織化の現状と課題について多くの事例を取り上げながら詳細に報告した。特に組織化を困難にしている課題は、労使双方の法的知識の不足、労働者の団結力の弱さ、組合潰しなど使用者側の圧力、有能なオルガナイザーの不足、財政基盤の弱さ等であり、現場のニーズに合った教育訓練、労働組合の声を正しく社会に伝えるメディアの確立、法的環境の整備、オルガナイザーの育成などが必要だと訴えた。

「団体交渉」のテーマでは、北條情報労連・NTT労組中執が、団体交渉と労使協議等の仕組みについて法的側面と実施の両面から紹介し、日ごろのやり取りの積み重ねによって労使の信頼関係を築くことが最終的に両者の利益につながると強調した。モンゴル側からはUNI-LCM加盟組合の統一労組出身で現在はモンゴルのナショナルセンター・CMTUで運輸部門オルガナイザーを務めるボールドサイカン氏が、モンゴルにおける団体交渉に関する法的枠組みと企業別労組、産別組織、ナショナルセンターCMTUの役割について解説した。

「労働安全衛生」のテーマでは、清水JP労組中執が、労働安全衛生法の下で安全衛生委員会を設置し労使が協力して取り組む枠組みと日本郵政における具体的な取組み事例を紹介した。モンゴル側は、統一労組出身で現在はCMTU労働社会政策局に派遣されているニャンダバー氏が報告し、モンゴルにおける労働安全衛生の取組みはまだ不十分であるが、企業への労働安全・衛生管理体制の導入は、三者協議、産業別・地域別協議、企業別協約によって解決できるとして、労組が関わって実施した具体的な事例が写真で紹介された。

質疑応答では多くの質問がモンゴル側から出された。主なものは以下の通り。

  • 国から労働組合への支援はあるのか?
  • 今回のLCJ代表団は青年が団長を務めているが、組合における青年リーダーの育成はどのようにやっているのか?
  • モンゴルで現在審議が行われている労働法改正案では、組合のない企業で労使協力をサポートする組織を作るとしており、組合は反対している。政府は日本の例を参考にしているというが、そのような組織が存在するのか?
  • UAゼンセンが組織しているような中小零細企業の場合、どうやって労働条件を向上のための交渉をしているのか。5割が非正規と聞いたが、2,3社掛け持ちで仕事している人の組合加入はどうなっているか。
  • UNI Aproとしてモンゴルでの組織拡大のプロジェクトを考えているのか?
  • 郵便事業の民営化による組織率への影響は?
  • 民営化によって労働条件が悪化した例が多く、労組は反対している。民営化が行われる際のどのように労働条件を維持し、保障しているのか。モンゴルでは従業員株主制度があるが、日本では同様の経験があるのか?

セミナー終了後は参加者との夕食懇親会が行われ、更に深い交流が図られた。

翌日は冒頭に述べた通り、UNI-LCM加盟組織幹部、玉井UNI Apro組織化キャンペーン担当部長、UNI-LCJ講師陣、森川事務局次長が同席の下、オユンバヤール議長より①組織拡大、②UNI-LCJとの協力、③UNI-LCM加盟組織間の協力について、課題と今後の計画の説明を受けた。加盟組織間の調整に関して課題も見られたが、全体として組織拡大と次世代リーダー候補となる青年役員育成について強い意欲が感じられた意見交換となった。来年度のUNI-LCJとのセミナーは、青年のリーダーシップ育成につながるような実践的なものにしたいとの要望があり、2017年派遣予定の訪日代表団についても40歳以下の若手を中心にしたいとのことであった。

午後はグループに分かれて商業労組、通信労組、郵便労組との意見交換及び職場視察後、郊外の草原に移動し、遊牧民の生活体験等を通じてUNI-LCMメンバーとの交流を深めた。

最終日には在ウランバートル日本大使館を訪問し、最新のモンゴルの政治・経済事情について見識を深めるとともに、10年以上本セミナー通訳をしているナランバヤル氏が校長を務める小中高一貫教育の私立学校「新モンゴル高等学校」を訪問し、日本の大学留学試験を控えて勉強に励む高校生達を激励するとともに労働組合についても説明して交流した。

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写真はFlickrを参照


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