世界の金融労組リーダー、ポストCOVID-19の金融サービスについて意見交換

UNI世界金融部会は年に1度、議長・副議長会議を開催し、前年度の活動を振り返り、当年度の活動を計画している。本年はUNI世界金融部会委員会と合わせ、アジア(シンガポール)で開催する予定だったが、感染状況収束の見通しが立たず、8月24日、25日に両会議ともオンラインで開催された。2020年春に始まった新型コロナウィルス(以下COVID-19 )の世界的な感染拡大により金融労働者を取り巻く環境が一変したことから、前年にUNI世界金融部会大会で採択した活動方針を見直し、ポストCOVID-19の戦略を立て直すことがUNI世界金融部会委員会の焦点となった。委員会での公式な議論の前に、コロナ後にUNI世界金融部会が目指すべき新しい方向性について、議長・副議長が4つのテーマで意見交換を行った。議長・副議長会議は、今年からジェンダーバランスを考慮し、各地域1人ずつ女性副議長が加わった。UNI Apro金融部会からは、境田道正議長(損保労連中央執行委員長)とジュリア・サングリアノ副議長(オーストラリアFSU書記長)が正式メンバーとして、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長、ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長、森川容子UNI-LCJ事務局次長がオブザーバーとして出席した。

  1. COVID-19危機の教訓と課題、デジタル化による恩恵 

マイケル・ブドルフセンUNI欧州金融部会議長がデンマークの金融部門労働者のストレスと在宅勤務の相関関係に関する調査について報告した。労働者自身が自分のライフスタイルに合わせて柔軟に時間管理でき、場所を選ばずに仕事ができるという在宅勤務のメリットは大きく、10年間様々な対策を取っても減らすことが難しかったストレス値が半減するという劇的な改善が見られた。ブドルフセンUNI欧州金融部会議長は、「今後も引き続き調査を続け、これが一過性の現象なのかどうかを見極めたい。使用者が在宅勤務か出勤かを一方的に決めて押し付けるのではなく、労働者自身が自分に合った多様な働き方を選べるようにサポートすることが重要だ」と強調した。他地域からは、在宅勤務の環境やコストが労働者の負担になっているといった問題点や、在宅勤務者の組織化をどのようにすべきかが課題といったコメントがあった。

  1. 社会・経済成長への金融サービスの貢献 

オインカン・オラサニョエUNIアフリカ金融部会副議長は、金融サービスが社会・経済の発展にどのように貢献しているかについて、アフリカの状況を中心に報告した。COVID-19 危機において、多くの金融労働者がエッセンシャルワーカーとして業務を続け、企業や個人に対して積極的に融資等のサービスの提供を行ってきた。持続可能な成長のためにも、金融サービスは社会・経済の成長を支えるインフラとして非常に重要だ、と強調した。

  1. ジェンダーの観点から見たCOVID-19の影響

パトリシア・サラザール・パラUNI米州金融部会副議長は、カリブ海地域における金融部門の女性労働者を中心に報告した。ロックダウンにより、女性は自宅で仕事をしながら家事・育児との両立が求められた。更に、家庭内感染や家庭内暴力の問題もあり、女性のストレスは増大している。既存のジェンダー格差が更に悪化した結果となっており、労働組合はこれまで以上に格差是正に取り組んでいかねばならない、と訴えた。

  1. 気候変動を抑制するグリーンファイナンスの取組みと環境災害の課題

境田道正UNI Apro金融部会議長は、気候変動に伴い世界的に自然災害が多発している状況に触れ、環境に配慮した投資促進等のグリーンファイナンスの推進によって気候変動リスクの軽減を図ることは、社会経済のみならず金融の安定化につながる、とその重要性を指摘した。具体的には、UNI世界金融部会として「NGFS(気候変動リスク等に係る中央銀行・金融当局ネットワーク)」との連携を図るべきだと提言した。更に、UNI Aproが推進するスマートパートナーシップの考え方に基づき、政労使が建設的な対話を通じてこの課題に取り組むべきであると主張した。

ブドルフセンUNI欧州金融部会議長は、「UNI欧州金融部会として本提案を全面的に支持する。UNI欧州金融部会は、正に、UNEP(国連環境計画)や欧州委員会など異なるステイクホルダーと連携し、持続可能な金融を構築するため、アクションを展開している。機関投資家はグリーンな投資が単に利益を生み出すものとしてしか認識していないが、労働組合はそれが持続可能なものになるようアクションを起こし、社会的責任を果たさなくてはならない」と強く支持を表明した。

閉会にあたり、デクリストUNI世界金融部会担当局長は、本会議が元々はシンガポールで開催されるはずだったことに留意し、COVID-19 収束後初めての会議は、是非シンガポールで開催したいと約束した。また、従業員の解雇が起きているブラジル・サンタンデール銀行労働者を支援する連帯キャンペーンへの加盟組織の協力に感謝した。更に、危機が長引く中、同様の解雇や賃金削減等が今後各国金融部門で起きる可能性があると指摘し、交渉力のある「強い労働組合」による、社会への発信力と国際連帯が益々重要だと強調して、加盟組織の更なる協力と結束を呼び掛けた。