
UNI Apro女性委員会が、2023年4月下旬に4年ぶりにシンガポールで開催され、正委員、予備委員、オブ、スタッフを含め12か国28人が出席した。日本からは、UNI Apro女性委員会副議長の須齋損保労連事務局次長、UNI Apro女性委員の寺嶋UAゼンセン多様性協同局部長、三﨑大日本印刷労組書記次長、福田JP労組中央執行委員が出席し、各組織のメンタルヘルスやジェンダーに関する取組みについて報告し、多くのコメント・質問を受けた。また、大日本印刷労組より市村委員長、植田常任執行委員、秋枝執行委員がオブ出席した。
開会:
ミラ・スミラットUNI Apro女性委員会議長は、4年ぶりに再会できたメンバー、新たに加わったメンバーを歓迎した。続いて、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長、アルケ・ベシガーUNI副書記長、ベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長が、激励の挨拶を行った。
UNI Apro女性委員会活動報告:
アンジャリ・ベデカーUNI Apro機会均等部長は、昨年来、特に、女性の労働安全衛生、特にメンタルヘルスを優先課題として取り組んできたこと、各国の女性委員会の取組みのハイライト、南アジアを中心に実施しているメンタリング・プログラムの進捗状況、グローバルレベルの活動やキャンペーンへの参加状況について報告し、8月のUNI世界大会での女性参加率40%達成に向け、各労組リーダーに引き続き働きかけるよう、協力を呼び掛けた。
UNI世界女性委員会報告:
ジュリア・フォックスUNI世界女性委員会副議長(オーストラリアSDA)は、3月27~28日にスペイン・マドリッドで開催されたUNI世界女性委員会について報告した。同委員会では世界女性大会準備、特に動議の修正に関する議論が中心に行われた。
働く女性のメンタルヘルスと労働組合の対応:
●オーストラリアSDA(ケイティ・ビドルストン委員):職場におけるハラスメントに関するアンケート調査を実施し、実態把握に努めている。8割が日常的に言葉による暴力を受けており、その多くは性的な内容で、特に若い女性が被害を受けやすく、メンタルヘルスに影響を与えている。調査に基づきキャンペーンを行い、団体協約に具体的な条項を盛り込むよう求め、労使交渉を行っている。審議会への参加や国会議員へのロビー活動も積極的に行い、法改正にもつながった。例えば、ジェンダーに基づくハラスメントも不法労働行為とみなされ、使用者に対策が義務付けられるようになった。また、南オーストラリアでは、小売労働者への業務中の暴行は過重暴行としてみなされ、最長懲役7年の刑事罰が科せられることになった。
●ネパールFIEUN(ジータ・バスネット委員):メンタルヘルスに関して、まず気軽に話ができる環境作りが重要だ。組合に求められる役割として、プライバシー保護、組合員との信頼関係の構築、相手の立場を考慮した傾聴力、基準策定等を通じた安全な職場づくり、団体交渉の優先課題(有給の病気休暇等)に取り入れること等がある。
●韓国KPWU(オ・ソジョン委員):顧客に直接対応する職場で求められる「感情労働」は、ストレスが大きく、様々なメンタルヘルス症状を引き起こす要因となっている。2018年10月に感情労働者保護法が成立し、使用者は対策を取ることが義務付けられた。KPWUは会社と協議を行い、職場でのポスター掲示、窓口担当者のバッジ着用、苦情処理方法の確立、法的な措置等を申し入れた。感情労働休暇や手当を申請することもできる。KFSWU(金融サービス労組)では、会社側への啓発活動としてコールセンター労働者の状況を扱ったドキュメンタリー映画上映会を実施した。
●大日本印刷労組(三﨑友香里委員):育休明けの社員を集めたランチ会を開催し、同じ境遇にある社員同士が仕事と育児を両立する上での悩み等を共有できる場づくりの取組みを始めた。また、活力ある職場風土づくりやチーム力の強化に向けた優れた取り組みを表彰するヘルスウェルビーイング大賞という会社の新しい制度には、組合も審査等に積極的に関わり、社員の心身の健康増進や多様な人材活用を推進していきたい。

