デジタルネイティブ世代を組合活動に!UNI Apro青年委員会、オンライン活動の経験を共有

第16回UNI Apro青年委員会が、2020年10月10日に開催された。

本年9月にフィリピン・マニラで、UNIフィリピン加盟協(UNI-PLC)青年委員会がUNI Apro青年委員会と共に取組むパヤタス(栄養失調児童への児童給食・奨学金)プロジェクト15周年記念を兼ねて開催する予定だったが、コロナのため今般、オンラインでの開催となった。

主な議題は、コロナ危機と各国の若年労働者の状況や組合の取組みについての報告、UNI及びUNI Apro青年委員会の活動報告、パヤタスプロジェクトへの支援要請、今後の活動等であった。

日本からは、齋藤委員(情報労連)、藤原委員(UAゼンセン)、松波委員(日放労)、他オブザーバーが出席し、小野委員(JP労組)はビデオで報告を行った。今次委員会で、UAゼンセンは寺嶋前委員から藤原委員への変更、東アジアを代表する副議長に日放労の釘本氏から松波中央執行委員への変更がそれぞれ確認された。UNI Apro青年委員会を代表しレイズ議長から、新メンバーへの歓迎と、退任した釘本前副議長、寺嶋前委員への感謝の言葉が述べられた。

コロナと若年労働者(各国報告要約)

