フランスNCP、テレパフォーマンスに人権尊重を要求

経済協力開発機構(OECD)に対する相談窓口であるフランスのナショナルコンタクトポイント(NCP、フランスのNCPは、政労使の代表からなる三者構成の組織)は、2021年8月2日、パリを拠点とするコールセンター大手のテレパフォーマンスに対し、同社のグローバルな事業活動全体において、労働者の健康と安全のプロトコルおよび結社の自由の権利に関する欠点を是正するよう、一連の強力な勧告を発表した。

80か国に383,000人の労働者を擁するテレパフォーマンスは、フランス最大のグローバルな使用者のひとつであり、世界最大手のコールセンター企業として、Apple、Google、Amazon、Orangeなど、世界の大企業のサポートを行っている。

UNIは、テレパフォーマンスにおけるデューデリジェンスと労働者の権利尊重の強化を長年求めてきたが、2020年4月17日、UNIおよびフランスの4加盟組織(CFDT Fédération Communication Conseil Culture、CGT-FAPT、CGT Fédération des Sociétés d’Etudes、FO-FEC)は、フランスのOECDに特定事案について提訴した。この事案は、アルバニア、コロンビア、フランス、ギリシャ、インド、メキシコ、フィリピン、ポルトガル、英国、米国を対象とするものだ。

ここで提出された文書では、テレパフォーマンスがOECD多国籍企業ガイドラインに規定された労働者の権利を侵害した旨が主張されており、パンデミック期間中の同社コールセンターにおける衝撃的で非衛生的な環境や、より良い条件を求めて組織化した労働者に対する報復や組合潰しなどが詳細に言及されている。

提訴を受けてNCPは調査を行い、今回の勧告を発表した。勧告の重要なポイントのひとつは、同社が 「OECDガイドラインに規定された労働者の結社の自由と団体交渉の権利を尊重するために、デューデリジェンスならびに労働者を代表するステークホルダーとの関与を強化すること 」としている点である。また、言及された解雇事案については、「OECDガイドラインで推奨されている労働者の結社の自由に反しており、反組合的な行為に近い」と指摘している。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「社会対話、労働組合、労働者主導の独立した安全衛生委員会の重要性を強調した今回の勧告は、国際的に認められた人権基準の遵守を強化し、職場の健康と安全を確保するための明確なロードマップをテレパフォーマンスに提供するものだ」と述べ、「NCPが事実を徹底的に調査してくれたことに感謝するとともに、会社がこの勧告に従い、地域および世界の労働者代表と有意義な関わりを持つことを求める。1年後には、テレパフォーマンスの経営陣が、労働者とその組合を敵ではなくパートナーとして扱うようになることを期待する」と語った。

NCPは、12ヶ月後に勧告をフォローアップすることを約束している。