2024年9月4日、チリで開催された国際セミナー『人工知能と雇用への影響、公正な技術移行』の中で、人工知能(AI)が雇用に与える影響について議論が交わされた。さまざまな部門の労働組合が結集したこのイベントには、チリのジャンネット・ハラ労働・社会福祉大臣、マルシオ・モンザネUNI米州地域書記長を含む数名の講演者、産官学の専門家が参加した。
全国テレビ局労働者連盟(FETRA TV)のロレーナ・カストロ会長が強調したように、チリの労働運動は、AIがもたらす労働力への新たな機会と脅威に関する議論をリードしている。
同会長は「労働者は、新たなテクノロジーやAIがもたらす近代化に反対しているわけではないが、雇用を保護し、ディーセントで尊厳ある仕事を守る公正な技術移行を要求していかなければならない」と述べた。
モンザネUNI米州地域書記長は、2023年にフィラデルフィアで開催されたUNI世界大会にて承認された動議の1つが、公正な技術移行とデジタル変革を推進し、すべての人が利益を共有できるようにする必要性を強調している点を指摘した。そして、AIが雇用に与える影響や関連するリスク、倫理的配慮に対応する規制を各国が制定することの重要性を強調し、「デジタル技術とAIの使用と影響について議論するため、企業や組織内の交渉の席に労働者が座ることを求めていく」と語った。
同様に、ルシア・リンドナーUNI米州メディア部会担当部長は、基本的労働権と労働条件を保護するための公共政策と規制法の緊急の必要性を強調した。
『人工知能: 我々はどこにいるのか、どこへ向かうのか、そしてどのように雇用を保護するのか』と題されたパネルでは、元チリ上院議員で「未来議会」の創設者、「未来の出遭い財団」副代表であるギド・ジラルディ氏や、チリ教皇庁カトリック大学の脳神経科学者で国立人工知能センター(CENIA)の研究員であるアレクサンドラ・ガルシア博士など、国内外の専門家が参加した。
るヨハネス・ストゥディンガーUNI世界メディア部会担当局長は、AIに直面する舞台裏で働く労働者の組合結成やエンターテインメント部門の労働者の組織化に関連する経験や、米国のIATSEが主導する団体交渉のプロセスについて共有した。
セミナーでは、AIや新たなテクノロジーの公正で安全かつ透明性のある利用、法的規制、脳神経関連権の保護、雇用の擁護、労働者の参画による公正な技術移行の促進など、いくつかの重要なテーマが取り上げられた。このイベントは、FETRA TV、UNI米州、Unidad por Trabajo Digno(=ディーセントワークのための団結)、およびチリ国営テレビ労働者を代表する第2組合が主催した。