ICTS部門における「労働の未来」

昨年9月、UNI世界ICTS部会担当局長に就任したアルケ・ベシガー局長が、2017年4月10~12日、日本の加盟組織の状況と課題について学ぶため、来日した。 4月11日、「ICTS部門における労働の未来」というテーマで講演会が開催され、情報労連加盟単組代表、国際委員会メンバー、常任中央執行委員、UNI-LCJより約30人が出席した。

ベシガー局長は、世界的な傾向として、人口構成の変化、労働移住、格差の拡大、気候変動と共に、デジタルイノベーション(技術革新)を挙げた。50年前、(時価総額レベルで)世界のトップ企業が50万人程の従業員を雇用していたのに比べ、現在のトップ企業(アップル、グーグル、マイクロソフト等)の従業員数はそれぞれ10万人にも満たない。世界銀行は、OECD諸国の平均で57%の雇用が自動化の影響を受けると予測している。更に、有期雇用、派遣労働、オンコールワーク、パートタイム、下請け、個人請負、偽装雇用といった、非典型雇用が拡大している。「こうした不安定雇用に就いている労働者をどのように守っていくか、ウーバーのような、社会的責任を果たさないビジネスモデルの蔓延を許してはならない」と訴えた。

ICTS部門においても、激烈な競争に駆り立てられたコスト削減圧力と技術の進化に伴い、従来のテレコム企業から様々な業務が、より人件費の安い国や地域へアウトソースされ、また国境を越えたクラウドソーシングや在宅勤務等の新しい働き方が可能になり、従来の国内の労働規制を受けない労働者が増えている。

UNIは昨年11月、世界執行委員会の前日、「労働の未来」組合幹部サミットを開催した。参加者からは、人間や環境を優先する倫理的な人口知能(AI)の基準を設定するような国際条約が必要だとの意見が多く出た。

ICTS部会としては、コールセンター、IT労働者、専門職・管理職の組織化に重点を置いている。

UNIは第5回UNI世界大会(2018年、英国・リバプール)での議論に向け、「労働の未来」に関する政策を立案するため、UNIデジタル化専門家グループを立ち上げ、加盟組織に参加を呼びかけている。ベシガー局長は、「情報労連とUNIは、共通の価値観とビジョンを持っている。課題は山積しているが、特にアジア太平洋地域のICTS部門における組織化と組合強化のために、情報労連の経験はとても有益だ」と、更なる支援を要請した。

講演後の質疑応答では、「セキュリティーの高いIT労働者の職場にどのようにアプローチしていくか」、「ドイツに比べ年600時間も長い日本の長時間労働をどのように改善できるか」等の質問が出された。

この他ベシガー局長は、NTT及びKDDIの労使を訪問し、会社概要、ビジネス動向、組合概要と課題をそれぞれ聞いた。


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