UNI-LCJ、ラオス支援セミナー開始

UNI-LCJは「2012~2014年度海外活動の方向性」で、後発国だが将来性の高いラオスに対してパートナーシップ労使関係の普及を支援する3か年プロジェクト計画を採択した。2012年はベトナム・ハノイおおける部会別セミナー(11月22~23日)に続けて、首都ビエンチャンのラオス女性同盟研修所において11月26~27日、ラオス労働組合連盟(LFTU)のニーズに基づき、団体交渉及び組織化をメインテーマに共同セミナーを開催した。

急遽出席できなくなった關団長(損保労連委員長)に代わり、寺嶋JP労組中執が代役を務めた。日本からは以下の講師が出席した。
(ICTS部会)情報労連/NTT労組中執 水野和人
(商業部会)自動車総連労働法制局局長 吉田真之
自動車総連国際局部長 藤冨健一
(金融部会)損保労連中執/東京海上日動労組執行委員長 柳橋隆則
(郵便・ロジスティクス部会)JP労組中執 寺嶋智子
(UNI-LCJ)事務局次長 小川陽子

ラオスからはLFTU労働保護局、国際局をはじめ、郵便、テレコム、保険、銀行、テレビ、ラジオ、新聞、印刷工場、日系自動車販売店から、労組役員・メンバー、法学部講師、商工会より33名が出席した。

開会式では、オンカム・ボニャセンLFTU労働保護局長がUNI-LCJ代表団の初訪問を歓迎し、寺嶋団長は「JILAF(国際労働財団)のラオス労働運動支援プロジェクトをUNI-LCJが引き継ぐかたちになる。我々にとっては新しい経験だが、皆さんと新しい時代を切り拓いていきたい」と挨拶した。

オンカム・ボニャセン労働保護局長からはラオスの労使関係について、LFTUの歴史と機構を中心に説明を受けた。
・LFTUは1956年2月1日設立。独立運動に参画し、1975年ラオス人民民主共和国成立(独立)以来、人民革命党の指導の下、大衆組織として国の経済成長に貢献。
・会長、副会長(3人)の下、①総務、②組織化・人事・政策、③国際、④調査、⑤労働保護、⑥広報、⑦表彰、⑧訓練・情宣の8局及び労組開発研究所。
・組合員数178,126人(うち女性71,806人)、中央執行委員39人(うち女性7人)。
・地方組織は首都ビエンチャン労組連合に加え16地方連合。
・人口625.6万人。18~55歳の労働人口390万人(うち農業76%、工業8.6%、サービス産業8.6%)(※LFTU提供の2009年統計)
・労働組合の位置づけと役割:労組は2007年の労組法によって法的に認可を受けた。党の指示の下、農家を含む労働者の利益を守るため活動を行う。国の一組織として位置し、労働者を教育し、労働規則を守らせ、ラオスの法律・方針を理解し、職場で任務を全うさせ、経済発展に貢献させる。また規則正しく行動できるような環境づくりをサポートする。労働者を代表して労使協定を結び、実施をモニターし、必要に応じて協定の見直しを行う。海外出稼ぎ労働者をサポートする。国営企業の不正行為、賄賂、汚職を阻止する。労働安全衛生教育を行い労働災害を減らす。社会保険加入を促進する。
・政労使三者の連携強化:三者協議は政労使各3人ずつ9人で構成。労働福祉省が任命。年3回会議招集。労使紛争時の対応、労使協約、組織拡大戦略、労働者情報調査、工場労働者の安全衛生確保、国内外の労働移動のモニタリング、労働法に基づく最賃実施状況チェック。法整備が必要な場合の意見交換。
・海外の労働組織と情報・経験交流し学んでいる。

