第2回UNI-Apro専門職・監督職(P&MS)大会(2008年3月29日、オーストラリア・メルボルン)

開会
ジョン・デペイバUNI-AproP&MS議長は、2日間の世界大会を総括した後、アジア太平洋地域でも、伝統的な労働組合には入りたくないと考えているP&MSを組織するために、何か革新的なことをしなければならないと訴えた。シンガポールでは、「Labor Movement 2011」というキャンペーンの中で、組合員と呼ばれたくないP&MSを「ゴールドカラー」と呼ぶこととし、2011年までにこうした人々を組織する目標を立てた。
続いて、ジョセフ・デブリュンUNI-Apro地域会長、ゲルハルド・ローデUNI P&MS担当局長、フィリップ・ボイヤーUNI副書記長が連帯挨拶を行った。クリスター・フォースランド世界P&MS新議長はまず、2006年、2007年に開催されたUNI-AproP&MSフォーラムの成功を称え、その後ネパールでP&MS協議会が設置され、活動が始められたことを高く評価した。P&MSの組織化については、ダイバーシティーマネジメント(使用者にもジェンダー平等などを理解させること)、生涯学習、ワークライフバランスの重要性を指摘した。

活動報告
ジャヤスリ・プリヤラルUNI-AproP&MS担当部長は、2001年の第1回大会以降の活動を報告。中心となった活動は、NTT労組の後援を受けた2回のUNI-AproP&MSフォーラムであり、森嶋委員長はじめNTT労組の協力と支援に感謝が述べられた。また、難しいと言われていたインドのIT専門職の組織化にも成功し、今では6つの協約を締結している。現在、インドネシア中央銀行の従業員協議会や、インドの銀行従業員協議会、インドのテレコム上級職協議会、スリランカの労組、シンガポールの金融労組などにもコンタクトをとっている。他の国にも、潜在性はあるのにP&MSの組織化ができていないところがまだ多い。今後も、P&MSの組織化という我々の取組みをもっと広く普及させていかなければならない。

「P&MSのためのディーセントワーク」
フィリピン大学オフレネオ教授は、アジアの労使関係に欠けている中間管理職のためのディーセントワークというテーマで講演した。企業のウォルマート化が蔓延し、労働集約化が図られているのに、対価が追いついていない。トップ経営者と部下との間に挟まれ、双方からプレッシャーを受ける。部下に解雇を伝える役目を追うだけでなく、自らも解雇の憂き目に遭うことがある。ほとんどの国で、こうしたP&MSの立場を明確にし保護するような法制度がない。海外に職を求めて移住する。P&MSにとってのディーセントワークを確保するためには、産業、国、地域、国際レベルで、深く戦略を練り、組織化し、意識を高める必要がある。
NTT労組の古賀代議員は、「NTTでもウォルマート化が進み、評価者との面接において、いかに公正な業績評価を得るかが問題。組合は、業績評価の苦情を減らし満足度を上げるために努力している。海外の企業・労組で良い経験があれば聞きたい」とコメントした。ジョン・バインス代議員は、「若い人は上司からきちんと評価してほしい、企業がどう対応しているかを知りたいと思っている。この要望に応えAPESMAは若い人に研修を行い、その企業が働くにふさわしいかどうか判断できるようにしている。企業も選ばれるということだ。労働者が会社についてどう思っているかを交渉の場に持ち込むことができる」と答えた。ジョン・デペイバ議長は、「シンガポールでもKPI(主要業績評価指標)を設定する企業が増えてきた、組合もこれを支持しているが、KPIを高く設定するなら高い報酬を交渉する権利がある。組合員が評価に不満を持っているなら、組合は積極的に関わるべきだ」と答えた。
サービス・流通連合(JSD)の澁谷代議員は、「ダウンサイジングで残された労働者の負担が増える。例えばスーパーの店長は、店舗売上管理の他、顧客クレーム対応などもあり、長時間労働に陥る反面、それをカバーする時間外手当も得られず、その多くは組合員ではないため、使用者に何も言えない。JSDは管理職の組織化を進め、ディーセントワークを担保していかなければならないと考える」と報告した。

