UNI世界ICTS部会大会:2日目‐今後4年間の方針を決定

UNI世界ICTS部会大会の2日目では、同部会の今後4年間の方向性が決定した。95か国のICTS労働者を代表する代議員は、新しい指導部を選出し、テレコム、テック、ビデオゲーム開発、ビジネスサービスの各部門における労働者の力を構築するロードマップとして機能する戦略的行動計画を採択した。

この日は、安藤京一UNI Apro ICTS部会議長(情報労連)が、新たなテクノロジーによる同部門の変革と、それに対応する労働力スキルの進化に焦点を当てたセッションを導入して幕を開けた。国際電気通信連合(ITU)のフレッド・ワーナー氏が基調講演を行い、世界の電気通信を調整するITUの役割と、労働力に直接影響するAI標準設定への同組織の関わりを強調した。また、ITUが他組織とともに「AI for Good」を立ち上げ、国連の持続可能な開発目標を推進するためにAIを活用する具体的な方法を策定した経緯を説明した。

ワーナー氏の講演に続いて、ヨハネス・ホフマイスター氏(オーストリア、GPA)が、テレコム部門における新技術の導入に向けた欧州電気通信事業者協会(ETNO)の連携した取組みについて報告した。同氏は、テレコム部門の二酸化炭素排出量を削減し、持続可能性を高めるための取組みについて強調した。

次のパネル・ディスカッションでは、ソー・ソウルマンUNIアフリカICTS部会議長が進行役を務め、安全な労働の確保におけるICT労組の役割に焦点が当てられた。

いずれもセネガルからSNTPT労組のローズマリー・デューフ氏とSYTS労組のネネ・コイタ氏は、COVID-19パンデミックの際、両労組がオレンジの安全衛生グローバル協定をどのように実施したかについて詳述した。10年以上前に締結されたこの協定によって、オレンジの全事業所で安全衛生委員会を通じ、パンデミック関連の課題に関する意思決定プロセスや安全確保の中心的役割を、労働者が担えるようになった。

このセッションでは、ICTS部門のさまざまな分野における課題について検討された。フランスの組合STJVのアントワヌ・ディオセント氏は、ビデオゲーム開発における「クランチ・タイム」(ストレスや燃え尽き症候群など、健康に重大な影響を及ぼす業務上のプレッシャーの強い時期)について議論し、「労働者に対する影響について、管理がなされていない。上司は、労働者は生産が終わればスタジオを去るのだから、長期的な影響に対処する必要はないと考えている。労働者は使い捨てとみなされている」と訴えた。フランス全土、そして世界中のビデオゲームの開発に携わる労働者が、労働者を大切にし、労働者の権利を尊重する業界にすべく、組織化を進めている。

ベンソン・オクワロ氏(ケニア、COWU)は、コンテンツモデレーターが直面するメンタルヘルス上のリスクを強調した。こうした労働者は、想像を絶する過激で恐ろしいコンテンツにさらされていると同時に、インターネットから偽情報を取り除く最前線にいる。彼らがこの労働に対して受ける見返りは、低賃金とトラウマであることがあまりにも多い。COWUはケニアでこうした労働者の組織化を支援し、フォード財団の支援を受けて、国際的な安全衛生基準の確立を主導している。

UNIアフリカ女性委員会議長を務めるパトリシア・ナイマン氏(南アフリカ、SACCAWU)は、セッションの最後に、第三者からの暴力、特にその女性への影響の問題を取り上げた。顧客や取引先からのこうした暴力には、ハラスメントや身体的脅迫が含まれ、これを抑制するには包括的な職場のガイドラインと強力な組合活動が必要である。

この後、大会参加者はUNI世界ICTS部会の2024~2028年の5本柱となる戦略計画について討議し、承認した。

1.ICTS部門の主要多国籍および地域企業における組合の力の構築: ソー・ソウルマン氏が再び登壇し、多国籍企業で労働者を組織化し、これらの企業内で人権の適用を強化し、テレコム部門の技術的・構造的変化を通じて組合を支援するこの動議について説明した。この戦略には、組織化キャンペーンや、特に外部委託に関して労働者の権利を保護するためのグローバル協定や人権デュー・ディリジェンスの活用が含まれる。

2.ビジネスサービス部門における組織化と基準の引き上げ:マリカルメン・ラマスUNI米州ICTS部会議長(メキシコ、STRM)は、コンタクトセンターやコンテンツモデレーター等、ビジネスサービス部門における労働条件改善に向けた取組みを強調した。活動領域を拡大し、テレパフォーマンスのグローバル協定を実施し、特にオンラインプラットフォームの安全性とコンテンツモデレーションに関する業界標準を設定する計画である。

3.グローバルなテック企業およびゲーム開発企業で、共に立ち上がる: アンディ・カーUNI世界ICTS部会議長が動画で発表したこの3つ目の戦略計画は、UNIをテックおよびゲーム開発労働者のハブとし、大手テック企業での組織化・団体交渉を支援することを目指すものだ。戦略には、可視化活動の取組み、組織化・交渉訓練の提供、労組アライアンスの構築が含まれる。

4.ICTS 労働者のための政治的影響力と経済力の構築:フグリ氏(スイス、Syndicom)は、尊厳ある労働、良好な賃金と労働条件を促進し、 人権とILO基準を擁護する必要性について議論した。この行動計画では、政策立案時に労働者の懸念が代表されるようにするため、選出された指導者、規制当局、社会対話メカニズムの関与を求めている。

5.デジタル時代におけるディーセントワーク戦略の構築:安藤京一UNI Apro ICTS部会副議長がこの動議について説明し、AIや新たな労働形態による悪影響を緩和し、産業の変化に適応するためのスキル開発の促進に焦点が当てられた。行動としては、団体交渉の促進、リモートワーク慣行に関するデータベースの維持、グローバル協定を通じた継続的な能力開発の提唱などが含まれる。

大会参加者はその後、一連の動議を採択し(テックおよびゲーム開発業界における大規模解雇の中止を求める緊急動議を含む)、新議長を選出した。

UNI世界ICTS部会創設以来、初めてアフリカ大陸から選出されたソー・ソウルマンUNI世界ICTS部会新議長は、「我々はこの先に待ち受ける課題の大きさを知っているが、これはすべての地域の支援を得て進めていく課題であることも知っている」とスピーチした。

退任するアンディ・カー議長は、過去9年間の在任期間中のテレコムおよびテック部門の変化を振り返りながら、エリクソン、テレパフォーマンス、グーグル、マイクロソフトといった大手企業との大きな進展について語り、「団結した労働者は決して負けることはない。そのことを決して忘れてはならない」と締めくくった。参加者は、世界の労働組合運動に対するカー前議長の多大な貢献を称えた。