続いて、ラオス全国商工会(LNCCI)のダオバディン・フィラサイフィタク総務部長が、使用者側の役割と責任、組合との協力と期待について講演した。
・商工会は商工業使用者の代表で、政府及び労働者と三者委員会を通じて連携。
・製造業労働者の育成を重視し、この点では海外組織の協力も得ている。労働環境を整備し、事故防止のための職場改善に努力している。
・農村から都市への労働移動や、海外への出稼ぎが増える一方、定着率が低ければ生産能力も落ちる。能力に見合った賃金が払われなかったり、職場環境が悪かったりすれば、労働者は転職してしまう。スキルアップのための教育も必要。
・一方、賃金を巡る労働者間の嫉妬を解消するための教育指導を組合に期待する。会社の規則も守るべき。労働者の理解不足によるストやデモも発生している。外資促進のためにはストやデモは良くない。従って、労使双方で生産性と定着率を向上させる努力をしなければならない。

サマンサイ・ハンタノウサイLFTU労働保護局次長は、経済政策の転換に伴う団体協約交渉及び組織化の経緯について、チャンフェン・マニセンLFTU労働保護局課長は、賃金交渉制度について説明した。主なポイントは以下の通り。
・労使関係は、1986年の新経済政策導入前後で大きく変化した。大手産業が全て国営だった時代は、賃金は一律、食糧現物支給、医療、幼稚園が無償だった。
・経済開発、民営化の波が押し寄せ、企業は能力の高い人だけを集め、それ以外の人はリストラされた。民間企業使用者は組合を交渉相手として認識しておらず、三者協議の使命も理解していなかった。国営企業は問題ない。
・2006年労働法改正、2008年労組法改正。しかし未だ定義や規定に曖昧な部分もあり、法整備が急務。ILO中核的労働基準の内、87号(結社の自由)、98号(団交権)は未批准。
・2009~2012年に締結された団体協約は181(国営企業51、国内民間企業124、外資6)、産業別内訳は、工業17、水力・鉱業20、化学2、衣料91、林業36、農業6、建設9)
・最賃は月62万6000キープ(約6,200円)で妥結したばかり。現下の経済情勢からすれば、70万~80万キープ(7,000~8,000円)が適当と考える。

参加者からは、「勧誘に行くと組合加入のメリットを聞かれるが、日本ではどのように説明しているのか」といった質問が出された他、「多くの組合役員・スタッフはフルタイムでないので、経験・スキルに乏しい」、「地方連合、その下部組織には訓練を受けたスタッフが殆ど居ないので、中央組織(LFTU)の役員にサポートを受けているが、足りない」といった課題が多く聞かれた。

最後に、サマンサイ・ハンタノウサイLFTU労働保護局次長は、労働保護局の現状と課題について以下の通りまとめた。
・国営時代と比較し民営化が導入された現在、更にWTO加盟を間近に控え、民間企業特に外資経営者の組合理解度が低いため、組合にとって厳しい状況が続く。
・特に、組合役員及び労働者の教育が最大課題。LFTUで役員研修を実施するも、使用者と対等に交渉できる役員は殆どいない。労働者にも組合を理解させ加入を促進したい。
・今後は企業内労働協約締結に力を入れると共に、労働者をより保護するため労働法制の整備についても推進していく。

閉会式では、寺嶋団長が「ラオスの現状は日本と異なるところも多いが、労働者を保護するための努力は同様であり、皆さんの活動に敬意を表する。外資促進と共にサービス産業は更に発展していくことが予測され、UNI-LCJとしても支援をしていきたい。UNIの仲間となって、共にグローバル化の波を乗り越えていこう」と激励した。オンカム・ボニャセン労働保護局長はUNI-LCJ講師陣の貢献に感謝し、引き続きの支援を期待した。

アジア欧州会合第9回首脳会合を成功裏に受け入れ、市内はその余韻が残っていた。経済成長の勢いは感じられるものの、若者はタイへ出稼ぎに行ったり(その多くは違法移民)、労働者のスキルが市場ニーズにマッチしていないなど、労働者と労働組合は変化への対応を迫られている。無許可のストやデモが禁止されていたり、組合費は一律月5,000キープと定められていたり、組合運営は100%国の予算に依存していたりなど制度上の制約も多い。UNI-AproはLFTUの変革には時間がかかるとみており、長期的投資として人材育成面の支援をしていく方針である。UNI-LCJとしても、労働運動としては類似点の多いベトナムでの成功例を参考とし、早くから労使パートナーシップの概念を根付かせることで労働運動の発展に貢献できるだろう。

写真はFlickr参照


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