
2026年のダボス会議は、グリーンランドと地政学的な断絶に関する懸念と、急速に拡大するAI の利用と開発という 2 つの問題を抱えた状況の中で開催された。
会議では、トランプ米大統領やウクライナのゼレンスキー大統領をはじめとする世界のリーダーによるスピーチが行われた他、AIの倫理、安全性、成長、導入に関するパネルディスカッションも行われた。オックスファムの年次報告書と 世界経済フォーラムによるリスク報告書 は、世界的な不平等は最大のリスクであると同時に、持続不可能なレベルにあるという点で一致している。
クリスティ・ホフマンUNI書記長は、他のグローバルな労働組合指導者らとともに、今日の世界が直面する重要な課題に対処する上で、労働者、労働組合、団体交渉が重要であるという統一したメッセージを発信した。
「ダボス会議に参加している労働組合の代表者はほんの数人だが、フォーラムのあちこちで、あらゆる機会を利用し、我々は労働組合と経済的な公正を支持する声を上げてきた」と述べるホフマンUNI書記長は、世界各国のメディアで、トランプ政権による(特にテクノロジーの分野での)規制上の安全策を後退させようとする圧力を非難するとともに、労働者が労働市場で持つべき力の一層の強化を主張した。
『中産階級を守れるか?』と題したパネル討論の中でホフマン書記長は、グローバル経済における良質な雇用創出の課題と、人工知能に関して高まっている労働者の不安について言及した。
そして「AIが津波のような混乱を引き起こすと言われており、我々は備える必要がある。その準備の一環として、使用者が従業員を解雇せずに雇用を維持し、労働者の能力を強化できるよう、インセンティブを与えるべきだ」と訴えた。AIによる利益の分配は、AIが労働者に与える影響に関するもう一つの重要な要素である。
ホフマン書記長は、 「AIを活用して生産性が向上した場合、その富がどう再分配されるかが重大な問題だ。新たに生み出された利益はどこへ行き、労働者がその分け前を得られるようにするにはどうすべきか?(‥‥中略‥‥)利益が巨大テック企業やAIを導入・活用する企業だけに集中してはならない」と問いかけ、その解決策は革新的な公共政策と労働者の権限拡大にあると主張した。だが、超富裕層とその他大勢の格差は拡大し続けており、団体交渉を求める労働者と実際にそれを実現している労働者の数にも差が広がっている。そして「労働者は組合を望んでいるが、組織化と交渉の障壁は依然として存在する」と指摘した。
『誰もが取り残されてしまうのか?』と題したパネルディスカッションの中で同書記長は、職場で女性と男性が直面する二重の危機を検証し、女性の地位向上が男性の犠牲の上に成り立っているという見解を否定した。そして賃金や安定した正規雇用へのアクセスにおいて、女性はグローバルレベルで依然として大きく遅れを取っている点を強調し、「我々の世界では、女性が家庭内で直面する負担に対処するための構造的な対策は何一つ講じられていない。育児や介護といったケアの体制が不十分だ。これが女性をパートタイム労働や柔軟な働き方に追い込み、特にコロナ禍後は失業へと追いやっている。ジェンダー格差を解消したいなら、この問題に何らかの対策を講じなければならない」と主張した。