介護施設の変革に向けた投資家イニシティチブ1年目、変化に向けた基礎を構築

介護施設における労働条件とケアの質の改善に向けた革新的なキャンペーンの開始から1年、「ケア部門の責任ある投資家イニシアティブ(IIRC)」は、2021年3月の開始以来の進捗状況を評価するとともに、今後の改革を展望した。

IIRCに署名した投資家(現在133社、運用資産額3.8兆米ドル)に提供された最新情報の中で、この取組みの創設メンバー(脚注)と、コーディネーターを務めるUNIは、介護部門において基準を引き上げるような実質的な取組みが数多く行われていることに触れた。

開始当初、IIRCは投資先企業に対し、十分な人員配置、団体交渉と組合代表の拡大、安全衛生の改善、生活できる賃金、ケアの質の向上など、パンデミックによって悪化した介護業界の長年の問題に対応する、共通の期待を発表した。

これまでにIIRCは、介護施設を運営する世界最大手のチャートウェル、フレゼニウス、ヒューマナ、コリアン、LNAサンテ、オルペア、シエナ・シニア・リビングの7社において、役員レベルでこれらの期待を高めきた。IIRCは、ウェルタワー、ヴェンタス、ヴォノヴィアなどの介護施設部門で大きな存在感を示している不動産投資信託(REITs)への働きかけも開始している。

さらに、IIRCに署名した機関投資家は、カナダのチャートウェルの株主総会決議により、取締役会レベルで説明責任が果たされるよう、働きかけてきた。また、フランス責任投資フォーラム(FIR)と共同で、約50名の投資家が参加する説明会を開催し、介護部門の危機に対する解決策を議論した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「IIRCは1年という短い期間で、業界を苦しめる根深く危険な問題に対し、責任ある投資家が取組んでいくための強固な基盤を構築した」としてその成果を強調しつつ、「だが、もっと多くのことをしなければならないのは明らかだ。介護の中心に人間の命と人々を据えるというIIRCの期待に、こうした使用者やREITsが応えていくようにするためには、大規模で複数の利害関係者が関与していくアプローチを、継続的に行うことが必要だ」と訴えた。

脚注) IIRCの創設に関わり署名したのは、BMOグローバル・アセット・マネジメント、コロンビア・ スレッドニードル・インベスツメントの一部、エトス財団、PIRC、シコモア・アセット・マネジメントの各社。