UNI Aproメディア部会、コロナ禍の影響とメディアへの抑圧に連帯して立ち向かう

2021年8月25日、第3回UNI Aproメディア部会大会がオンラインで開催された。12か国、19組織から代議員、オブ、ゲスト、スタッフ等77人が参加した。日本からは、日放労、民放労連が参加し、中村UNI Aproメディア部会議長が議事進行を務めた。

開会式では、クリスティ・ホフマンUNI書記長が連帯挨拶を行い、コロナ禍で浮き彫りになった労働安全衛生の重要性と共に、ワクチンの公平な接種の必要性を強調した。労働者だけに犠牲を強いてはならず、復興プロセスの中心に労働組合が積極的に関わり、より公平なコロナ後の世界を築いていかなければならないと訴えた。特に民主主義が大々的な攻撃を受け、多くの国で言論の自由に圧力がかけられている中、UNI Aproメディア部会加盟組織の奮闘に敬意を表した。

ヨハネス・ストゥディンガーUNI世界メディア部会担当局長も、厳しい状況の中でメディアは情報の伝え方について批判を受けているが、我々の仕事は単なる情報伝達に留まらず、前線から有意義な情報を提供していくことであり、民主主義に貢献することだと述べた。近い将来、対面の情報交換ができることを期待し、厳しい時こそ組合の国際連帯を強化していこうと鼓舞した。

続いて、アジア太平洋放送連合(ABUを代表し、ナタリア・イリーバ事務局長室室長から来賓挨拶を受けた。UNI AproとABUの協力は9年前に始まったが、両組織は、メディア労働者の安全と福祉を守り、技術変化や民主主義への脅威に対応する等、共通の目標を持っており、情報交換を重ねてきた。過去10年の技術革新で仕事のやり方も変化し、多様化した。効率性や柔軟性が増した一方で、労働条件の悪化やメンタルヘルスの悪化も生じているとし、特にジャーナリストの仕事へのAI適用については人間の管理下で行うことと、研修の強化を強調した。

最後に、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長が、冒頭、香港、ミャンマー、アフガニスタンの市民に連帯を表明した後、「未来を創る:包摂的で、公正で、持続可能な未来に向けて」と題する基調講演を行い、UNI Apro全体の課題と今後の取組み方針を紹介した。大会は満場一致で、「UNI Apro部会大会共同声明」を採択した。

20172021年度活動成果報告

ミシェル・ベリーノUNI Aproメディア部会担当部長が過去4年間の主な活動とその成果について報告した。組織化、加盟組織の連携強化については、労働安全衛生、組織化等をテーマに、毎年マレーシアで能力開発研修を実施した結果、マレーシアにおける組織化が順調に進んでいる。業界団体との関係強化については、ABUと共同ウェビナーを開催する等して協力を強化した。UNI世界メディア部会女性ワーキンググループにもUNI Aproから積極的に参加し、ジェンダー平等の取組み経験等を共有した。

「メディア産業における、パンデミックによって引き起こされた変化及びメディアへの抑圧の高まりという課題に立ち向かう」

中村UNI Aproメディア部会議長が基調講演を行い、「新型コロナウィルスは、グローバル化された社会や経済システムを狙い撃ちするかのように感染が拡大している。私たち労働組合はコロナ禍において、労働者・組合員の命と健康を守るという課題と、雇用や処遇等、社会的かつ経済的なプレゼンスを守るという2つの課題に直面している。ひとり一人が人間として、また尊厳ある個人として生きていくために、公共性や文化は必要であり、私たちメディア労働者は、それを提供する極めて重要な仕事に従事している」と強調した。

この他、ジャーナリストでもあるカリンガ・セネビラトネ博士が、「経済モデルはメディアの自由の重要な要素」と題する講演を行った。博士は、「報道の自由は社会にとって重要だということはよく知られているが、本当に自由なメディアが存在するのか?」と問いかけ、ニュースメディアのビジネス性と公益性のバランスをいかに取るか、様々な実例を挙げながら解説した。最後に、UNI及び労働組合に対し、ポストコロナ時代に、オンライン学習へのコンテンツを提供することや、自らがメディアプレイヤー、メディアプロダクションになることを期待した。

放送ジャーナリストであり公認メンタルヘルス応急処置士でもあるエバリン・サミュエル氏は、「パンデミックがメンタルヘルスに及ぼす影響と、これに対処する現実的なアプローチ」について概説した。従業員自身によるモチベーション維持から基本的なセルフケアの方法まで紹介すると共に、使用者側がメンタルヘルス対応にはコストがかかることを認識し、様々な福利厚生を提供したり、ビデオコールによってコミュニケーションを図ったりして、労働者の状況を定期的に把握する必要があると述べた。

マレーシアのカイルザマン・モハマド代議員は、コロナ禍に感染予防対策の徹底を図ると共に、メディア業界労働者の雇用の維持と、再訓練を受け新しい仕事に就けるよう取組みを進めていると報告した。

香港のエレン・チェン代議員は、政治不安とコロナ禍により、労働者は失業し、経済も悪化している状況を報告し、若年層の政治参加は進んだが、治安維持法導入後は民主主義が後退していると述べた。労働組合も解体の危機にあり、組合員数も激減しており、国際労働運動からの支援が必要だと訴えた。

日本の岩崎代議員(民放労連書記次長)は、「メディア業界にダイバーシティを求めて」と題し、メディアの業界団体に対して、女性管理職の登用を増やすよう要求したことや、民放労連が行った民間テレビ・ラジオ各社の女性役員比率調査結果を紹介した。日本はジェンダー指数120位と低く、メディア業界でも喫緊の課題である。責任ある立場におけるジェンダーアンバランスは番組制作上でも無意識の偏見につながる恐れがあるとし、ダイバーシティ推進の観点からもジェンダーバランス改善に取組んでいくと述べた。

また、韓国メディア労組(NUMWから、韓国の国会では言論仲裁法を強行採決しようとしており、これが可決されると、報道機関や記者は虚偽報道に法的責任を負わされ、虚偽報道の流布を是正するだけでなく損害賠償金を課されることになり、脆弱な立場に置かれるようになるとの報告と、連帯支援の要請を受けた。UNI Aproメディア部会大会として、そのような改正が韓国メディアの表現の自由の制限につながることを懸念し、韓国メディア労組の闘いを支援する連帯声明を確認した。

20212025年度UNI Aproメディア部会戦略的行動計画の採択

大会は、コロナ感染拡大防止、新しい仕事への対応、安全労働衛生確保、加盟組織の能力開発及び組織化支援、非正規労働者対応、ジェンダー平等推進等の課題について、他の組織との交流・情報交換・優良事例共有の促進や、業界団体/ABUとの協力を通じて、取組んでいく行動計画を採択した。

20212025年度UNI Aproメディア部会委員会の選出 最後に、新たな部会委員会メンバー・役員が選出され、議長に日放労・中村氏が再選され、閉会した。