バングラデシュ・アコードの成果は守られた

このほど、アコードとバングラデシュ衣料品製造・輸出業者協会(BGMEA)との間で、画期的な合意に達し、同国における工場の安全性確保に向けてなされてきた過去の取組みが確実に継続されることになった。アコードとは「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定」に署名したブランド企業等が出資する、2018年5月までという期限付きで、バングラデシュの衣料縫製工場の労働環境改善を目的とした監視機関。2019年5月19日、バングラデシュ控訴裁判所によって合意が認められ、アコードに移行期間として12か月存続する許可が与えられた。

バングラデシュ高等裁判所から、アコードは2018年11月30日をもってバングラデシュでの活動を停止しなければならないとの判決が下されて以来、アコードに署名したブランド企業と労働組合は、難局を切り開く方法を探るため同国政府と交渉してきた。控訴裁判所は、この協議が継続されるよう何度か期間の延長を与えてきたが、これ以上の延長は与えないと明言していた。

5月19日の法廷審問の数日前になってようやく、アコードはBGMEAと、アコードからバングラデシュに拠点を置く新たな機関「持続可能な既製服評議会(RSC)」への最終的な引継ぎに向けた原則を合意するに至った。この合意によって、アコードの活動が将来に渡り維持され、労働組合の役割が保障されることになる。

新たな機関は、最終的にアコードの業務、機能、スタッフ全体を引継ぐことになる。そのガバナンスには、BGMEA/BKMEA(バングラデシュ・ニットウェア製造・輸出業者協会)、ブランド企業、グローバルユニオン、国内の労働組合が関与する。RSCは関係する政府部門の規制の枠組み内で運営されるが、政府からは分離される。

移行後、RSCは工場検査、改修、フォローアップ検査、労働者の安全衛生訓練を継続し、 独立した苦情処理メカニズムも維持する。こうして、ブランド企業、労働組合、消費者に、アコードの画期的な安全性確保のプログラムに不可欠な要素が維持されるという確約が与えられた。

重要なことは、ウェブサイト上で検査及び改修活動の全ての結果が全面開示されるなど、アコードの特徴である透明性が維持されることであろう。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「アコードとBGMEAの合意は、バングラデシュの既製服産業の最前線で、労働者の安全を守る上で重要な前進だ。アコードの、人の命を救う取組みを続けることができる」と喜んだ。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は次のように述べた。「アコードを立ち上げてからインダストリオールの目標は常に、労働者の安全と健康を守ることだった。バングラデシュの労働組合が、安全性遵守をモニタリングする国の恒久的なシステム(持続可能な既製服評議会)の中で役割を果たし続けることこそ、労働者の安全が損なわれないようにする鍵となる。地元の組合とグローバルユニオンは今後も、バングラデシュの衣料産業労働者が最高レベルの労働安全衛生訓練を受けることができ、独立した苦情処理メカニズムにアクセスできるよう、協力していく。」

RSCへの移行を促進するため、BGMEAはダッカのアコード事務所に駐在する、技術主任とエンジニアを指名する。これによりBGMEAは、アコードの日常的な運営に必要な知識と経験を得ることができ、RSCへ効果的かつ円滑な移行が可能となるだろう。

裁判所によって与えられた281日の移行期間中、アコードはバングラデシュで活動する法的な許可が与えられたことになる。