2019年8月26~27日、マレーシア・クアラルンプールにおいて、第3回UNI世界ICTS部会大会が開催され、世界57カ国・77組織から、263人が参加した。日本からは、情報労連11人(男性7人、女性4人)が参加した。
開会式では、マレーシアのスリアニ通信マルチメディア省長官が挨拶し、「UNIマレーシア加盟協が推進する“スマートパートナーシップ”労使関係という考え方が、国内の多くの労組に浸透してきていることに感謝する。健全な労使関係を構築することは、安全衛生や労働条件の向上のみならず、社会経済の安定に寄与するものであり、マレーシア政府は労使間の信頼と有意義な対話をめざす活動を支援していく」と述べた。
野田UNI Apro会長は、「私たちは今、第4次産業革命という歴史的転換点に立っている。AI、IoT/ビッグデータ等の技術革新は、産業のみならず、私たちの生活や働き方を劇的に変化させようとしている。私たち労働組合はそのプロセスにしっかりコミットし、技術革新が社会的課題を解決し、人類に恩恵と幸せをもたらすツールとなるよう、労働者の視点に立った政策を深化していかなくてはならない。このICTS部会大会では、デジタル化時代にふさわしい、革新的かつ創造的な労働組合組織と労使交渉のあり方について認識を深め合いたい」と挨拶した。
これまで、ICTS労働者の組織化は難しい、と言われてきたが、世界各国さまざまな地域で成果が出始めている。テレフォニカ、アメリカモビル、オレンジ、テレノール等、多くの企業とグローバル枠組み協定が締結された。多国籍企業に対置する労組アライアンスを強化している組織や、長年の闘争の末、労働組合として政府承認を勝ち取ったバングラデシュ・グラミンフォンのような組織もある。クリスティ・ホフマンUNI書記長は、このようなICTS部会の成果を称えると共に、「障壁はあるが、それでもなお、組合に加入する労働者はいる。この結集に向けたエネルギーの高まりを見逃してはならない」と述べ、組織化の重要性を訴えた。
続いて、“勝利を目指し繋がる”をスローガンに、「ICTS労働者及び組合にとっての技術革新」、「多国籍企業別労組アライアンスと主要キャンペーン」、「IT産業におけるブレイキングスルー戦略」、「コンタクトセンターにおけるブレイキングスルー戦略」をテーマとしたパネル討議が行われ、各国の代表が課題を共有した。
この他、2015~2018年度活動報告及び2019~2023年度戦略的優先課題が承認され、韓国オラクル労組への連帯声明、グラミン・コミュニケーションズ労組への連帯声明等の動議が採択された。 最後に、2019~2023年度のUNI世界ICTS部会議長として、英国通信労組(CWU)のアンディ・カー氏が再選された。就任にあたり、カー議長は、「この4年間の努力の結果、多くのことが達成されたことを誇りに思うが、やるべきことはまだ山積している。ICTS部門は、5G、AI等の技術革新や第4次産業革命のまさに中核に存在しており、この部門の果たすべき役割はますます大きくなってきている。本日私たちは、来るべき4年に向けて戦略的優先課題を設定したが、国境を越えた連帯のもと、一人ひとりが新たなコミットメントを各地域で実践していこう」と呼びかけ、2日間に渡る大会を終了した。