ILO金融部門フォーラム

2009年2月24~25日、スイス・ジュネーブのILO本部において、金融部門労働者に対する金融危機のインパクトに関するILOグローバル対話フォーラムが開催され、政労使約150人が参加した。日本からは損保労連・石川委員長、久保田事務局次長、生保労連・加藤書記長、井坂政策局員、UNI-Aproの伊藤東京事務所長が出席した。
本フォーラムは、以下の3つの議題について、政労使それぞれの立場から対話を行った。
①金融危機が世界レベル、地域レベル、国レベル、企業レべルで金融産業にどのような影響を与えているか。
②政労使は、金融労働者が危機に対処するのをいかに支援できるか。
③危機からいかなる教訓が得られ、どのような政策が有効であるか。また政府、使用者、労働者団体、ILOの役割はどうあるべきか。
本フォーラムは以下の通り結論文書を採択した。

結論
1.世界は、深刻化する金融・経済危機に直面している。先行きは不安な状態で、既に雇用と生活に直接の影響を受けている国もある。その度合は、国によっても産業によっても異なる。ILOと三者会議構成者は今後の展開を監視し、目下の国や産業の枠組みを超えて社会的・労働的影響を予測する必要がある。銀行への信頼を取り戻し、金融システムの今ある問題を解決することが、世界経済を復興させる第一歩である。

Part1.金融危機に関する討議でILOと三者会議構成者に発言権を与えること
2.金融システムを安定させ改正することは、経済・規制だけに関わる問題ではない。変化は、銀行・保険会社・その他金融サービスの労働及び社会的側面(仕事、雇用、社内業務手順と労働条件など、慣例、技能の必要性、社会的保護などへの影響)に作用し、また影響もされる。
3.金融安定化フォーラム、G20やその他フォーラムなどは現在の危機を招いた問題を回避するため、規制を改善し、金融市場を安定化する方法を活発に議論している。改革は広範囲に渡り、国際的なものになるだろう。金融サービス部門の全ての機関・労働者に影響する可能性がある。ILOは積極的にこれらのフォーラムに関わり、世界対話フォーラムの結果が配慮されるように努めなければならない。
4.世界、地域、国家レベルで、ILOは金融危機が雇用に与える問題に取組むために三者連携を促進する活動を行う。国際機関の中でILOは、組織もその構成者も充分関与できるように、国際的議論の場において、構成者の仕組みと専門性をもつ機関である。今後は金融・経済危機がその他部門に与える社会的及び労働への影響を調査していく。

Part 2. ILOの対応
5.金融部門の社会パートナーと連携し、金融危機の影響や雇用改革、部門の社会的及び労働面の調査をする一連の流れを作るべきである。
6.ILOは金融部門の情報を収集し、雇用傾向を観察、分析する。また、国際機関による金融危機対策に対し、雇用・社会及び労働面において助言を与える。ILO金融部門構成者は、このことに大いに関わっていかなければならない。そしてILOは結果を直ちに周知させなければならない。
7.ILOはこれからの2年間、また次の2年間に渡って金融危機による社会・労働面への影響に関する取組みを最優先とする。また、政府や社会パートナーと連携し、問題点に対する特別な行動計画を展開していく。
8.ILOは、政府や社会パートナーが、金融危機と改革プロセスの社会・労働面の問題に取組むための地域及び国家レベルでの援助を行う。

Part3.効果的政策対応
9.危機的事態を落ち着かせるための、国の補助金や救済措置などの改革プロセスにおいて、団結権、団体行動権、団体交渉権を含んだ「1998年労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」を十分に考慮すべきである。更に、労働・社会面に関しては、マクロファイナンスから多国籍企業、民間企業から公営企業まで広範囲に渡って社会パートナーと連携していく。
10.社会対話には金融危機の影響を和らげ、解決策を探すという重要な役割がある。同様に情報と協議も多国籍企業においては重要であり、任意のグローバル枠組み協定が鍵となり得る。組織再編は、経営側、労働組合、労働者代表間の対話に基づいて適正な方法で行われるべきである。協議が遂行できるように、組織再編の情報公開は彼らに適切な時機に行われなくてならない。
11.過剰人員についてはよく配慮し、解雇は最終手段とする。また、労働契約は尊重されなければならない。
12.政府、使用者、労働団体は社会対話の中で、労働者が変化に対応していけるように支援するため、技能強化、生涯学習、活発な労働市場政策を通じて労働者の雇用可能性を守らなければならない。解雇の問題に取組むために、全ての労働者に訓練または再訓練の機会が与えられ、労働市場の要求に応えられる技術を身に付けられるようにする。そのための訓練方法と資金繰りについては検討する。
13.現在、金融サービス業で組織再編が行われる中、多くの女性従業員が危険にさらされている。適正な政策の基本方針がゆるがないように特別な配慮がなされるべきである。また、非正規労働者も公平に扱われなければならない。
14.国の補助金や政府の救済措置は市場原理に基づき、産業の部門や国を超えて、労働分野の社会パートナーの自主性に関して公平でなければならない。
15.政策の首尾一貫性と、地域または国際協調によって金融危機を悪化させる保護貿易への対策ができる。
16.「多国籍企業と社会政策に関する三者宣言(ILO・MNE宣言)」、「1998年労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」、「2008年公正なグローバル化のための社会正義宣言」は、ILOが政策対応に貢献できるような基本方針である。「2007年持続可能な企業の促進に関する国際労働会議の結論」も同様である。


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