共に立ち上がろうージェンダー問題に関する組合の取組み:
●オーストラリアSDA(ジュリア・フォックス副議長):政権交代が実現したことにより労働法の改正など労働組合が求めてきたことが実現しつつある。フェアワーク法におけるジェンダー平等の主流化、セクハラ防止のための使用者の積極的な義務が求められるようになったこと、フェアワーク法に職場におけるセクハラ防止策が盛り込まれたことなどは、特に大きな成果。
●JP労組(福田千秋委員):女性の視点で課題の共有や情報交換を行い、組織活性化と男女共同参画の実現に取り組む「女性フォーラム」に集まった声を基に、会社と交渉し、勝ち取った成果を報告している。①6か月以上の育児休業を取得した場合に人を配置する仕組みを整備。男性社員の配偶者が出産した際にサポートするため、3日間の育児休業取得と会社による4週間以上の育児休業の取得勧奨および意向確認を義務化した。②生理休暇を取得した場合の職場での理由明示を廃止し、女性社員に配慮したものに改善した。③更年期障害への理解を深める研修やガイドブックの作成等の意識啓発活動の実施。
●シンガポールSBEU(スージー・フー委員):シンガポールではWAFというプラットフォームを通じて働く女性を支援する様々な取り組みを行っている。2022年からNTUC傘下の組合女性役員同士のメンター制度を開始し、現在10地域、総勢250人が参加している。使用者と連携し、女性の復職・求職支援、産後支援のためのケアワーカー育成等も行っている。
●UAゼンセン(寺嶋雪乃委員):50%近くを占める女性の短時間組合員の課題として、生理や更年期等女性の健康に関する取組みを強化している。昨年の男女共同参画推進キャンペーンの意見交換会で初めてこの問題を取り上げたが、男女ともに反響が大きく、特に男性からは対応方法について戸惑っているとの声があった。そこで、性別に関わらず参加できる女性の健康と働き方セミナーを開催し、正しい知識の普及や対応に困ったこと、配慮の仕方等について話し合った。7月に開催予定の2回目は、女性の健康支援が女性活躍にもつながり、会社にとってもメリットが大きいことを伝えたい。カスタマーハラスメント対策では、顧客との対等な関係作りの第一歩として、売り場でのポスター掲示の取組を行っている組合もある。
●韓国KPWU(ソン・ソヨン委員):KFSWU(韓国金融サービス労組)が女性の採用や管理職に関する職場アンケート調査を行い、金融機関で働く女性達の業務内容は男性に比べて限定的で雇用形態も不安定であることが分かった。出生率が下がり続ける中、出産や育児を社会全体で公平に負担し、女性差別撤廃のための効果的な制度政策(例えば、女性の昇進に関する割当制度、雇用拡大、男性の育児休暇取得促進等)が必要だ。韓国メディア労組では、メディアにおけるジェンダーに関するガイドラインを策定し、広く配布した。
●損保労連(須齋弥緒副議長):日本では2022年4月から介護・育児休業法が改正された。男性が育児休業を取得しやすくすることにより、主体的に育児・家事に関わり、女性の就業継続やキャリア形成につなげるためである。損保労連では、会社側と男性の育児休業取得推進について論議し、男性が育児休業を取得するために必要な支援策やワークライフ・バランスのとれた働き方ができる風土醸成の必要性について確認した。各社では独自の制度整備や人事部からのフォロー体制などが構築され、男性の1か月超の育児休業取得も少しずつ見られるようになった。一方、男性の育児休業取得への理解が十分でない実態もあり、男性の育児休業の必要性の理解や、取得しやすい風土醸成を更に進めていくことが必要だ。
●バングラデシュ・グラミンフォン労組(ルクサナ・パーヴェン委員):バングラデシュUNI加盟協女性委員会では、SNSグループを作り、月例会をズームで開催、ハラスメントや環境問題、メンタルヘルス等のテーマで研修等を行った。グラミンフォン労組では、女性比率が18%まで増加し、新規組合員の9割が女性である。