UNI欧州、労働者を中心に据えたケア部門戦略を要求

UNI欧州が、労働組合の権利、団体交渉、労働条件、人員配置、質の高いケアを強化するため、欧州の来るべき介護戦略を要求している。労働者の利益が戦略の中に組み込まれるよう、UNIはEUの3つの立法機関の主要な政策決定者と連携している。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「人々が受けるケアの質と安全性は、介護に関わる労働者の労働条件と切り離すことはできない。パンデミックの影響で、ケアを受ける人と労働者の双方に十分な資源が行き渡っていないことは、共通認識となっている。我々は、民間介護部門で働く何十万人もの人々を置き去りにはできない。今こそ改善を求める時であり、欧州ケア部門戦略は、過去2年間に欧州全域で露呈した壊滅的な欠点を修正するための、重要な手段だ」と強調した。

欧州委員会
欧州委員会は、欧州ケア部門戦略の策定において中心的な役割を担っている。UNIのアプローチの目的は、社会パートナーと株主がケア部門の水準を上げるという目的を共有し、EUが推進しうる主なツールとして、強力な団体交渉を提示することだ。そのためUNIは、UNIが支援する「ケア部門の責任ある投資家イニシアティブ」と、ニコラ・シュミット雇用・社会権担当委員との会合を設定した。2021年に開始したこのイニシアティブには、3兆7000億ユーロの資産を運用する130以上の機関投資家が参加している。

ニコラ・シュミット委員は非常に前向きな反応を示し、社会サービスにおける産別の社会対話委員会の必要性を強調した。UNI欧州は現在、包括的で労働者を代表する産別の社会対話の機構を創設するため、取組みを推進・強化している。

レティクUNI欧州地域書記長は、「患者/利用者:スタッフの安全な比率、防護具の提供、そして質の高いケアを長期に渡って提供しうる仕事量の維持のためには、強力な労働組合が必要だ。労働組合は、ケア部門の企業に変化をもたらす独自の洞察力を提供できるという認識が、あらゆる関係者間で共有されている。昨年の我々の取組みは、投資家との対話を通じ、企業方針と慣行の改善に向けた強力な基盤を築いてきた」と指摘した。

ケアに関する市民社会団体連合の一員として、UNIは欧州委員会に対し、「欧州ケア戦略は欧州議会の要求と一致しなければならない」と題する書簡を送付している。

欧州議会
UNI欧州が、欧州議会における主要な委員会のメンバーと長期的な関係を構築してきたことで、UNI欧州の意見が欧州ケア戦略に反映され、また介護労働者の集団的発言力を強化することにつながってきた。

最近、欧州議会の2つの委員会(雇用・社会問題委員会、女性の権利・男女機会均等委員会)が、「ケアに関する欧州共通行動に向けて」と題する独自報告書を共同で提出し、組合が介護部門で果たすべき重要な役割を強調している。この報告書は欧州議会で採択されており、特に労働者の組織化の権利を強化することを目指している。

独自報告書は、欧州議会が立法措置を開始するための主要な手段となっている(そのためには欧州委員会も必要である)。この内容がEU法に反映されれば、個人・訪問介護労働者を含む広範な介護部門における団体交渉について、 欧州全域で新たな枠組みが生まれることになる。この報告書は、欧州ケア部門戦略について、介護労働者が集団的に強力な発言権を持つことを保証するよう、欧州委員会に強いメッセージを送るものである。UNI欧州が複数の欧州議会議員や政党に働きかけたことで、組合の権利などの重要項目が盛り込まれることとなった。

エイドリアン・ドゥルチUNI世界ケア部会担当局長は、「この欧州議会の報告書は、UNI欧州ケア部会の中東欧や南東欧での組織化の取組みや、EUレベルでの政策提言活動やロビー活動が、いかに労働者の権利を強化し、組合の力を構築しているかを示すものだ」と述べた。

加盟国
EU理事会を通じて加盟国も、欧州ケア部門戦略の策定に対して発言権を持っている。UNIは主要な協力団体と連携し、組合の要求が最終版に盛り込まれるよう、強力に働きかけている。

スペインの労働組合は、介護部門の危機を政府の最優先課題として取り上げることに成功した。最近では、UNIはスペインの組合CCOOが主催した、同国副首相を務めるヨランダ・ディアス労働・社会経済大臣とのハイレベル・セミナーに参加した。セミナーでは、フェミニズムと労働組合の視点から、ケア部門の欧州戦略を策定することに焦点が当てられ、ディアス副首相は、「フェミニズムを核としたケア部門の専門化を実現する上で必要な変化を起こすため、我々は協力していかなければならない」と述べた。

また、ウナイ・ソルドCCOO書記長は、「ケアに関する協定は、21世紀の新しい社会契約を構成する中心的要素の一つだ」と述べ、パンデミックの観点からケアに対する投資の重要性を強調した。

セミナーに参加したベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「全ての大陸、全ての国で、ケアの仕事は女性が担っている。管理職の大半が男性で、労働者の大半が女性である現状においては、制度的な性差別の存在を無視することはできない」と指摘した。

また、団体交渉を通じて労働者に発言権を与えることが、ケア部門の労働者が抱える主な課題、特に低水準の賃金と人員配置を改善する最も効果的な方法であると指摘し、「産別団体交渉によって労働者は、業界全体の労働条件を改善し、解決策に加わる可能性を与えられる。EUは、労働条件を抑圧する構造的な問題に覚醒しつつある。EUが本気で状況を変えようとするならば、政策決定者はまず、ケア部門の主な政治的圧力の対象である公共調達を、労働者の団体交渉権を尊重する企業に限定するよう要求しなければならない」と訴えた。