貧富の格差を埋めなければ、逆理想郷の将来へ

皆さま、明けましておめでとうございます。
年初から慌ただしい幕開けとなりました。ストを起こしたことで懲罰を受けているギリシャの組合活動家の裁判に介入しました。クロアチアの加盟組合は、テレ コム部門で全国的な行動を起こすと発表しています。バークレーと人員削減計画で闘争中のボツワナの加盟組合と連携しています。オランダで全国ストを実施し ている清掃員を支援しています。オーストラリアの清掃員を組織する加盟組合ユナイテッド・ボイスも街頭で抗議活動をしています。ナイジェリアの加盟組合 は、石油の補助金が不当に中止され、行動を起こしています。スペインでは、EU/IMFによる緊縮財政という束縛が課され、既に20%を超えている失業率 に追い討ちをかけることが懸念されています。使用者は政府と共に、団体交渉を廃止しようと圧力をかけてきています。イタリア、ポルトガル、ギリシャでも同 様に、加盟組合は団体交渉への攻撃を受けています。イタリアでは、営業時間が法令により自由化されました。

今週のフィナンシャル・タイムズ誌に私の書簡が掲載されましたが、その中で私は、団体交渉への回帰と、働く人々が公正な賃上げを交渉する力を弱め除外しよ うとする組織的な動きに注目するよう訴えました。今や偏った交渉になってきています。生産性の向上は収益増にのみ向けられ、賃金への配分は史上最低のレベ ルです。今こそ、労働者の手に団体交渉を取り戻さなければなりません。労働者の努力によって生み出された富が、より公平に配分されるよう、労働者は交渉 テーブルに着かなければなりません。

今週、世界経済フォーラムのグローバルリスク報告書2012年度版が、「金融危機によって人々の憤りはより煽られ、社会の不安定さが増し、“逆理想郷 (ディストピア)”を生み出す種がまかれた」と警告しました。ピュー・リサーチセンター(米非営利調査機関)も、「米国人は、貧富の格差が1920年代以 来みられなかったレベルに達し、他のグループ間よりも、富める者と貧しい者との間の対立が増えると思っている」という調査結果を発表しました。世界経済 フォーラムのリスク報告書の中で、一番の懸念は収入の不平等でした。最近のILO雇用報告では、調査対象国の40%が社会不安の危険度が高いことが示され ました。

これらの報告は厳しい警告を発しています。もし我々が貧富の格差を埋めなければ、我々自身の破綻の種をまくことになるのです。より公正に富を配分し、社会 契約を再構築しなければなりません。1%の人が、残り99%の人々の富の総額に匹敵する額を所有することは許されません。それでも財源はあるのですから、 持続可能な将来への投資に使われなければなりません。米国のビジネス界は、2兆ドルもの現金の山にあぐらをかいていますが、それは経済成長のために再投資 されるべきで、株の買戻しや金融投機だけに使われるべきではありません。

グローバルリスク報告書2012年度版は、今月末のダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)に向けた枠組みを規定しています。私も他のグローバルユニオン役員らと共に出席します。

社会不安と経済的混乱の現在のレベルは、世界のリーダーが雇用の取組みを起こすまで悪化し続けるでしょう。労働運動は、L20の創設を通じてG20の交渉 テーブルに席を与えられましたが、我々の意見が聞かれるだけでは十分とは言えません。ダボス会議参加者への私のメッセージはシンプルです。「時間は残り少 ない。雇用創出と格差是正のための協調した取組みが不可欠だ。雇用対策はグローバルな優先課題でなければならない。グローバル経済を再機能させるには、金 を人々に返す必要がある。今こそ、99%の人々から奪われたものをその手に取り戻す時だ。グローバル経済において、強力な労働力の構築にもっと注意が向け られるべきだ。経済の金融化によって、政策立案者の目がボールから逸らされてしまった。何百万もの良質な雇用を生み出すことに傾注しなければならない。そ れはできるはずだ。」

今年のダボス会議のテーマは、「新たなモデルの具現化-大きな転換」です。私は、ヌリエル・ルービニ教授、サリル・シェティ・アムネスティインターナショ ナル事務局長、フアン・ソマビアILO事務局長らと、初日(1月25日、水曜日)の「グローバルリスク2012-逆理想郷(ディストピア)の種」のディ ベートに参加します。私は、多文化主義に関するセッションでパネリストも務めます。

ポジティブな面としては、UNIマレーシア加盟協から、イケアと承認協定が結ばれたとの嬉しい報告を受けました。ここに至るには、地元で、地域で、グローバルで大変な苦労をしました。勿論、スウェーデンの加盟組合から多大な協力も得ました。

米国SEIUは、ニューヨークのビル管理関連サービス組合員の大幅な賃上げを勝ち取りました。その協定は12月、私も演説を行った大規模なデモの後、零時 まであと数分という深夜に調印されました。SEIUはまた、セキュリティ部門 の組織化でブレイクスルーを達成しました。部門全体をカバーする協定は、5万人の警備員を組織する門戸を開きました。UNIが結んだG4S及びセキュリタ スとのグローバル協定が、このブレイクスルー達成の役に立ちました。

投資分野では、オランダの大手年金基金がウォルマートから株を撤退しました。

今週、新しく就任したマルシオ・モンザネUNI金融部会担当局長や、シャラン・バロウITUC書記長、OECD-TUACのピエール・ハバード氏と共に、 金融安定理事会(FSB)の新議長、マーク・カーニー氏に会いました。UNI金融部会の主要課題のひとつに、“too big to fail” (大き過ぎて潰せない)というFSBの方針があります。FSBは国内及び国際金融システムにシステマティックリスクを及ぼす29の銀行を特定 しました。我々は、“too big to fail”が雇用と社会に対する影響を分析するため、FSB/UNI/グローバルユニオン合同のワークショップを開催する予定です。今、29の銀行は「遺 言状」を作成するよう求められています。我々の疑問は「労働力はどうなるか?」です。

最後に、今週からUNI本部に着任した、パク・アクタールとスティーブ・デマテオをご紹介します。パクは以前、教育インターナショナルで広報部長をしてお り、専門職・監督職委員会の担当局長になりました。スティーブは米国の郵便外勤労組出身で、ニール・アンダーソンからの引継ぎ期間を経て、UNI郵便・ロ ジスティクス部会担当局長となります。2人を心から歓迎すると共に、皆さまからのご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

UNI書記長
フィリップ・ジェニングス


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