2020年7月中旬、米国のアマゾン労働者は重要な勝利を勝ち取った。6月にアマゾンのニューヨークの倉庫労働者3人と家族3人に訴訟を起こされて、ようやくアマゾンは不十分なCOVID-19安全対策方針を変更したのである。アマゾンに安全手順の変更を即刻強制するかどうかを裁決するための法定審問予定日の前日になって、同社は、手洗いのために仕事を離れた時間は懲罰の理由にはならないと発表した。
「訴訟などされなくても、アマゾンは手洗いをした労働者を罰しないと発表するべきだった。この件からも、倉庫で働く人々の労働条件がどれほど酷いかがわかる。パンデミック中でさえも厳しく作業ペースを維持するよう、労働者に絶えずプレッシャーがかけられていた」と、クリスティ・ホフマンUNI書記長は憤る。「アマゾンの、とてつもない富と権力は、パンデミックの間も巨大化し続けたが、労働者のために行動を起こすよう強制されて、ようやく労働条件が改善された」と述べた。
UNIと小売・卸売・百貨店労組(RWDSU)は、この件に関して法廷への意見陳述書を提出した。その中では、イタリア、フランス、スペイン、その他欧州各国における事例からも明らかなように、アマゾンや他の企業に対して説明責任を取らせ、人々の福祉を最優先とする上で、組合が極めて重要な役割を果たし得ること、また実際に果たしてきたことが主張された。
2020年6月3日に米国ブルックリンの連邦地方裁判所に申し立てられた訴訟では、5000人の労働者を雇用するアマゾンJFK8倉庫は、労働者とコミュニティの双方を危険にさらす「危険な場所」であるとの主張がなされた。
アマゾンは従業員に、「社会的距離の維持や、手洗い、作業場の消毒ができないくらい、目が回るようなスピード」で働くよう強要したとしている。更にアマゾンは、労働者との意思疎通を意図的に回避し、感染症の接触者追跡もずさんで、社会的距離の徹底も不十分だと主張された。また訴訟を起こした労働者は、適切な安全手順を踏めば、達成するのが非現実的な生産目標を課されたと証言している。 パンデミック当初より、多くのアマゾン倉庫における労働条件は、WHOや各国衛生当局が規定した基本的な安全衛生基準を満たしていなかった。アマゾンは増加する配送需要に無理して応じようとし、労働者が手洗いをし、社会的距離を保てるように作業ペースを落とすどころか、作業スピードを速めるよう強いた。今回、法的圧力や労働者の行動を受け、アマゾンはようやく、ニューヨークの労働者に対して、手洗いのために時間をとっても罰しないと伝えた。