クリスティ・ホフマンUNI書記長が再選

フィラデルフィアで開催された第6回UNI世界大会の最終日に、満場一致でクリスティ・ホフマンUNI書記長が再選された。

新たに選出されたジェラルド・ドワイヤーUNI会長は、2018年に始まったホフマン書記長の最初の任期を称え、「COVID-19パンデミックを機に、各国政府や組合、そして加盟組織間のつながりを深めた。UNIと世界の労働運動が困難な時代にも成功するための準備を整え、政府お要人や企業の重役に労働者のための力強い声を届けてきた。彼女が書記長を務めるUNIには、非常に明るい未来がある」と語った。

同書記長は過去5年間に、多国籍企業との協定や、訓練・能力・連帯を通じたキャンペーン支援で成果を出すなど、UNIの組織化プログラムを強化してきた。また、資本戦略や広報、OECDガイドラインのような国際的ツールの活用におい て、UNIの力を拡大してきた。さらには、UNIのエッセンシャルワーカーのためのキャンペーンを含め、UNI全部会でパンデミックとその労働者への影響について、交渉・政策対応を調整してきた。

ホフマン書記長は、UNI世界大会に出席した109か国の組合指導者に対し、「この世界ではあまりにも多くの人々が取り残されている。我々は、こうした状況を変えていく」と力強く語りかけ、「私たちは、グロテスクな不平等ではなく、共有できる繁栄を、ファシズムや戦争ではなく、平和と民主主義を、職場における尊厳、安全で環境に優しい仕事、そしてすべての人のための組合を、何度でも求めていかなければならない」と訴えた。

これらの目標を実現するため、同書記長は、次期任期における3つの重要な優先課題を概説した。

第一に、UNIは各部会の主要多国籍企業すべてとのグローバル協定の締結に向けた取組みをさらに強化していく。「すべての多国籍企業の事業の中で、団体交渉を規範として確立する必要がある。労働者が従業員であるか、請負業者であるか、フランチャイズ事業で働く労働者であるかは、関係ない。こうしたすべての労働者が、団体交渉でカバーされなければあらない」と語り、「会社の拠点が米国であろうと、ドイツであろうと、フランスであろうと、関係ない。今がその時だ。事業展開している国がパキスタンでもケニアでもペルーでも関係ないのだ。言い訳はできない。そして、きちんと機能するルールが必要だ。デューディリジェンスには実効性がなくてはならず、投資家は注意を払わなければならない」と続けた。

第二に、UNIは気候危機と新たなテクノロジーの導入の双方に対処するため、公正な移行を要求する。使用者の気候変動政策に労働者が発言権を持つ必要があるのと同様に、ホフマン書記長は、労働者がテクノロジーがどのように使用されるかについて、関わる必要があると述べた。

第三に、ホフマン書記長は、UNIのインフラと能力のさらなる強化を約束した。UNIは、労働者の複雑な生活を共有するために独自のプラットフォームを利用することを含め、世界の政策決定者を動かすための戦略と戦術を革新し続けていく。しかし、こうした取組みには資金が必要であり、UNIは財政的パートナーの裾野を広げていく。

UNI書記長に選出される前、同氏は2010年からUNIの副書記長を務め、UNIビル管理部会担当局長でもあった。その任期中には、UNIは投資家や法的戦略などさまざまな手段を通じて、労働者の権利擁護に積極的に取組んできた。

米国を拠点に労働組合の活動家として25年以上の経験を持つホフマン書記長は、ジェットエンジン工場でIAM職場委員としてキャリアをスタートさせた。その後、鉱山労働者、チームスターズ、SEIUなど米国の労働組合のオルグや法律顧問を務めた。

企業の説明責任を提唱し、現在では国際アコードとして知られる「バングラデシュの火災・建設物の安全に関する協定」の交渉において、重要な役割を果たした。これは、同地域の労働者の人権保護を目的とした画期的な協定であった。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、ニューヨーク大学ロースクールで法学博士号を、スミス・カレッジで経済学の学士号を取得。彼女のリーダーシップは、特に世界がデジタル時代の複雑な労働問題に取り組む中で、尊厳ある労働を求める影響力のある発言で、高い評価を得ている。