  • 松波副議長(日本 日放労):日本の若年労働者へのコロナの影響及びメディア・放送業界における若年労働者への影響、日放労及び経営の取組みについて報告。グレードや勤務年数で縛りのあった在宅勤務の拡大、子どもの休校措置等に対応するための有給休暇の条件緩和等を行った。一方、若年層から家計への影響を訴える声等があり、組合員の不安解消に努めたいと述べた。
  • 藤原委員(日本 UAゼンセン):青年委員会(ヤングリーブス)の活動を紹介。流通サービス産業では、コロナ禍のため研修ができず、業務知識や同期のネットワークが得られないまま店舗配属となった新入社員の不安を解消するため労働組合がオンラインを活用した研修や交流を実施している。また、UAゼンセンではコロナ禍における雇用需要のギャップを埋め、雇用・労働条件の維持につなげるため、スーパーマーケット等の人手不足の業界に、外食業界等の休業や時短等で十分な収入を得られない業界の労働者の就労を時限的に紹介するなどしている。
  • 齋藤委員(日本 情報労連):ICT産業はテレワークを推進する側。デメリットばかりではなく、オンライン化によって、これまで組合活動に参加しづらかった人の声を拾い上げる機会にもなる。デジタルネイティブと呼ばれる若年世代はオンライン上のコミュニケーションに長けている。新たなやり方で、新しい労働組合の運動スタイルを切り開いていきたいと述べた。
  • 小野委員(日本 JP労組):郵便局及び配達業務における感染防止対策について報告。コロナ危機により、在宅勤務対応やキャッシュレス化等デジタル化の遅れが浮き彫りになった。ユースネットワーク活動も制限されたが、オンライン開催等で遅れを取り戻している。
  • カイ・フック・タン委員(シンガポール):若年層を新卒、キャリア志望者、若い親に分け、それぞれの関心事(就業機会、キャリアアップと適正、家庭のニーズ)を分析。組合が働きかけて実現した政府の訓練プログラム(企業及び新卒への研修費給付、仮想就職フェア)、若年労働者の仮想キャリア情報交換会、政府からのスキルアップ給付金の増額に加え、コロナ危機で影響を受けた労働者への支援や、スーパーでの品出しの手伝いといった組合員によるボランティアを紹介した。
  • ベルナデット・レイズ議長(フィリピン):東南アジアで最も感染者数が多く、コミュニティ隔離措置や移動制限が長く続き、政府の支援が困窮者に届いていない。若年層、若年労働者への影響(失業、インターネット環境が悪く遠隔学習や在宅勤務が困難、鬱や不安等のメンタルヘルス悪化、DVの増加)と、組合の対応(経営側及び労働省に労働者支援策を交渉、オンラインでの団交、組合員へのマスク、フェイスシールド、ビタミン等の配布)を報告。UNI-PLC青年委員会は、UNI/UNI Apro等のウェビナーに積極参加し、パヤタスへの支援を継続し、独り親家庭に牛乳配給等のボランティア活動を行っている。
  • スシ・ノビアンティ委員(インドネシア):若年労働者への影響(就職難、解雇、将来不安)と、組合/青年委員会の対応(企業に労働者の安全確保を交渉、組合員への個人用防護具の配布、ソーシャルメディアによる感染予防啓発)を報告し、青年委員会の活動計画を紹介した。政府が労働組合の反対を押し切って可決した雇用創出オムニバス法は、解雇手当を削減し、無制限にアウトソースを可能とし、労働者の権利が剥奪される等、「雇用創出」の名の下に労働者を騙そうとする法律であり、組合は巻き返しを図ろうとしている。
  • アブ・ハサン委員(バングラデシュ):失業者が増大し(その多くが社会保障の対象外)、貧困及び格差が拡大する中、UNIバングラデシュ加盟協青年委員会は、困難を乗り切るため、生活困窮者への食糧配給、マスク配布等のボランティア、義援金カンパ、ソーシャルメディアでの大学生や若年層への啓発活動、労働問題に関するオンライン討論等の活動を実施している。
  • ジョティ・シュレスタ副議長(ネパール):政府の封じ込め失策により、雇用の不安定化、無給休暇の横行、DV・レイプの増加、メンタルヘルスの悪化、家計の悪化、自殺の増加、メディア上の誤情報といった問題が起きている。UNIネパール加盟協青年委員会は、組合員へのマスク配布、NGOと連携した食糧・水・支援物資の配給等のボランティア活動を実施。ロックダウン後、首相官邸前に100人の青年が集結し、復興計画(PCR検査の拡充他)を求めて平和的デモを実施。女性への暴力や犯罪が増える中、組合は若年層を教育・啓発し、自主隔離期間の女性の安全、女性の尊重を訴えていくべきだ。
  • キマヤ・ウキダブ委員(インド):UNIインド加盟協青年委員会は、年明けから孤児院での菓子配布、献血、高齢者施設でのサプリ配給を実施。コロナ危機が始まってからは、食事もとれない医療従事者に1か月に渡り軽食・茶を配給。組合の対策として、バローダ銀行労組の取組み事例(1か月分の給与前倒し払い、妊婦・障がい者の業務免除、感染による死亡に500万ルピー、都市部の病院のベッド不足に備え、感染した行員のための隔離部屋をホテルに確保、隔日出勤、公共交通機関がストップしたため交通費手当の確保、無料の医師相談、支店における各種感染防止対策)を紹介。
  • ミヒリ・ハプアラチャチ(スリランカ):感染は比較的抑えられている。若年労働者への影響(最前線で働き感染リスクが高い、失業、収入減少、メンタルヘルスの悪化、DVの増加等)、組合の対応(防護具・危険手当の要求、情報提供、賃金補償、雇用保障、社会保障の確保)、UNIスリランカ加盟協青年委員会の活動(スーパーの若年労働者の組織化、カンパ、青年リーダーシッププログラム、社会貢献)を報告。

この他、UNI世界青年委員会がまとめた「コロナ禍の青年ガイドライン」、UNI Apro女性委員会の声明をそれぞれ確認した。また、マルタ・オチョアUNI世界青年委員会担当局長から、SNSを活用したUNI yeah!キャンペーン、コロナ禍の間のウェビナーシリーズ、ウェビナーを通じて得られた意見からまとめた2020~2024年度UNI世界青年委員会行動計画案の策定等、UNI世界青年委員会の活動報告を受けた。更に、UNI Apro/UNIフィリピン加盟協(UNI-PLC)青年委員会が共同で推進してきたパヤタス(栄養失調児童への給食・奨学金)プロジェクトの15周年を迎えるにあたり、経過がビデオで紹介された。コロナ禍で、支援が行き届かないパヤタス地区は深刻な影響を受けていることが報告され、過去の努力を無駄にしないためにも、現在、米の配給等を続けているが、UNI-PLCからあらためて支援の要請を受けた。