便利でスピーディな宅配便:急増する需要の裏で

インドネシア西ジャワ州ブカシで暮らすジミーは、インドネシアの宅配業者で配達員として働いており、2児の父親でもある。1日に最大で150個ほどの荷物を配達する彼の日給は、13ドル。食事代、交通費、燃料代は払われない。

「平均すると1日13ドルだが、燃料代に約1.75ドルかかる。150個の荷物を届けるように言われているが、かなり難しい話で、全部は運べない日もある。この稼ぎでは生きていくのがやっとで、途方に暮れている」

こう嘆くジミーは、週7日、1日12時間から14時間働いている。彼は、インドネシアにいる何千人ものギグワーカーの一人であり、燃料価格の高騰とインフレが進む経済状況の中、過重労働と低賃金に苦しみながら、かろうじて生活を維持している。借金を抱えており、給料の一部は家賃や借金返済、子どもの学費に充てられている。

COVID-19パンデミックは、人々の健康や生活の質に影響を与え、国民経済や国中のサプライチェーンに混乱を生じさせた。そのため、アプリを使った宅配サービスが急増し、多くの人々が、食料などの必要な物資の調達を宅配業者に頼るようになった。

だが、観光客の減少に伴い、消費者の購買力は低下し、多くの人が失業したり、故郷に戻ったりして、都市部を離れていった。一方、宅配業者は遠隔地にまで機能を拡大していった。

ジミーは苦々しく続ける。「以前は1日あたり65ドルほどもらっていたが、需要の増加やアプリを使った新しい会社がキャンペーンを行うようになり、小包1個あたりの収入は大幅に減った」

インドネシアの最低賃金は、州、地区、部門によって異なる。2022年、インドネシア政府は最低賃金を改定し、ジミーが暮らすブカシ市の最低賃金は、週40時間労働で月4,782,935ルピー(319米ドル)から4,816,921 32ルピー(321米ドル)に引き上げられた。しかし、ジミーや彼の同僚たちの状況といえば、小包の配達にばらつきがあり、1日あたり、1か月あたりの給料も異なるため、ほぼ最低賃金で月に400時間近く働いていることになる。

「月400時間近く、通常の2.5倍近い時間を最低賃金に近い金額で働くのは、納得がいかないと思った。家族と過ごす時間もなく、働いても、働いても、家族を養うのがやっとの状態だった。それでSPPD労組への加入を決めた。今、仲間たちと一緒に組合を成長させ、インドネシア政府に問題を提起している」こう語るジミーは、「家族には稼ぎが必要だが、この労働時間と賃金はあまりに危険かつ不当だ。常に肉体的・精神的ストレスにさらされている。SPPD労組は希望を与えてくれた。すべてのギグワーカーにSPPD労組への加入を勧めたい。そして、すべてのインドネシアの労働者のために、より安全で公正な職場を一緒に作っていきたい」と、力を込めた。


*プライバシー保護のため、労働者の名前は実際とは変えてあります。