パネルディスカッション「P&MSの組織化」
プリヤラル部長は、P&MSの組合に関する認識とニーズを分析することにより、組合にとってもP&MS組織化の機会はあると問題提起した。
オーストラリアAPESMAのアーリン・ウッド代議員は、「プロフェッショナリズムの役割」と題して、若い専門職への調査から、キャリア開発ができるような団体に所属したいというニーズが多いと報告した。そのためのサービスの例として、メンター制度(グループメンター、女性メンター、Eメンターなど)、キャリア指導、就職斡旋などがある」と報告した。
シンガポールSMMWUのフローレンス・フォン代議員は、就業者にはスキル開発プログラムなど継続教育を提供、失業者にはウェブサイトによる就職斡旋広告やジョブサーチのワークショップへの参加を促進するなどの、生涯学習プログラムの取組みを紹介した。
オーストラリア金融労組のレオン・カーター代議員は、「ダイバーシティーマネジメントの役割」と題して、宗教や文化、性別など様々な違いを包含するものとし、ダイバーシティ議論は使用者だけに任せていては解決できないと述べた。例えばオーストラリアの金融産業における40%という男女間賃金格差を是正するためには、組合も積極的に交渉するべきだと訴えた。
NTT労組の森嶋代議員は、“長時間労働やメンタルヘルスの悪化”に象徴される日本の情報サービス産業は、良い人材を確保し長く働いてもらうことが難しいとし、特に女性が仕事と家庭を両立できるように、NTT労組は諸制度の創設と、利用しやすい環境を作るための意識改革に取り組んでいることを報告した。
パネリストの講演後の質疑応答では、JSDの川橋代議員は、2007年12月に「ワークライフバランス憲章」及び「仕事と生活の調和のための行動指針」が策定され、ワークライフバランスを国民的な取組みとすることが確認されたと報告し、特に管理職の働き方の改善には、管理職を組織化し、労使協議の環境を作った上で働き方を見直すべきだと訴えた。

UNI-Apro P&MS委員会の優先課題
大会は以下の優先課題を採択した。

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UNI-Apro P&MSの優先課題(2008~2012年)

前進するために、
●新しい経済において、ウェブを活用した新しい組織化戦略を立てて促進し、P&MSに連絡が取れるようコミュニケーションチャンネルを確立する
●変化に遅れを取らないようP&MSのための学習のネットワークを作り、新しいスキルや能力を身につける支援を行う
●新しい経済が専門職・監督職に及ぼすインパクトを調査する(例えば、新しい福利制度、利益共有、ストックオプションなど)
●統合されつつある地域経済におけるP&MSの報酬のベンチマーク。P&MS雇用の最低基準。企業が最低遵守すべき採用、配置、労働基準。P&MS自身がそうした雇用基準に同意するかどうか、について検討する。
●ジェンダー平等を促進し、女性が専門職・監督職に就くことを支援する
●ワークライフバランスの新しいコンセプトを発展させ促進する
●P&MSの専門的、社会的、倫理的責任規範を促進する
●必要に応じ、P&MSの労働組合権を擁護し、ディーセントワークを確保できるよう支援する
●現存のUNI-Apro連絡協議会に、各国のP&MSの状況を調査させ、未組織の専門職と接触し、彼らの権益を促進するため、国毎にP&MS協議会を結成する
●ASEANサービス枠組み協定の進展をモニターし、外国人専門職・監督職のサービスを送り出す国と受け入れる国の間の相互認証協定について、加盟組織に最新情報を周知する

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選挙
大会は、役員及び委員会メンバーを以下の通り選出した。
議長        シンガポールSMMWU        ジョン・デペイバ
副議長        日本NTT労組            渡辺保

東アジア    日本NTT労組            渡辺保
日本サービス・流通連合        澁谷稔
東南アジア    シンガポールSMMWU        ジョン・デペイバ
マレーシア加盟協        調整中
南アジア    インドUNITES            カルティック・シェカール
オセアニア    オーストラリアAPESMA        調整中


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