
オーストラリアの介護・障がい者支援に関わる労働者が、 大きな勝利を収めた。 使用者による夜間「宿泊勤務」の格下げ要求を労働審判所が却下したのだ。労働組合は、この格下げが賃金削減につながり、労働者と利用者の安全を損なうと警告してきた。
2026年1月14日に公表された判決で、最低労働基準を設定・執行する機関であるオーストラリア公正労働委員会は、社会福祉・地域サービス分野における夜間勤務の分類と賃金支払いに関する争議において、労働組合側の主張を支持した。
この訴訟は、使用者団体であるオーストラリア産業グループ(Ai Group)が宿泊勤務を労働時間ではなく無給の「休憩」と再定義しようとしたことを受け、オーストラリアサービス組合(ASU)などが2024年半ばに提訴したものである。
アラン・サブレUNI世界ケア部会担当局長は、「これはオーストラリアの労働者だけでなく、世界中でケアにかかわる労働者にとって重要な勝利だ。世界中の使用者は労働コスト削減のため、労働と休息の境界を曖昧にしようとしている。今回の判決は明確なメッセージだ。つまり、使用者の管理下にある時間は労働時間であり、公正な賃金が支払われなければならないということだ」と述べた。
宿泊勤務は世界中の介護業務で一般的である。労働者は利用者の自宅や介護施設に一晩(通常8時間)滞在し、夜間支援が必要な場合に備え対応する義務を負う。労働者は職場を離れることができず、障がい者、養護施設の子ども、家庭内暴力の被害者など、脆弱な立場にある人々の安全と福祉に責任を負っている。
使用者側は、睡眠時間は労働時間に含まれないと主張した。これに対し労働組合側は、宿泊勤務を休憩時間とみなせば、労働者は時間外手当や割増賃金を剥奪され、使用者は適切な休息なしに(場合によっては丸一日を超える)極端に長い勤務シフトを組めるようになると反論した。
公正労働委員会の決定はこの手法を阻止し、賃金と労働条件の法的最低基準を定めるオーストラリアの業界別賃金協定制度下における、休憩時間・残業・割増賃金の現行最低基準を維持した。
この訴訟はASUによる全国的な運動を呼び起こし、職場行動・集会・数千人の労働者が参加する署名活動などが展開された。労働組合はこの訴訟を契機に、宿泊手当の増額や清潔で安全な宿泊施設の提供など、より広範な要求を推進した。
労働組合は、慢性的な人手不足、燃え尽き症候群、高い離職率に直面する介護業界において、この判決は重要な先例になると指摘した。そして賃金や休息の保護を弱めることは、世界のケア労働力の危機をさらに深刻化させるだけだと警告した。