英国で17万人以上のCWU組合員がストに突入

英国のUNI加盟組織である通信労組(CWU)が、「ものすごい1週間」になると宣言する2022年8月末、英国全土で17万人以上の労働者がストライキに入る。

大手通信事業者BTとその子会社オープンリーチ、そして郵便局およびロイヤルメール・グループに雇用される労働者は、争議行動への圧倒的支持を示し、高騰するインフレの中でまっとうな生活の質を維持できる賃金を求め、「英国のあらゆる町や都市」でピケットラインに立つ。

BTとオープンリーチでは、生活費の高騰を補うに足る賃上げ交渉が決裂し、CWU組合員は7月29日と8月1日に35年ぶりに最初のストに入った。会社側は組合と協議することなく、年間1,500ポンドの賃上げを示してきたが、これは国内のインフレ率11%以上(年末には18.6%に達する可能性もあるとされる)と比較すれば、実質的に大幅な賃下げである。

この実質的な賃金カットは、BTが年間13億ポンドの利益を上げ、同社のフィリップ・ヤンセンCEOが350万ポンド(32%の報酬引上)という高額報酬を得ている一方、BTの営業所では従業員を支援するためにフードバンクを設立したと伝えられる中で行われた。

BTの次のストライキは8月30日に開始する。米国、スペイン、スイス、ドイツ、ポルト ガル、イタリアなど、各国の組合が連帯と支援を表明する書簡を英国の労働者に送っている。

CWU副書記長を務めるアンディ・カーUNI世界ICTS部会議長は、「我々は今もBTが誠実な交渉の席につくことを望んでいる。だが、悲しいかな現状では、我々がさらなる行動を起こさない限り、それは実現しないということが明らかになってしまった。…ゆえに今、我々は立ち上がる」と述べた。

BTによる賃上げは、現在のインフレ率に遠く及ばず、到底容認できるものではない。

過去3回のストライキと、8月26~27日のさらなるストライキで、郵便局が提示した賃上げ率は3%から5%に引き上がったが、組合はさらなる引上げが必要であるとの考えを明確にした。アンディ・フューリーCWU書記次長は、「しかるべき方向に一歩進んだが、まだインフレ率の半分以下だ」と述べ、「この賃金提示の改善に勇気づけられた。次週の協議で、2022~2023年度分のみならず、2021~2022年度分についても、公正で妥当な賃金協定に向けてさらに前進していきたい」と意欲を見せた。

ロイヤルメール・グループでも、使用者が労働者の貢献を認めず、「以前の賃金を現在の価格で」支払い、実質的に労働条件を悪化させる賃金提示を行ったという類似の事例がある。

CWU書記長を務めるデーブ・ウォードUNI世界郵便・ロジスティクス部会議長は、「経営陣の戦略は『近代化』などではなく、水準の引下げだ。だが、労働者を最下層に置いては、事業は成り立たない。組合は決して、変化を避けてはいない。ロイヤルメール取締役会は、ロイヤルメールの未来を築きたいのであれば、労働者を支える必要があるのだと認識しなければならない」と語気を強めた。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「この生活費危機を引き起こしたのは労働者ではなく、その責任を負うのも労働者ではない。パンデミック時にもBTやオープンリーチ、ロイヤルメール、郵便局の業務運営を維持してきたのはCWU組合員であり、経営トップや株主ではない。現在は、物価上昇と実質賃金の下落という別の緊急事態を克服するために、皆が団結している。まっとうな賃金を求める彼らの闘いは、世界中の多くの労働者の闘いでもあり、我々は彼らに連帯する」と力を込めた。